現地時間2022年9月8日に96歳で死去し、9月19日に国葬が行われたイギリスのエリザベス女王。日本でも女王の名前を聞けば、すぐにお姿を思い浮かべることができる方は多いでしょう。それくらい国内外から慕われ、注目されていたエリザベス女王とは、一体どんな人物だったのでしょうか。
今回の英国すくすくレポでは、現地の声も踏まえつつ、エリザベス女王のご活躍を振り返ります。
子育てでも大切にしたい【ブリティッシュ・バリューズ(英国的価値観)】とは?
エリザベス2世
エリザベス女王の全名は、エリザベス・アレクサンドラ・メアリー(Elizabeth Alexandra Mary)。
「国王のスピーチ」という映画でも有名なジョージ6世とエリザベス妃(エリザベス・ボーズ=ライアン)の第1子・長女として誕生しました。
1952年、父である国王ジョージ6世が崩御したことから、25歳という若さにしてイギリスの君主(女王)として即位し、1953年に戴冠式が執り行われました。21歳の誕生日の時に、「私の人生が長くても短くても、生涯、公務に我が身をささげることを皆さんの前で誓います」と宣言した言葉の通り、王位を引き継ぎ、ご崩御されるまで、国と国民にその生涯を捧げました。
子どもの頃から生真面目で勤勉、とても保守的で几帳面にご公務に取り組まれていた女王ですが、愛犬家(飼ったことがあるコーギー犬の合計数はなんと30匹!)であったり、チョコレートが大好きだったり、車の運転や乗馬を楽しまれていたという一面もありました。笑顔の写真も多く残されており、親しみやすさも感じるエリザベス女王は、国民からの人気も高かったです。
即位70周年を祝うプラチナ・ジュビリー
今年2022年の2月には、英国君主として歴史史上初となる「即位70周年」を祝う「プラチナ・ジュビリー (Platinum Jubilee)」を迎えたことも記憶に新しいですね。
イギリスの小学校では、プラチナ・ジュビリーを記念した絵本が配布されました。
絵本の中身はこのような可愛らしいデザインで、女王や王室に関する歴史的な情報がたくさん載っています。我が家の娘たちは、この本がとてもお気に入りのようで、それぞれの本棚の特別な場所に飾って、大切に読んでいます。
この絵本では女王が残した名言や、ファミリーツリー(家系図)、女王が辿った人生・歴史などをはじめ、70年という長い時間の経過をキュートなイラストで学ぶ事ができます。女王に関することの他にも、イギリスの歴史、歴代の首相の名前や、この70年の間の発明や流行、王室が関わっているチャリティー活動など、英国に関することがたくさん掲載されており、大人でも勉強になる内容です。
エリザベス女王が在位していた間には、それはそれは本当に様々な出来事が起こりました。政治的な問題、王室のスキャンダル、近年ではブレグジットやロックダウンなど、女王にとっても頭を悩ませるものごとが数々ありました。それでもご公務を全うし、英国の安泰が続くように尽力し国を率いてこられた功績は大変素晴らしいものでした。
▼配られた絵本はこちら
ユニークな共演も!
イギリスに関するキャラクターと言えば「熊のパディントン」が有名ですが、このパディントンとエリザベス女王が共演する、とっても素敵な動画があるのをご存じですか?
実は、プラチナジュビリーのお祝いに合わせて作られた、とってもお茶目な動画なんですよ。
女王のお祝いに駆けつけたパディントンは、お茶会の席で、女王の目の前にも関わらずたくさんの失敗をしてしまいます。(見てるこちらがハラハラするほど!)
そんなアクシデントに対し笑顔で優しく対応するエリザベス女王は、貫禄の中にもお心の広さが表れています。
エマージェンシー(緊急用)マーマレードサンドイッチを忍ばせているという下りは、見ていてクスッと笑ってしまうほどお茶目。ブリティッシュジョークが光っています。ぜひチェックしてみてくださいね。
共演と言えばもう一つ有名なものに、2012年に開催されたオリンピックの開会式があります。
それは、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンド(007)がスマートに女王をお迎えに宮殿へ現れ、2人でオリンピック会場へ移動して開会式に登場するというもの。
女王の愛犬コーギーたちも一緒に共演し、英国王室らしさが垣間見れるシーンもあります。
この共演の案を提案されたとき、エリザベス女王は5分で快諾したそうですよ!
ジェームス・ボンドのエスコートでヘリコプターに乗って開会式会場へ向かう女王ですが、約6分の映像の中のユニークでとてもアクティブな演出は最後まで必見ですよ!
(終盤、女王はヘリコプターからパラシュートで…という驚きのシナリオなのです。)
この開会式のエピソードは、先ほどの絵本でも紹介されるほど有名です。とっても記憶に残る印象的な開会式となりました。
国民に愛された女王
このように愛らしく親しみやすい側面と、厳しいしきたりを守りながらご公務を全うされたエリザベス女王は、国民から長年親しまれ愛されてきました。特に一緒に歴史を歩んできた年配の方からの支持は厚く、今回のご崩御では、年齢を問わず多くの国民がエリザベス女王とのお別れを心から惜しみました。
今、季節は秋になり、少しずつクリスマスの時期が近づいています。クリスマスには毎年エリザベス女王が一年を振り返ってスピーチをしていました。筆者の周りでも、今年の女王のスピーチが聞けないのがとても残念だという声が聞かれます。
王室ファン、王室擁護派でなくとも、エリザベス女王が残した功績は深く心に刻まれていることでしょう。国内外問わず人々の尊敬を集めてきた女王の人生は、言葉にしがたいほど濃いものでありました。
70年間もの間、イギリスのためにご公務に励まれたエリザベス女王のご冥福を、心からお祈り申し上げます。
■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