はじめての出産のときは、「出産」についてはあれこれと心づもりをしていても、案外「産後」の大変さについては、具体的な想像が及ばないものです。筆者の実体験から、産後何がつらかったか、出産前にどんな準備や心がまえが必要と感じたかをご紹介します。
産後の身体は想像以上にボロボロ
ところが翌日になると、身体のあちこちがギシギシときしみ、会陰切開のあとが痛んで、ドーナツクッションがなければ座ることもできません。
その上悪露がなかなかおさまらず、寝ている間にベッドで大量出血をした上、貧血で起き上がることもできなくなってしまいました。
幸い事なきを得ましたが、その後も1カ月ほどは動くのもつらく、少しずつ回復はしていったものの、「身体が元に戻った!」と思えるようになったのは、産後半年から1年ほどが経過してからでした。
産後の身体の回復は個人差が大きいのですが、「万が一」に備えておくにこしたことはありません。特に産後1~2カ月は「自分は最低限の赤ちゃんのお世話以外何もできない」状況を想定し、家族にあらかじめお手伝いを頼んだり、産褥シッターさんなどの情報を調べておきましょう。
産後は心も不安定に
筆者の長女は産まれてからすぐ保育器に入ったのですが、「上手に出産できなかった私のせいで保育器に入っちゃったんだ」という思い込みが頭から離れず、夜となく昼となく涙があふれてきました。
また、筆者は里帰り出産だったのですが、世話をしてくれる両親の何気ない一言に深く傷ついて、「家族は私のことをわかってくれない、早く家に帰りたい」と夫に何度も電話をしていました。
今になってみれば、「あれはマタニティブルーだった」とわかりますが、当時はどうしてこんなに落ち込むのかわからず、「自分は親失格だ」と毎日泣いてばかりいました。
出産を控えているプレママに伝えたいのは、「どれほど元気な人でも、マタニティブルーになる可能性はある」ということです。また、「多くの場合は一時的なもので、1週間から数カ月程度で落ち着いてくる」ことも、ぜひ覚えていて欲しいと思います。そうすれば、もし産後精神的に不安定になっても、「気持ちがおさえられないのはマタニティブルーのせいで、しばらく時間が経てばいつもの自分に戻れるはず」と自分に言い聞かせることができますよ。
母性をすぐには感じられないこともある
「赤ちゃんをかわいいと思えないなんて、私は人間としてどうかしているのかもしれない」と思いつめ、ますますマタニティブルーがひどくなるという悪循環に陥っていました。
当時の自分にかけられる言葉があるとすれば、「母性をすぐに感じられる人もいるけれど、母性がゆっくり育っていくタイプのママもいる」ということです。
筆者がはじめて赤ちゃんと対面したときは、「かわいい!」という感動よりも、小さくてか弱い生き物を託されてしまったという動揺の方が大きかったように思います。
戸惑いながらスタートした子育てでしたが、赤ちゃんと過ごすうちに親しみが持てるようになり、筆者の中にも少しずつ「小さくてかわいい」「抱っこして大切にしたい」といった気持ちが生まれてきました。
もし産後、筆者と同じように母性をすぐには感じられなかったとしても、自分を責めたりはせず、「私は母性がゆっくり育つタイプみたい」と気楽にとらえるようにしましょう。
とにかく眠れない
筆者の長女は母乳を飲むのが上手ではなく、「少し飲んで少し眠る」というのを繰り返していました。そのため、それにつきあう筆者も必然的に短時間睡眠の生活に。ひどい時期には昼夜問わず、一時間おきに授乳をしていたこともあります。
そのためいつも睡眠不足でフラフラしており、「誕生日プレゼントは何が欲しい?」と夫に聞かれたときは、「3時間でいいから続けて眠りたい」と訴えたことを、今でもよく覚えています。
「自分ががんばらなきゃ」という気持ちが強く、周りに上手に頼れなかったことが原因で、結果的に体調を崩しがちになってしまいました。産後つらいときに気軽に頼ることができるよう、身近な家族にサポートを依頼しておいたり、一時預かりを実施している託児施設や、ベビーシッターサービスなどを探しておくのも良いですね。
また、「赤ちゃんのためにがんばるべき」と思い込まず、産前から「自分が元気に子育てをするために力を借りることは必要」と、「周りの人に頼る」ことへの心のハードルを下げておくことも大切です。
産後の「つらさ」には備えが大切!
だからこそ楽観視はせずに、「万が一の場合はこうする」という方法や心構えを出産前から準備しておくことが大事です。
産前のうちに保育所やシッターさんを探しておく、産後落ち込んだときに読む本を用意しておくなど、できる範囲で準備は済ませておき、いざ産後の「つらさ」に直面した際は、上手に乗り切れるようにしたいですね。