詩人の谷川俊太郎さんの絵本作品は、とてもリズミカルなので子どもへの読み聞かせに最適。何度も読んでいるうちに、親も子も、日常のふとした瞬間に絵本の中の言葉が口から出てしまうことがあります。そんな谷川俊太郎さんの絵本から、作品を5冊紹介します。
もこもこもこ
著者:谷川俊太郎(作) / 元永定正(絵)
出版社:文研出版
筆者も子どもにせがまれ、何度も読み聞かせをしてあげました。そうすると、だんだん絵が音に合わせて動いているような不思議な感覚にとらわれるようになりました。とても不思議な絵本ですね。
1ページに言葉はひとつかふたつ。子どもに言葉と絵をじっくりと感じてほしいので、一呼吸以上おいてからページをめくるようにしてくださいね。
あいうえおうた
著者:谷川俊太郎(文)、降矢なな(絵)
出版社:福音館書店
あいうえおきろ
おえういあさだ
おおきなあくび
あいうえお
音読や暗唱のテキストとして使われることの多い「五十音(北原白秋 作)」よりも、幼い子どもにとっては「あいうえおうた」のほうが、楽しく声に出すことができると思います。何度か読んで覚えてきたら、親子でお散歩中などに一緒に暗唱するのも楽しいですよ。
ままです すきです すてきです
著者名:谷川俊太郎(文)タイガー立石(絵)
出版社:福音館書店
この作品の魅力は、全く脈絡のない言葉のしりとりと、なぜかそれによくマッチした個性的なイラストです。絵本の中に突然現れる不思議な言葉や絵に、思わず引き込まれてしまいます。子どもはもちろん、親御さんも夢中になる方が多いようですよ。
しりとり
著者:谷川俊太郎+和田誠
出版社:いそっぷ社
普通の「しりとり」は「ん」がついたら終わりですが、この絵本では特別なルールが採用されています。ぜひ、実際に読んでルールを発見してみてくださいね。
しりとりは、語彙を増やすのに効果的だといわれています。それは、言葉をアウトプットすることで定着させることができるからです。しりとりの絵本をきっかけにして、親子でしりとりをしてみましょう。
月人石
著者:乾 千恵(書) / 谷川 俊太郎(文) / 川島 敏生(写真)
出版社:福音館書店
筆者は、息子が3歳ぐらいのときに漢字を覚えるきっかけになればと考え、この作品を購入しました。はじめて読み聞かせをしたときは、普段読んでいる絵本とは異質な作品だったこともあり、かなり反応が薄かったです。けれども、写真や書についてお互いに感じたことを話しながら読むことで、少しずつ作品に興味を示すようになりました。
見開きページの左側に毛筆で大きく「音」という漢字が書かれ、右側のページには太鼓と太鼓をたたく瞬間の手が写った写真のあるページが息子の一番のお気に入りでした。写真には「きこえる? とおいおと ちかいおと」という谷川さんの言葉が書かれています。このページを見ていると、本当に本の中から太鼓の音が聞こえくるような気がしてきます。
字を覚えさせようとするのではなく、本からは聞こえてくるはずのない音や風を感じながら楽しんでもらいたい作品です。
親子で絵本の中の言葉を声に出してみましょう!
幼いうちは、気に入った絵本は「もう1回、もう1回」と何度もリクエストしてきます。そのときは、ぜひ、とことん付き合ってあげてください。すると、まだ字を読めない子どもが、まるで音読をしているかのように絵本の言葉を声に出すことがあります。この経験を繰り返すことで、音読も抵抗なくすることができるようになるでしょう。