2016年09月29日 公開

2020年にプログラミング教育が必修化!目的や準備、注意点とは?

文部科学省が進めている「プログラミング教育」の必修化。2020年度には小学校から導入されることとなりました。しかし「プログラミング教育って何?」と不安を感じているパパママも少なくないはず。そこで「プログラミング教育」の目的や必要性などについて詳しくご紹介しましょう。

文部科学省が進めている「プログラミング教育」の必修化。2020年度には小学校から導入されることとなりました。しかし「プログラミング教育って何?」と不安を感じているパパママも少なくないはず。そこで「プログラミング教育」の目的や必要性などについて詳しくご紹介しましょう。

そもそも「プログラミング」って何?

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まずは「プログラミング」とは何かを確認しておきましょう。現代社会はスマホやパソコン、カーナビに洗濯機など、ありとあらゆる製品にコンピューターが使用されています。しかし機械であるコンピューターは、作っただけでは動きません。コンピューターを動かすための指示が必要です。

この指示を人間がコンピューターに与えることを「プログラミング」と言います。とはいえコンピューターに「動け!」と日本語で言っても、当然ながら動きません。そこでコンピューターにわかる言葉「プログラム」を使って伝える必要があるのです。

人間に多くの言葉があるように、「プログラム」にもさまざまな専用の言葉があります。こういったコンピューターにわかる言葉を学び、コンピューターにわかるような指示を作ることが「プログラミング」です。

世界的にも需要が高まる「プログラミング」の必要性

社会のIT化の加速により、世界中でIT分野の人材不足が懸念されています。実際にヨーロッパでは、90%以上の職業でITのスキルが必要だと認識されているほど。今後もコンピューターの役割は拡大していき、ますますIT人材の不足は加速するでしょう。

海外ではこういったIT人材の不足に対応するため、相次いでプログラミング教育に取り組んできました。たとえばイギリスでは、2013年から義務教育でプログラミング教育を必修化し、プログラミング言語やアルゴリズムを学んでいます。フィンランドでは2016年から小学校でプログラミング教育が必修化されました。

こういったことから日本もコンピューターを「使える人」だけではなく、「作ることができる人」を増やす対策をとることに。そして2020年度から小学校でプログラミング教育を必修化する運びとなったのです。

「プログラミング教育」必修化の目的とは?

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では小学校でのプログラミング教育必修化の目的は、具体的にどういったことがあげられるのでしょうか。

文部科学省「学習指導要領」改訂の一部として実施

小学校では2020年度から、改訂された新しい学習指導要領が全面実施されることをご存じの方も多いのではないでしょうか。学習指導要領は、約10年ごとに文科省により改訂されます。今回のプログラミング教育の必修化は、新しくなった学習指導要領の一部です。

プログラミング教育以外にも、「英語を教科として取り入れる」などこれまでの学習指導要領から大きく変更となるポイントがいくつかあります。今後社会はIT化だけではなくグローバル化も進むと考えられています。こういった社会の大きな変化に対応できる人材を育てるため、教育も大きく変える必要があるのです。

プログラミング的思考を育む

プログラミング教育のねらいは、じつは「プログラミングができるようになること」ではありません。プログラミング的思考を育むことが大きな目的です。プログラミング的思考とは、プログラミングを行う際に必要な考え方のこと。プログラミングをスムーズに行うためには、技術やマニュアルを身につけるだけではなく、考え方を養うことも欠かせないのです。

プログラミング的思考には、論理的思考や問題解決能力などがあげられます。プログラミング教育のなかで試行錯誤を繰り返し、トライアンドエラーを経験することで、こういった思考は養われるでしょう。

そしてこの思考はプログラミングだけではなく、ほかの教科を深く理解することにも役立つと考えられます。社会に出てから、さまざまな問題にぶつかり、自分の力で解決しなければならない場面は数多くあるもの。そういったときにもプログラミング的思考は活用できます。

第4次産業革命への対応、IT人材不足の解消

「第4次産業革命」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。産業革命とは、産業の変革にともない社会構造が大きく変化すること。第4次産業革命ではAIなどの進化により、衰退する産業が出てくると予想されています。それにより仕事を失う人も出てくるかもしれません。

その一方で、日本は海外よりもさらにIT人材の不足が深刻化すると考えられています。経済産業省によると日本のITに関する人材は、2020年には約37万人、2030年には約79万人不足するとの予想に。こういった大きな社会の変化に対応し、活躍できる人材を育てる必要があるのです。

