イソップ童話は単に娯楽的な読み物としてだけではなく、教訓や道徳などの教育的な意味合いを含んだ物語です。そこで今回は、読み聞かせに最適な子どもたちの興味を引きやすい、オススメのイソップ童話を4作品ご紹介します。
一歩一歩努力する亀が勝利!『うさぎとかめ』
著者 :作・絵 平田 昭吾
出版社 :ポプラ社
足の速いウサギと、足の遅いカメがかけっこの競争をします。足の速いウサギはどんどん先に行き、カメが追い付いてくるまでと余裕で居眠りをはじめてしまいました。一方、ウサギが眠っている間も、カメは一歩一歩着実に足を進めて、ついには眠りこけているウサギを追い越しゴールへ。ウサギが目を覚ましたときには、すでにカメはゴールをした後でした。
足の遅いカメが足の速いウサギに勝ったように、「何事も、あきらめずに頑張れば、努力は報われますよ」
反対に、「他人を馬鹿にしたリ、油断したりすれば、いくら才能があっても負けてしまいますよ」という、教訓が込められた物語です。
コツコツと働くアリの努力が実る『ありときりぎりす』
著者 :作・絵 平田 昭吾
出版社 :ブティック社
暑い夏の日、野原でキリギリスが楽しく歌っていると、アリたちが汗を流しながら食べ物を運んでいます。
アリは、「冬に食べ物がなくなったときのために、今のうちから蓄えているのだ」と言い、それに対してキリギリスは「冬のことは冬になってから考えればいい」と言い返し、また楽しく歌を歌うのでした。
やがて秋が過ぎ冬になったとき、雪に埋もれた大地にキリギリスの食べる草は一本も生えていませんでした。一方、今まで汗水流して食料を蓄えてきたアリは、冬にも飢えることなく豊かに暮らしているのでした……。
コツコツと努力をしてきたアリと、遊んでばかりいたキリギリス。
努力を怠ったキリギリスは、冬の寒空に、ひとりしょんぼりと雪の野原にたたずんでいます。
なんともかわいそうなラストですが、ここがオススメの教訓のポイントです。
人の心を動かすのは?『きたかぜとたいよう』
著者 :文 蜂飼 耳 ,絵 山福 朱実
出版社 :岩崎書店
旅人の洋服を脱がす競争を北風と太陽がはじめました。北風は強い風で洋服を吹き飛ばす作戦できますが、旅人は服を飛ばされまいと必死に抵抗したため、失敗に終わります。一方太陽は、温かい光をさんさんと降り注ぎ、旅人は自分から服を脱ぎ、勝負は太陽の勝利で幕を閉じたのです。
「人を動かすのは力ではなく、思いやりや優しさ」
「物事を解決するには、急がば回れ」
そんな教訓が込められた物語です。子どもはもちろんのこと、大人にも考えさせられる物語です。
現代風『まちのねずみといなかのねずみ』
著者 :原作 イソップ, 文・絵 いもと ようこ
出版社 :金の星社
田舎のネズミの家に、町のネズミが遊びにやってきました。
朝摘みした苺や自然の恵み、葉っぱの布団に町のネズミは不満顔です。
今度は、町のネズミの家に田舎のネズミが遊びに行きますが、そこは危険がいっぱいで、田舎のネズミはやっぱり自分の家が一番だと再認識するのでした。
「安心できる生活や場所は、人それぞれ」
「価値観は人によってことなるもの」
そんな教訓が込められています。
人はだれでも、自分の物差しで他人を測ってしまいがちですが、人それぞれの価値観があるのだということを、大人の私たちにも思い出させてくれる……そんな物語です。
この絵本は現代風にアレンジされているので、小さなお子さまでもすんなりと物語の世界に入っていけるのがオススメのポイントです。
イソップ童話の読み聞かせで、楽しく学ぼう!
どのお話も、たくさんの人たちに親しまれてきた人気作ばかりです。イソップ童話は教訓が込められてはいますが、動物や昆虫が主人公の物語が多く、子どもたちにも親しみやすいことがオススメのポイントです。ぜひ、読みきかせに取り入れて楽しく学んでみてくださいね!