周りを海に囲まれた日本は、昔から風とともに生活してきました。風の種類もとても多く、四季折々にいろいろな名前の風が吹きます。子どもと一緒に覚えたい風の名前を、季節別に分かりやすくご紹介します。親子のお散歩タイムに風を感じたとき、ぜひ思い出してみてください。
春の風の名前
立春から春分の間に吹く、その年はじめての強い南よりの風です。春の訪れを知らせる風とされています。
・東風(こち)
東から吹く風です。春の訪れを告げる風として、俳句の季語にもなっています。それと同時に海のしけをもたらす風といわれており、漁業関係者からすると警戒の対象です。
・貝寄せ(かいよせ)
冬の季節風の名残として、3月下旬に吹く西からの風です。もともとは、この風が浜辺に吹き寄せた貝で作った造花を、大阪四天王寺の聖徳太子の命日の法会のお供えにしていました。
・光風(こうふう)
よく晴れた春の日に、さわやかな風が吹いたらそれは光風です。雨があがったあと、草木の間を吹き抜けるような風を指すこともあります。
夏の風の名前
梅雨のころから夏にかけて吹く、冷たく湿気のある東よりの風です。冷害の原因となるので、東北地方では凶作風とされています。
・南風(はえ)
西日本での南よりの風の呼び方。俳句の季語でもあり、ほかに梅雨入り頃の「黒南風」、梅雨半ば頃の「荒南風」、梅雨明け頃の「白南風」もあります。
・あいの風
日本海側に夏に吹く穏やかな北風です。魚介類や海藻などを沖から運んできます。
・流し
梅雨の前後に吹く、湿っぽさを含んだ南風です。茅花(チガヤ)という植物の芽が育つ5月頃に吹く風は「茅花流し(つばなながし)」、タケノコが旬を迎える時期に吹けば「筍流し」などと呼ばれます。
秋の風の名前
平安時代からの呼び名で、秋に吹く台風を含む強い風です。台風の昔の呼び名でした。
・おしあな
台風の前に吹く南東からの強い風で、西日本で使われる呼び名です。漁業、農業関係者の間では悪風とされています。
・雁渡し(かりわたし)
本格的な秋の訪れを告げる北風。雁が渡って来るころに吹くことから名付けられました。この風が吹くと空と海が青く澄みきるので、「青北風」とも呼ばれます。
・黍嵐(きびあらし)
冬を目前にした頃に吹く、ざわざわとした強い風です。キビの穂が倒れんばかりに吹き荒れる様子から名付けられました。
冬の風の名前
冬型の気圧配置になったときに吹く、北よりの強い風です。気象庁では晩秋から初冬へかけて、毎秒8m以上の北風がはじめて吹くと「木枯らし1号」とお知らせします。
・からっ風
冬から春先に吹く山越えの冷たく乾燥した風を、関東地方でこう呼びます。木枯らしとの混同に注意しましょう。
・あなじ
冬に北西から吹く風、冬の季節風のことです。主に西日本での呼び名で、漁業・船舶関係者には悪風として知られています。
・神渡し(かみわたし)
別名・神立風(かむたつかぜ)。陰暦10月(神無月)に吹く西風で、これによって全国の神様が島根県出雲に送られるとされています。