アメリカでは、公共の場で子どもを大声で叱ることはタブーとされています。では、人前で、どのように子どもに注意するのでしょうか。「タイムアウト」から「タイムイン」など、筆者がアメリカに住んで学んだ子どもの叱り方やしつけと、怒らずに済むための工夫を紹介します。
欧米で一般的な「タイムアウト」とは?
子どもが悪いことをしたら、部屋の隅に連れて行き、子どもを一人にして、「年齢×1分」の時間を与えます。2歳なら2分、3歳なら3分、考えさせる時間を設けるのです。
時間が経過したら、どうして「タイムアウト」されたのか本人に聞きます。もし、理由がわかっていない場合は、理解できるように伝え、子ども自身が理解したらそこで終わりです。
大人にも子どもにも、冷静になる時間が与えられるので、双方にとって良い方法ではないかと筆者は感じています。
アメリカの子どもたちは「タイムアウト」が大嫌いなので、「言うことを聞かないと、”タイムアウト”するよ」と言うことが、抑止力になることもありますよ。
ただし、子どもは「突き放された!」と感じて孤独感を抱きやすい側面があり、問題視もされています。
最近では、ダニエル・J・シーゲル博士らが推奨している「タイムイン(Time in)」という考え方が、アメリカで普及しています。まず、問題行動を起こした子どもを落ち着かせるために、親が寄り添って話を聞き、愛情を持って、子どもの理解を深めていくというものです。
日本では、親が悪いことをした子どもに寄り添って、双方が納得するまで話を聞くというご家庭が多いと感じます。「タイムアウト」より「タイムイン」の方がなじみやすく、実践しやすいかもしれませんね。
13歳以上になると……「外出禁止令」
ちなみに、アメリカでは、13歳まで子どもは一人でお出かけできません。短時間でも、車や家の中に一人にしたら、通報されてしまうことも。留守番も子どもたちだけではできません。そんな事情もあり、せっかく一人で出かけられるようになった年ごろの子どもにとって、外でお友だちと遊べないのはかなり辛いことのようです。
筆者の娘や周りの友人の子どもたちもまだ小さいため、外出禁止令を出された身近な例をまだ知りません。聞くところによると、再三、パパママから注意されていたにもかかわらず、子どもが同じ過ちを繰り返してしまった際に、「最後の手段」という感じで使われることが多いようです。
学校で活用されるチャート式「行動チェック表」も効果的!?
フリップチャートになっていて、クラス全員の名前が掲載されています。よい行いをしたらチャートの上に行けて、悪い行いをすると下に下がります。
数段階あるカラーに分かれていて、自分の位置を客観的に見ることができます。もし、一番下まで下がってしまうと、学校から保護者に手紙が届きます。
小学2年生くらいにもなると、日々の行いを自ら振り返ることも可能。このチャートは、日頃から自分の行動を抑制する良いきっかけになっていると実感しています。先生や親が叱らずとも、自ら気づける仕組みですね。
このように、アメリカの幼稚園や小学校では、生徒たちの行動や成果が可視化できる制度が取り入れられています。日本の小学校では、根本に「みんな平等」という教えがあり、なかなかそういった取り組みは見られないのでは、と思いますが、家庭内でもできることもあるので、参考にしてくださいね。
子どもへの注意の仕方も日本とは正反対!?
日本の場合、子どもに注意をする時に「~してはいけない」と言うことが多いですが、アメリカの場合は「~してください」と言います。
例えば、学校の廊下を走ってしまった場合、日本では、「廊下を走ってはいけません」ですが、アメリカの場合、「Walk, please(歩いてください)」と声を掛けます。言われた子どもがきちんと歩くのを見ると、先生が「Thank you(ありがとう)」と返すことも。
他にも、日本では「喋ってはいけません」と注意するのに対し、アメリカでは「静かにしてくれたら、ありがたいです」と声かけします。
伝えたい内容は同じですが、言い方によって、ネガティブな印象にもポジティブな印象にも変わります。子どもへかける言葉選びも大切だと実感しています。
自分の家庭に合うアプローチを取り入れよう
そのため、大声で叱らない方法や、導き方、力でコントロールしない方法が発達しているのではないでしょうか。
子どものしつけ方や叱り方のバリエーションを知れば、ご家庭に合った方法が見つかるかもしれません。アメリカの例を参考に、納得できるアプローチを見つけてくださいね。