2019年02月28日 公開
幼年童話とは?「見る」から「読む」への橋渡しになる作品4選
「幼年童話」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?幼年童話は絵の多い絵本から、一般的な本への移行をスムーズするための橋渡し役として活用します。いわば絵本と児童文学の中間のような存在。こちらでは幼年童話の定義や選び方、おすすめの作品などをご紹介します。
「幼年童話」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?幼年童話は絵の多い絵本から、一般的な本への移行をスムーズするための橋渡し役として活用します。いわば絵本と児童文学の中間のような存在。こちらでは幼年童話の定義や選び方、おすすめの作品などをご紹介します。
幼年童話とは?
お子さまが成長するにつれ、「そろそろ絵本は卒業させたいな」と感じるときがやってきます。しかし文字の少ない絵本から、いきなり文量の多い児童文学を渡しても、なかなか興味は持ってくれません。それどころか本嫌いになってしまう可能性もあります。
そんなとき、絵本から本への橋渡し役になってくれるのが幼年童話です。幼年童話とは一体どういったものを指すのでしょうか?
幼年童話の特徴
幼年童話とは、簡単にいうと「絵本と児童文学の中間」の本を指すものです。とはいっても、幼年童話の定義は特に定められているわけではありません。いくつか特徴をあげるとするなら、以下のようになるでしょう。
・イラストが多め
・文章が長すぎず、文字が大きい
・文章は長いが、大人が読み聞かせると幼稚園くらいのお子さまでも理解できる
・絵本よりもサイズが小さめのものが多い
・児童文学はほぼ縦書きだが、幼年童話は横書きのものもある
絵本との違い
幼年童話と絵本との違いに、明確なものはありません。「文章だけ見てもお話がわかるなら童話、絵と文章でお話が成り立つのは絵本」といった説や、「絵がメインのものは絵本、絵がおまけなら童話」といった説など、人によりさまざまなとらえ方があるようです。
対象年齢
絵本には大人向けのものもありますが、幼年童話は「幼年」とうたっているだけに、内容は小さなお子さま向けとなっています。年齢の目安としては、およそ幼稚園年中~小学校低学年くらいです。
幼年童話の選び方
なんとなく「幼年童話は定義があいまい」だと感じたかもしれません。確かに、人によっても幼年童話のとらえ方は異なります。こちらでは「児童文学への橋渡し役」として幼年童話を活用する場合の、適切な選び方をご紹介しましょう。
年齢や発達に合わせて選ぶ
もっとも重要なのは、子どもそれぞれの年齢や発達段階に合わせて選ぶということです。普段のお子さまの様子を見て、負担にならず楽しめそうなものを選んであげてください。
その際はイラストや文字の量、文字の大きさも重要なポイント。絵本が苦手なお子さまに、いきなり文字の多いものを選んでしまうと、見た目だけで「つまらなそう」と拒否してしまうこともあります。
読み聞かせるのか、自分で読むのかによっても選び方は異なる
お子さまが自分で読む幼年童話は、さらに慎重に選ぶ必要があります。選び方を間違えると本嫌いになってしまう可能性もあります。自分で読ませる幼年童話を選ぶ場合、最初は以下のポイントを意識してみましょう。
・お子さまが好きなジャンルのもの
・文字が大きく読みやすいもの
・イラストが多めのもの
・1ページに書かれている文章の量が少ないもの
これらをおさえて作品を選ぶと、「絵本からの移行」が緩やかで失敗しにくくなります。
自分で読むのにおすすめの幼年童話2選
まずは自分で読むのにぴったりな幼年童話を2選ご紹介します。
弟や妹がいるお子さまに
タイトル:ごきげんなすてご(1)
著者 :いとうひろし(作・絵)
出版社 :徳間書店
下に弟や妹ができると、ほとんどの子どもが「赤ちゃんが生まれるまではパパママを独り占めできたのに……」と感じます。どんなにパパママが気をつけていても、そう感じるのは多少仕方がないことかもしれません。
この本に出てくる女の子も、弟が生まれ「お母さんは弟ばかりかわいがる」と不満を感じていました。そこで女の子は、なんと「すてご」になることに。
湿っぽくなりそうなテーマですが、ストーリーは楽しくユーモラス。結末もハッピーなので、スイスイ読み進めることができるでしょう。また字が大きくイラストもかわいらしいので、お子さまが一人で読む童話としてもぴったりです。
なぞなぞが好きなお子さまに
タイトル:なぞなぞのすきな女の子
著者 :松岡享子(作)、大社玲子(絵)
出版社 :学研
最近はテレビ番組などで「なぞなぞ」が取り上げられることも多くあります。その影響から、なぞなぞが好きなお子さまも多いのではないでしょうか。『なぞなぞのすきな女の子』は、そんなお子さまにぴったりの1冊です。
この童話の主人公は、なぞなぞが大好きな一人の女の子。ある日、女の子が遊び相手を探しに森に出かけると、オオカミとばったり出くわしてしまいます。得意のなぞなぞを使ってピンチを切り抜ける女の子。さてどんな方法を使ったのでしょうか?
「うまくオオカミから逃げられるかな?」とドキドキしながら、どんどんページをめくってしまうはず。最後まで読み終えたら、自分でもなぞなぞを作ってみたくなるかもしれません。
読んでもらうのにおすすめの幼年童話2選
自分で読むのはまだ少し大変でも、読んでもらうと楽しい幼年童話をピックアップしてみました。
ワクワクの冒険ストーリー
タイトル:エルマーのぼうけん
著者 :ルース・スタイルス・ガネット(作)、渡辺 茂男(訳)、ルース・クリスマン・ガネット(絵)
出版社 :福音館書店
パパママのなかにも、読んだことがあるという方は多いのではないでしょうか。1963年に出版されて以来、世界中の子どもたちの支持を集めてきた、幼年童話の定番ともいえる作品です。
文字が多くお話自体も長いのですが、なぜか子どもの心をグッと惹きつける魅力があるよう。実際に筆者の娘も、年長のときに幼稚園の先生に読み聞かせてもらい、その面白さにハマっていました。
主人公エルマーが、「りゅう」のこどもを助けに行くという冒険の物語です。絵は少ないのですが、助け出すまでの苦難を乗り越える様子にワクワクし、聞いているだけでエルマーの活躍が目に浮かぶでしょう。
エルマーの本はシリーズ化されており、お子さまにうまくハマると本を好きになるきっかけになるかもしれません。長いお話なので、無理せず少しずつ読み進めてみてください。
幼稚園や保育園に通うお子さまに
タイトル:いやいやえん
著者 :中川 李枝子(作) 、大村 百合子 (絵)
出版社 :福音館書店
幼稚園や保育園に通うお子さまに、ぜひ読み聞かせてあげたい絵本です。お話は5話に分かれているため、幼年童話初心者のお子さまも飽きずに最後まで聞けるでしょう。物語はどれも、主人公のしげるが通う保育園で起こった出来事。子どもにとっては身近な話題でもあるので、親しみもあり、感情移入がしやすいはずです。
幼年童話で物語の世界を広げて
絵本に慣れてきて、少し物足りなさを感じているようなら、幼年童話デビューの時期かもしれません。物語の世界が広がることで、さらに読書が好きになるでしょう。お子さまの好みや発達段階などを考慮して、無理なく楽しめる本を選んであげてください。