ひらがな、カタカナ、漢字と3種類の文字を使い分ける日本語は難しいとされていますが、フランス語も女性名詞・男性名詞があり、また動詞の活用がたくさんあったりと、難易度の高い言語のひとつ。そんなフランスの、初等教育を中心とした国語教育事情についてご紹介します。
国語は文法と綴りに重点を
中でも特徴的なのが「ディクテ(dictée)」と呼ばれる「書き取り」。先生が読み上げる文学テキストを生徒が一斉に書き取るというスタイルの授業です。「書き取りだけだったら簡単そうじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はフランス語ではこれがかなり難しいのです。
フランス語を少しでも学ばれたことのある方ならよくわかるかもしれませんが、同じ名詞で発音が同じでも女性名詞・男性名詞で綴りが異なったり、動詞の活用が主語によって変わったり、特有のアクサン(綴り字)記号があったり……と、正しいフランス語を書くのはネイティブでも至難の業。
「ディクテ(dictée)」の結果を見るだけで、どれだけのフランス語能力を備えているかが一目瞭然というわけです。
国語の授業は、ほとんどが午前中
授業時間が午前中とされていることからも、国語に対する、力の入れようが伺えますね。
母国語で落第もある
日本では「落第は汚点・恥」だと思う親御さんが多いのではないかと思います。しかしフランスでは、「きちんと理解できてないのに上の学年に進ませる方がかわいそうだ」という意見が多く、落第に対して日本ほどマイナスのイメージはありません。
初等教育でも生徒を落第させることもあり、母国語であるフランス語でも落第する子もいます。
国語教育徹底のため、義務教育を3歳から実施⁉
「教育格差をなくすことを目標とし、貧困地域などで小学校の授業についていけず落第する生徒が多くいる現状を解決するために、特に国語教育に力を入れる」といったことからだそう。
国を挙げて、さらなる国語教育の徹底を目指していることが伺えますね。
最後に
議論好きなフランス人。哲学や政治について、ワインを片手に熱弁を振るう姿を見て、「背景にあるのは初等教育からの厳しい国語教育の成果かな」と思えてくることも……。
しかし、厳しい教育の元、正確なフランス語を上手に操る人が多くいる一方で、すべての地域で皆にフランス語教育が行き届いているわけではないと思わせる現状もあります。フランスの中学校に務める親戚の話では、中学生でも簡単な文法を間違える子が多々いると嘆いていました。移民も多いお国柄で、国内におけるフランス語の学力の差は、できる子とできない子でかなりの開きがあるのも事実のようです。