学問の神様として知られる「菅原道真公」ですが、その生涯はどのようなものだったのでしょうか?神様と祀られるまでの生涯を追ってみましょう。「学問の神様」が祀られている神社もご紹介します。受験を控えたお子さまがいるご家庭は、参拝の参考にしてみてください。
「学問の神様」菅原道真(すがわらのみちざね)とは
生涯と神様として祀られるまで
菅原道真は承和12年(845)、京都で生まれます。祖父や叔父、父親も漢学に親しむ一家でした。道真も幼いときから漢学に触れ、大変頭が良く、その才能は若い頃から開花します。18歳の若さで、現在でいう大学生にあたる文章生(もんじょうしょう)に合格。当時40人いた文章生の中でも、最優秀の2人に選ばれるほど優秀だったと記録が残されています。26歳のときには、「方略試」(ほうりゃくし)という最難関の公務員登用試験にも合格します。
【転機を迎える30代】
30代になると、現在の大学教授の座である文章博士(もんじょうはかせ)に就きます。父親が亡くなったあと、父親が経営していた私塾を道真が引き継ぎ。多くの優秀な学者を生みだすようになりました。
【政治家としてのスタート】
当時の天皇であった宇多天皇にその優秀さを認められ、道真は政治の道に進むようになります。宇多天皇に重用された道真は順調に出世し、894年には遣唐使廃止を提案するなど、右大臣にまでのぼりつめました。当時の朝廷では、藤原時平が道真よりも上の位である左大臣に就いています。藤原氏という貴族家系である時平からすると、学者出の道真が政界で出世していくことは、あまり気分の良いものではありませんでした。
道真の才能や天皇から受ける重用に嫉妬した時平を中心として、道真を政界から追いやろうする向きが高まります。そのころ宇多天皇には2人の息子がいて、そのうちの1人に天皇の座を譲り、自分は宇多上皇となっていました。天皇の座を譲り受けたのが醍醐天皇であり、もう1人の息子が斉世親王です。
道真の娘は斉世親王の元へ嫁いでおり、時平はこの関係性を使って道真を陥れることを思い付きました。時平は、醍醐天皇に「道真が娘を斉世親王に嫁がせ、政界での力を強めようとしている」と噂を流します。道真の優秀さをよく知っている醍醐天皇は、自分の座が危うくなると危機感を覚え、道真を都から遠く離れた地方の行政機関、「大宰府」(現在の福岡県)の役人に任命。左遷しました。
【神様として祀られる道真】
大宰府に左遷されて2年後、道真は死んでしまいます。その後、都では疫病が流行り、貴族が原因不明で相次いで死に倒れ、時平や当時の皇太子も死んでしまいました。ついには宮中に落雷があり、醍醐天皇も死ぬことになります。
人々が道真の祟りだとして恐れているところに、都の貧しい女性が道真から「右近の馬場(現在の北野)にほこらを建てて、私が立ち寄ることができるようにせよ」というお告げを聞き、天満天神(※)として菅原道真を祀るようになります。
大宰府で道真が息を引き取ったことから、道真の怨霊を鎮めるために大宰府にも社殿を造ることに。これが現在の北野天満宮と太宰府天満宮です。現在でも多くの人が天満宮を訪れ、道真公を神様(天神様)として信仰しています。
※天満:「怒りが天に満ちた」という意味 天神:人々に災いを与える荒ぶる神の総称
菅原道真と梅
太宰府天満宮には梅が植林されており、飛梅伝説として語られています。
天満天神を祀る日本の神社
太宰府天満宮
太宰府天満宮
福岡県太宰府市宰府4-7-1
【時間】
・開門時刻
午前6:00(春分の日~秋分の日前日)
午前6:30(上記以外)
・閉門時刻
午後7:00(4・5・9・10・11月)
午後7:30(6月~8月)
午後6:30(12月~3月)
午後8:30(毎週金曜日・土曜日)
【拝観料】
無料
【アクセス】
西鉄太宰府駅より徒歩5分
北野天満宮
道真は北野の地を大変気に入っていたとか。なかでも梅の咲く頃に強い思い入れがあったとされています。
北野天満宮
京都府京都市上京区馬喰町
【時間】
午前5:00~午後6:00(4月~9月)
午前5:30~午後5:30(10月~3月)
【拝観料】
無料
【アクセス】
JR京都駅より市バス北野天満宮前下車
防府天満宮
防府天満宮
山口県防府市松崎町14-1
【時間】
午前6:00~午後8:00
【拝観料】
無料
【アクセス情報】
JR山陽本線防府駅より徒歩15分
全国の「学問の神様」を祀る神社
ちなみに学問の神様とされているのは、菅原道真公だけではありません。小野篁や吉田松陰も学問の神様として祀られることがあります。こちらでは、全国にある学問に関係する神社を見てみましょう。
東日本
北海道で最初に菅原道真公を祀ったのが、札幌八幡宮です。道真公のほか、開運・勝負の神様である八幡大神(応神天皇)も祀られています。
札幌八幡宮
北海道北広島市輪厚中央5-3-16
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス】
中央バス輪厚(札幌八幡宮前)徒歩1分
山車の巡行や流鏑馬が有名な盛岡八幡宮でも、菅原道真公が祀られています。境内に末社が10社以上あるという大変規模の大きな神社です。受験生はもちろん、全国から多くの参拝者が訪れます。
盛岡八幡宮
岩手県盛岡市八幡町13-1
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス情報】
JR盛岡駅より車で20分
458年に雄略天皇の名によって建立された神社で、天之手力雄命と菅原道真公を主祭神としています。学問だけでなく、宝くじ運や縁結びなどのパワーもあるとされる神社です。
湯島天神 / 湯島天満宮
東京都文京区湯島3-30-1
【時間】
午前6:00~午後8:00
【拝観料】
大人500円 高校・大学生 300円 小・中学生 200円
【アクセス】
東京メトロ湯島駅から徒歩2分
東京の下町にあり、小野妹子の子孫であり漢詩人・歌人の小野篁を学問の神様として祀っている神社です。同じく学問の神様、菅原道真公も相殿神として祀られています。
小野照崎神社
東京都台東区下谷2-13-14
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス】
東京メトロ入谷駅より徒歩3分
西日本
菅原道真が太宰府へ左遷されたときに、立ち寄ったとされるのが京都の長岡です。道真公の死の知らせを聞き、中小路宗則が道真公を祀って建てられました。
長岡天満宮
京都府長岡京市天神2丁目15番13号
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス】
JR長岡京駅より徒歩20分
日本最古の天満宮だとされているのが菅原天満宮です。小さな神社ですが、道真公が生まれたという伝説のある天満宮で、受験シーズンには全国から多くの受験生がお参りに集まります。道真公のほか天穂日命、野見宿祢命を祀っています。
菅原天満宮
奈良県奈良県奈良市菅原町518番地
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス】
近畿日本鉄道尼ヶ辻駅より徒歩10分
松下村塾で明治時代に活躍する多くの偉人を育てたことから、吉田松陰を学問の神様として祀っているのが松陰神社です。1月に開催されている学業成就をお祈りする勧学祭には、毎年多くの受験生が訪れます。
松陰神社
山口県萩市大字椿東船津1537
【時間】
終日開放
【拝観料】
無料
【アクセス】
山陰本線東萩駅より車で5分