また今後どんな職業についても、多かれ少なかれIT力は必要となります。そのためたとえプログラマーにならなかったとしても、小学校のプログラミング教育で培った能力は役立つでしょう。

「プログラミング教育」必修化にむけての準備

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2020年に始まる「プログラミング教育」に備え、ちょうど小学生になる子や幼児のお子さまを持つパパママはどういった心構えが必要なのでしょうか。

PCやタブレットなど最低限の学習環境を整える

最近の子どもは、生まれたときからIT環境が整っているデジタルネイティブ世代です。そのためパソコンやタブレットなどに触れ慣れているお子さまは多いのではないでしょうか。一方、家庭の方針で「子どもにあまりIT機器を使わせていない」という家庭もあるかもしれません。

しかし子どものなかには、初めてのものに苦手意識を持つ子も少なからずいます。小学校に入る前にパソコンやタブレットなどを用意し、操作に慣れておくと安心です。

数学や言葉など創造力を伸ばす

プログラミングを行うためには、プログラミングの技術よりもまずは言葉や数字を理解する力が必要となります。プログラミングのやり方よりも、まずはそういった基本的な能力をしっかりと教育することが重要です。

また第4次産業革命により、AIの苦手な分野である「創造力」が鍵を握ると言われています。小さな頃から生活や遊びのなかで、創造力を促すような取り組みを意識的に取り入れると良いでしょう。

親も積極的にプログラミングに興味を持つ

子どもは親が興味を持っているものや、楽しんでいることに興味を持つ傾向にあります。パパママがプログラミングに興味を持っているそぶりを見せると、自然と子どもも興味を持つようになるでしょう。

「パソコンは苦手」というパパママもいるかもしれません。そんなパパママは、お子さまと一緒にプログラミングを学んでみてはいかがでしょうか。子どもは適応力が高いため、パパママをすぐに追い越し、子どものほうがプログラミングに詳しくなる可能性もあります。

そんなときは子どもに「わからないから教えて」とお願いしてみましょう。パパママに教えることで、さらにモチベーションがアップするのではないでしょうか。

プログラミング教育必修化で注意すべきこと

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小学校のプログラミング教育に関し、誤った認識もいくつか広がっているようです。そのなかで、多くの方が誤解しているポイントについて解説します。

算数や理科の教科に「プログラミング」の要素が組み込まれる

「プログラミング教育が必修化される」と聞き、「プログラミング」という教科が増えると思っている方も多いのではないでしょうか。しかしそれは間違いです。

プログラミングという教科が新設されるわけではなく、算数や理科などもともとの教科のなかで、プログラミングの要素を取り入れるというのが正解。そしてその取り組み方は、各学校や先生に任されています。

プログラミング言語やコーディングなどのスキルは学ばない

プログラミングを取り入れるといっても、小学校段階で本格的なプログラミング言語やコーディングなどのスキルを学ぶわけではありません。これまでの小学校での実践例を見てみると、たとえば算数では「Scratch」 という子ども用のプログラミング教材を使い作図をする、音楽では同じくScratchを使い作曲するといった形です。

教科で学ぶ内容に絡め、自然な形でプログラミングを導入するよう工夫されています。

必ずしも授業でPCやタブレットを使用するわけではない

プログラミング教育には実際にパソコンを使用して行うものと、パソコンを使用しないアンプラグドなものがあります。とくに低学年の場合は、パソコンを使わずにプログラミング的思考を養う活動を、プログラミング教育として行うことがあるそうです。

しかし文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第二版)第2章」では、プログラミング教育においてパソコンやタブレットの使用が推奨されています。そのため今後さらに小学校のITやICT環境が整えられ、プログラミング教育にパソコンやタブレットが使われることは増えるでしょう。

「プログラミング教育」より大切なこと

「プログラミング教育」に力を入れているのは文部科学省だけではありません。総務省でも、優秀なIT人材を2025年までに100万人を育成する計画を立てています。しかしパパママも焦ることはないのでご安心を。しっかりと基礎となる学習を小さいときから行っていれば、プログラミング教育が始まっても子どもたちはすぐに吸収します。

大切なことを見失わず、言葉・数学・創造力などを、遊びや生活を通してしっかりと身につけられるように導いてあげましょう。

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この記事のライター