こども達にも人気のおやつ「ゼリー」。今回は混ぜて固めるだけで自然に二層に分かれる不思議なゼリーをご紹介します。
ひんやり美味しくて見た目もおしゃれなこのゼリー、実は科学が関係しているのです。その仕組みと作り方をご紹介します。
「子どもが一人で作れるおやつ」料理で楽しく育む論理的思考力と自立心
自然に二層になる不思議なゼリーとは
今回ご紹介するゼリー、作るときは材料を全部一緒に混ぜるのに固めると二層になるんです!通常二層のゼリーというと、下の層を固めてから上の層を流し入れて固めて作るのでは?と考えますよね。
でもこのゼリーは「自然に」二層になるんです。実はこれは科学の力が隠れているからなのです。分離する?重力?一体どういう仕組み?その不思議をご説明します。
自然に二層になる秘密とは、牛乳の性質と酸!
今回の二層ゼリーの主な材料の一つは牛乳。牛から搾った生乳を加熱殺菌し、紙パックなどに包装されて私たちの手元に届くのが牛乳ですが、その主な成分はカルシウムやたんぱく質、脂質などです。
そしてもう一つの材料はオレンジジュース。なぜオレンジジュースなのかというと、飲むと甘酸っぱいオレンジジュースの酸と牛乳のたんぱく質、この組み合わせがゼリーが二層に分かれるカギだからです。
たんぱく質はオレンジジュースなどの酸が加わると、凝固し水分と分離するという性質があります。オレンジジュースと牛乳を一緒に混ぜることで牛乳のたんぱく質の80%を占めるカゼインたんぱくの構造が変化し、くっ付き合い水分と分離するため、固めている過程で自然に二層に分かれるということです。このたんぱく質と酸の作用はヨーグルトやチーズ作りにも利用されていて私たちの生活に身近に活かされています。
<動画あり>自然に二層になる不思議なゼリーを作ってみよう!
では本当に一緒に混ぜた牛乳とオレンジジュースが自然に二層に分かれるか実験してみましょう!
作り方動画もあるので、合わせて確認してくださいね。
材料
100%オレンジジュース 500ml
牛乳 200ml
生クリーム 100ml
グラニュー糖 60g
ゼラチン 10g
準備するもの
ゼリー型
鍋
ヘラ
作り方
1.ゼラチンを大さじ1の水(分量外)でふやかしておく
2.鍋に牛乳、オレンジジュース、生クリーム、グラニュー糖を入れて弱火にかけます。
3.淵がフツフツしてきたらふやかしたゼラチンを入れて火からおろし、溶かします。この時沸騰させないように注意しましょう。
4.一度裏ごしして型に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固め完成です。
ゼリーが二層になる様子を観察しよう
実際に冷やす過程でゼリーが二層になる様子をご覧ください。
10分後 すでに下に薄く層ができてきました。上の白いところも何となくもこもことした感じになってきています。
20分後 よりはっきりと層が出来てきて、下の層の色が濃くなってきたのが分かります。
1時間後 まだ完全に固まってはおらず液状ですが、はっきりと二層に分かれています。下のオレンジの層も色が濃く澄んできました。
約3時間 冷蔵庫で固めて完成しました。くっきりと二層に分かれています。上の層はクリーミー。下の層はオレンジのさっぱりとしたゼリーが完成しました。
酸による作用・次回予告
今回は酸のたんぱく質を凝固させるという性質を利用して二層ゼリーを作る実験をしました。その他にも酸には食品の色を鮮やかにする、変色を防ぐなどの作用があります。酸性の代表的な食品であるお酢は疲労回復や食欲増進、カルシウムの吸収を助ける、お肉を柔らかくするほか、加熱しても成分が変わらないのも特徴の一つです。
その他食品だけでなくクエン酸は汚れを浮かせて落とすなど、掃除にも使われていますよね。また自動車のバッテリーの電解液に使われるのは硫酸など、様々な酸は液体や固体で存在します。
私たちの生活に欠かせない酸、次回は引き続きその作用に特化した実験レシピ、特にお酢の成分が色素に働きかける力を検証してみようと思います!
変色を防ぐのもお酢、そして色を変えてしまうのもお酢!?ということで次回の実験は「色が変わる焼きそば」です。お楽しみに!