身近な植物を題材にした特徴を持つ、絵本作家・甲斐信枝さんの絵本5冊を紹介します。道端でよく見る雑草や花々が丁寧な文章、繊細な絵で紹介されており、甲斐さんの植物に対する深い愛情を感じることができます。植物だけでなく、それらを取り巻く昆虫などの生き物も生き生きと描かれています。読んだあとは、きっと外に出て雑草や昆虫に触れたり、観察したくなるにちがいありません。
のげしの切ない願いの結末は
著者 :甲斐 信枝(作)
出版社 :福音館書店
カエルやアリなどのように「自分もどこかに行きたい」という願う”のげし”のお話です。のげしはどこにも行くことができず、大好きなおひさまに相談します。太陽はわたしを一生懸命吸い込めばどこかに行けると言ってくれました。
そのとおりがんばって太陽の光を吸い込んだのげしは…というお話です。のげしの気持ちになって読む子どもの心の成長や、前向きになれるストーリーが魅力の絵本です。のげしは道端に咲いている花なので、子どもと一緒に探してみて絵本の世界を拡げてください。
雑草の強い生命力が感じられる2冊
著者 :甲斐 信枝(作)
出版社 :福音館書店
空き地に生えている雑草の世界を5年間にわたり見つめ続けてきた内容です。よく目にはするけれど名前の分からないような雑草たちが丁寧に描かれ、彼らがたくましく生命力の強いものだということがよく分かります。
読んだあとは、道端で見かける雑草たちが、今までとは違った姿で見えることでしょう。
著者 :甲斐 信枝(文・絵)
出版社 :福音館書店
文字はあまり多くなく見て楽しめる構成になっているため、読みやすく小さなお子さまでも楽しむことができます。季節ごとによくみられる雑草が紹介されているので、今生えているのはどの雑草かな?などと子どもと話しながら読んでみてください。
植物がたねを飛ばす瞬間
著者 :甲斐 信枝(作) 森田 竜義(監修)
出版社 :福音館書店
植物がたねをつくり、それを散らすことで種を増やしていく、植物の生き方がわかる絵本です。身近な雑草のたねを題材にしており、たねが広がっていく様子を紹介しています。ただ種を飛ばしているのではなく、遠くまで飛ばすためにいろいろな工夫をおこなっていることに、子どもは興味をそそられるでしょう。
たねが飛ぶ瞬間や綿毛がふわふわと飛ぶ様子など、いろいろなたねの世界を見ることができます。植物がたねをつける秋だけでなく、植物を植える春にも子どもと一緒に見てみてください。