「子どものお小遣いどうする?」子どもにどのようにお金を渡し、何を学ばせるべきか……。これが絶対正解!という方法はないので、パパママの皆さんは悩むテーマですよね。わが家で取り組んだ「家事をお仕事化」し、その対価として報酬を渡す方法について、ご紹介します。
子どもは、お小遣い制と報酬制どちらがよい?
筆者の長女が小学生になったとき、お小遣いをどうしようかと考えはじめました。子どもだけで外出して買物をする機会はまだありませんが、お金の扱いについては学校で教えてくれないので、家庭で教えていく必要があります。算数がはじまるので計算の練習にもなり、自分のお金を管理する経験を早い段階からさせたいと考えました。
いろいろ悩んだ結果、わが家では「報酬制」を選択。なぜ報酬制を選択したのか、そしてその具体的な方法、メリット・デメリットなどをご紹介します。
報酬制はどうしてNGなの?
(2)報酬目当てにお手伝いをするようになるから
確かに、家族のために進んでお手伝いをする気持ちを持ってもらいたいですよね。その気持ちは、家族以外でも困っている人がいたら助けようとする行動につながりますから。
それでも報酬制を選んだ4つの理由
(1)お金は大事なもの、簡単に得ることはできないもの、と認識して欲しいから
(2)働くことによって、貴重なお金を得ることができると体感して欲しいから
(3)日々使っているお金は、両親が働いて得られていることを実感して欲しいから
(4)家事力を小さい頃から身につけてほしいから
就業体験ができる施設「キッザニア」も世界中に広がり、子どもたちが幼児期から就業体験できる機会が増えています。わが家の方針は、そういった発想に近く、お手伝いをしたからお小遣いをあげるのではなく、あくまでその子が家庭内でできる仕事を見つけて労働体験をし、その対価として報酬を渡す、というものです。
報酬制(お手伝いのお仕事化)の取り組み方
強制ではなく本人も納得して取り組むことが大事なので、長女が小学2年生になったときに、本人と相談してこの方法を決めました。
(1)お仕事化できるお手伝いを洗い出す
この作業の有効なところは、「両親は仕事をしながらこんなにたくさんの家事をしているんだ」ということを子どもにも知ってもらえることです。さらには、「お母さんはこんなにやってくれているんだ。自分も少しはお手伝いしてあげたい」という気持ちに、自分で気付いてもらいたいという期待もあります。
(2)子どもができそうなことを自分で選ばせる
また、わが家のルールとして「自分のことは自分でする」というものがあり、4歳頃から取り組んでいます。食べ終わった食器は自分で運ぶ、洗い終わった洗濯物は自分で畳み、クローゼットへしまうなど。ですので、食器を運ぶ、洗濯物を畳むといったことは、お仕事化の対象からは外しました。
(3)選んだお仕事をレベル分けする
(4)レベルに合わせて報酬額を決める
(5)細かいルールを決める
1つ目は、お金を渡すタイミングです。合計して月末に渡す、その都度渡す、どちらが良いか本人と相談しました。お仕事をしたら、その都度、目に見える形でもらえるほうがやる気になると子どもが主張し、都度払いに決定。その代わり、収入額について記録を付けることを約束しました。
2つ目は、上限額の設定です。やみくもにお仕事をして、たくさんもらいすぎることもよくないと考え、世の中のデータを鑑み、その年齢の平均お小遣い額を参考に、月の上限額を設定しました。
報酬制で気を付けるポイント
「お母さん、今日疲れているから、ごはん炊いて欲しいな」
「部屋のゴミが気になるんだけど、お母さんは夕食準備があるから、掃除機かけてくれたらうれしいな」
「私」を主語にし、感情を具体的な言葉にして、声をかけるようにしました。 そうすることで、報酬目当てだけでなく、ちゃんと家族の期待に応えてお仕事をした、お母さんが困っているからお仕事をした、という気持ちを本人に認識してもらうようにしました。
「今日お母さん仕事で疲れていたから、○○ちゃんがご飯を炊いてくれてとても助かったよ」
「○○ちゃんが作ってくれたお味噌汁本当においしいね、おかわりしたいよね」
「○○ちゃんが掃除機かけてくれたから、部屋がきれいで気持ちいいよね。ありがとう」
お手伝いが終わったらお金をポンと渡すのでは、労働の対価はお金としか認識しません。 そこで、丁寧に声をかけることで、お仕事したことで喜んでもらえた、感謝された、1人でできた、と実感し、自己肯定感が高まるように声がけしました。
また、部屋がきれいになって自分もうれしい、自分で作ったお味噌汁はおいしいと、お仕事を前向きなものとして感じてもらいたいと考えました。
実際やってみてどうだったか?
<良かった点>
欲しいものがあったらすぐにねだる子でしたが、その値段を自分で確認し、それが高いのか安いのかを自分の報酬額と比較して考えるようになりました。その結果、「そんなに高いの?それならいらない」と自分で判断できるようになりました。
(2)お金を大事にし、目標を立てて仕事をするようになった
最初のうちは、報酬を得て自分の自由な少しお金が溜まってくると「あれ買おうかな」とすぐに言っていました。ですが、しばらくすると、すぐ使うのを我慢して、本当に欲しいものに絞り、その金額を目標額に設定してお仕事に取り組み、自分でコントロールをするようになりました。
(3)家事力が身についた
お仕事化することで、何度も経験するようになり、自然とその家事が身についてきました。母親が病気で寝込んでいたときは、進んでご飯を炊いておいてくれました。とても助かりますね。
<悪かった点>
「毎日同じお仕事をすること」いうルールは決めていないので、タイミングは本人の気分次第。宿題や遊びを優先して何もしない日もありました。強制はしたくないので、「あれ?最近お仕事してないね?」と気軽に声をかけて様子をみています。
(2)上限額を超えるとやらなくなる
そこまでいくことはあまりないのですが、月の上限額を超えると、やはり途端に意欲が落ちてしまうようです。上限額をあげ過ぎてもよくないですし、そのあたりは改善が必要ですね。
幼児期は、お手伝いしたい気持ちを特に大切に!
ママのお手伝いをしたいという気持ちがあふれ、「ママ、やってあげよっか?」とキラキラした目でキッチンに走ってくる子どもを見ると、とてもうれしい気持ちになります。さりげなくサポートし、「自分でできた!」という気持ち、「お手伝いしたらお母さんが喜んでくれた!」という気持ちと、両方を大事に育てられるよう声がけをしています。
次女にはお金ではなく、シールを貼るようにしています。シールが増えていくのがうれしいようで、「今日は何しよう?」とお手伝いを探してくれています。
各家庭でルールを決めよう
他の家庭の動向が気になりますが、誰かがやっているからうちも……という横並びで行うのではなく、子どもを含めて家族全員が納得する方法を見つけましょう。子どもの性格や気質によっても、適した方法は異なるかもしれません。兄弟で同じ方法をとらなくても、その子にあったやり方を見つけられるといいですよね。
また、父親と母親で、その方針がぶれてしまってはうまくいくものもいきません。家族で決めた方針を皆で守り、途中でうまくいかない点が出てくれば、その都度話し合って見直しをする柔軟性を持つことも大事ですね。