2017年07月10日 公開
言葉を学ぶ魔法の道具!モンテッソーリ砂文字板のつくり方
子どもには主に3歳以降、言葉や文字への興味・関心が急速に高まる時期があります。モンテッソーリメソッドでは、この時期を「文字に対する敏感期」と呼びます。言語発達のカギを握る「言葉の敏感期」にピッタリの教具「砂文字板」についてと、100円ショップで手にはいる材料を使って手作りする方法をご紹介します。
子どもには主に3歳以降、言葉や文字への興味・関心が急速に高まる時期があります。モンテッソーリメソッドでは、この時期を「文字に対する敏感期」と呼びます。言語発達のカギを握る「言葉の敏感期」にピッタリの教具「砂文字板」についてと、100円ショップで手にはいる材料を使って手作りする方法をご紹介します。
子どもが言葉に目覚めたら……チャンス!
子どもが文字に関心を示しはじめるのは、だいたい3歳頃を過ぎてから。物と物の名前がどんどん一致しておしゃべりが上手にできるようになると、今度は数字やひらがななどの意味が気になりだします。3〜4歳頃を中心に、6歳までの間に90%がひらがなを読めるようになるのだとか。
モンテッソーリメソッドでは、この時期を「文字に対する敏感期」と呼んでいます。パパママもその適齢期を逃さずに知育に活用したいものですね。
文字の敏感期には「砂文字板」が大活躍!
モンテッソーリメソッドでは、「教具」(子どもの遊びの道具)をたくさん設定しています。それぞれ、子どもの年齢や成長発達の段階を考慮して作られています。
文字に対する敏感期には、「砂文字板」という教具が役立ちます。
砂文字板ってどんな教具?
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砂文字板は、長方形の板の上に、ひらがなが一文字ずつ砂で吹き付けられている教具です。文字の部分がザラザラになっているのが特徴です。
モンテッソーリメソッドでは、何かを学ぶ際にはなるべく多くの感覚を使うのが好ましいとされています。砂文字板を使うと、視覚(文字を見る)・聴覚(声に出して読む)に加えて、触覚(指でなぞる)を含めた三つの感覚を使って文字が学べます。三つの感覚の相乗効果で、しっかりと記憶に残るようです。
ちなみに、モンテッソーリの砂文字板の場合、写真のように左側に文字があるのは、左利き用の教具です。文字を書くために、しっかりプレートを押さえることが大切であることから、利き手と逆の手を置くスペースを作っているのです。
筆者の子どもは右利きですが、将来、砂文字を見本に指で書く練習もしたいと思い、今回は右側に大きくスペースを取って作ることにしました。それでは、オリジナル砂文字板の作り方を紹介します!
意外と簡単!オリジナル砂文字板の作り方
オリジナルで作るなら、材料は100円ショップで売られているものでOKです。市販されているモンテッソーリの砂文字板は、丈夫で素材も上質ですが、その分やはり高価なもの。それには及ばなくても、100円ショップグッズで、十分使えるものが作れますよ。
【用意するもの】
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<材料>
・紙やすり
・PPシート
・両面テープ
・お手本になる文字(ひらがなドリル)
<道具>
・ハサミ
・ボールペン
・マスキングテープ
【コツ1:紙やすり】
砂文字の手触りに近いものとして、100円ショップで60番・120番・240番がセットになったサンドペーパーを購入しました。120番前後が好印象でした。
文字の色や触り心地にもっとこだわりたい場合には、ホームセンターでの購入がおすすめです。
【コツ2:お手本の書体はなるべく教科書体に近いものを選ぶ】
ひらがなのお手本にもさまざまな自体があります。なるべく教科書などの字体に近いものをチョイスしましょう。丸みを帯びた書体は可愛らしいですが、「り」や「そ」の形が異なる場合があります。
今回は100均で手に入ったテキストを切り抜いて使いましたが、自宅でプリントするのも良いですね。その場合は文字の大きさやフォントを工夫してみましょう!
【コツ3:台紙にPPシートを使う】
手作り教材は、せっかく作っても耐久性にかけることがあります。砂文字板も同様。台紙は厚紙でも良いのですが、紙は水に弱く、また、曲がったり破れたりしやすい素材です。
かといって、のこぎりを使って木の板をカットするのは大掛かりで予算もかかります。「加工しやすく、なおかつ壊れにくい素材」という条件で、今回はPPシートを選びました。PPシートならハサミで簡単にカッティングできて、汚れも落としやすいです。切り口が鋭くなってしまった際には、軽くやすり掛けをしておきましょう。
【作り方】
(1)PRシートに合わせて、文字の大きさを考える
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台紙となるPRシートに対して、丁度良い大きさの文字を考えます。理想的なバランスになるように文字を印刷するか、見本となる文字を拡大コピーをしたり、ちょっと太めの大きさにアレンジしてみるのも良いでしょう。
今回は、用意したひらがなドリルの大きさがちょっと小さかったので、これを一回り大きくして写し書きすることにしました。
(2)紙やすりの裏面に両面テープを貼る
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紙やすりを文字の形に切り抜いた後に裏に両面テープを貼ると、細かい部分の処理が難しいので、先に全面に貼っておくと便利です。
(3)お手本の文字の周りをボールペンでなぞる
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一回り大きい方がバランスが良いので、見本より2、3mm太くなるように周囲をボールペンで書きながら、他の紙に写し取っていきます。この時は同じ文字のドリルが複数枚あったので、そのまま切り抜くことにしました。
(4)両面テープを貼った紙やすりの上に、切り抜いた見本の文字を反転させて置き、マスキングテープなどで仮止めする
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(5)反転させた文字の周囲をボールペンでなぞって両面テープの上に形をとる
その後、その線に沿って、ハサミで文字を切り取ります。紙やすりを文字のサイズに合わせて大まかに周囲を切り取ってから細部を整えると綺麗に切りやすいです。
(6)切り取った紙やすり文字の両面テープを剥がしてPRシートに固定する
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「う」「え」「お」などのように、パーツが分かれる時は、お手本を参考にしながら貼るとバランスがよく貼れます。また、この時、お子さまが右ききか左利きかなども考慮して、PRシートの左右どちらに寄せて固定するか決めておくと良いでしょう。
砂文字板は幼児の敏感な感覚に訴える文字の学習法
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プリントやドリルを使ってなぞり文字を練習するのももちろん大切なこと。ただ、せっかく感覚に優れた幼児期ですから、いくつもの感覚にはたらきかける砂文字版を使うのは、文字学習においてはとても良い方法なのです。
手の筋肉を動かしながら、ひらがなのつづりを皮膚の触感で確かめ、同時に読みを覚えていく。そんな理想的な学びを期待して、子どもが文字の敏感期にさしかかったら、手作りしてみてはいかがでしょうか。