2歳くらいまでは、お友達と遊ぶ時は保護者が見守っていることが多いので、子ども同士の喧嘩やトラブルがこじれることは少ないかと思います。
子ども同士が激しく衝突しても、「親同士が気遣い合う」ことで解決できることがほとんどです。
しかし保育園、幼稚園、小学校などの集団生活では、大人の目がそこまで行き届きません。社会性を育てる観点から、先生が「子ども同士の喧嘩やトラブルを見守る(子どもに任せる)」こともあります。
そのため場合によっては些細な誤解、すれ違いが”いじめ”や”クラス分断”などに発展することも。
小学校低学年くらいまでは、程よく親が介入することで問題がスムーズに解決することも多いです。
親同士のトラブルにもなりかねない「子ども同士のトラブル」。大事にさせずに、円満に解決させる対処法をご紹介いたします。
5,6歳までは親の介入が必要
他者を思いやる、気にかける「思いやりの心」が育ち始めるのは2,3歳くらいからと言われています。
この「思いやりの心」は、ママパパ、兄弟などの身近な人の「自分や他者のへの接し方」を見て、学んでいきます。
はじめは褒められるために行っている行動や言動であったとしても、想像力と共感性が育つことで「思いやりの心」が伴うようになります。
4,5歳くらいになると、友達に対しても思いやりの心が持てるようになります。自分からおもちゃや遊具を譲る、泣いている友達を慰める、年下の子には優しく接する、などの行動が増えてきます。
ただ「感情のコントロールを司る」大脳の前頭葉の発達は、他の領域より発達が遅いため、小さい子ほど喧嘩やトラブルが起きやすくなります。
前頭葉は5歳~20歳まで長い時間をかけてじっくり成長します。
そのため「怒り、悲しみ、いら立ちを我慢する」ことは小学校低学年くらいまでは難しいことも多いです。
5,6歳くらいまでの喧嘩は親が介入して解決の糸口を探してあげるとスムーズです。
参考資料:東京都生涯学習情報「脳と心の発達メカニズム ~五感の刺激の大切さ~」
https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/document/leader/leader02_1.html
小学校低学年以降も介入が必要なことも
学校に行きたがらない、食欲が落ちる、身支度を面倒がる、情緒不安定が続く・・・子どもの心や体の不調、変化を感じたら、無理やり理由を聞き出さずに「話しやすい雰囲気」を作りましょう。子どもの発話量を増やすようにして、親は聞き役になることで、子どもが自分から悩みを話せるようになります。自分の子が加害者、被害者に関わらず親が良く話を聞き「悩み」を共有することが大切。
特定の子からのいじめ、クラスでの孤立、自分がしているいじめ、先生とのトラブルなどは、年齢が上になるほど複雑化します。小学校3年生以上で親が介入する場合は、学校に相談するとスムーズ。子どもの年齢に応じた解決法を提示してもらえるはずです。
先生の監督のもと、当事者通し話し合わせて、解決後にそれぞれの保護者へ連絡がいくこともあります。大きなトラブルの場合は保護者を交えての話し合いが持たれることも。いずれにせよ学校が間に入ることで、生徒同士、親同士が話しやすくなるでしょう。
怪我を伴うトラブルについて
怪我の大小、故意か過失に関わらず、園や学校で子ども同士のトラブルで怪我が発生した場合、加害者・被害者双方の保護者に連絡が入るはずです。
その場合は保護者同士で連絡を取り合い、謝罪をする、治療費について話し合う、子ども同士の和解などを行います。
しかし、先生が見ていない所でのトラブルの場合は、親が気づけないことがあります。
普段から子どもの話を良く聞くようにしましょう。
「友達に突き飛ばされて転んで口を切ってしまった。」
「ふざけていて友達を転ばせてしまい、膝に擦り傷ができてしまった。」
「喧嘩がヒートアップ。殴り合いになりお互い顔が腫れてしまった。」
などの話を聞いたら、園や学校に確認をとりましょう。
必要に応じて先生が間に入り、相手の保護者に連絡を取り事実確認をしてくれるはずです。
保護者同士の話し合いを持つ場合もあります。子ども同士が和解し、元の学校生活を送れるようにするために、自分の子どもの話だけではなく、相手側の意見も冷静に受け止めましょう。
小学生までの子ども同士のトラブル介入方法
幼稚園、保育園、小学校低学年までのお子さまでしたら、今日の出来事を聞いてあげる時間を毎日取ることで、喧嘩やトラブルに気づけます。
「○○ちゃんとぶつかって、泣いちゃって、2人で保健室に行ったの。」
「○○君が蹴っ飛ばしてきたから、お返しに腕をひっかいた!」
などの”怪我”に関するトラブル発言があったら、園や学校に確認を入れると安心です。
大きな喧嘩、怪我を伴うトラブルですと、園や学校から連絡が来るはず。ただ、小学校になると遊びの中での擦り傷ぐらいでは、連絡が来ないこともあります。
親と良く話をする子でも、喧嘩やトラブルの報告時は、自分に都合が良いように話をしてしまう子も多いです。
我が子の話を鵜呑みにして、カッとなるのは危険です。連絡先を知っているからと言って、相手の保護者にいきなり連絡するのはNG。
一呼吸おいてまずは、園や学校の先生に確認、相談しましょう。
以下、子ども同士のトラブルの介入方法、解決策をご紹介いたします。
自分の子を含めた、トラブル当事者全員の話を聞く
保護者が複数いる場合は、「自分の子ばかりを責める人」、「話を聞かずに泣いている子ばかり庇う人」、「子ども達を問いただす人」など対応は分かれると思います。
できれば1人でも「どうしたの?」と声がけし、それぞれの子の言い分を聞いてあげる大人がいると良いですね。
話を聞いているうちに、子ども、親共に冷静に状況がつかめてきます。焦らず子ども達の話を聞く”心の余裕”が欲しいですね。
暴力を伴う喧嘩はとにかく止める
先にも述べた通り、前頭葉の発達が未熟な子どもは「感情のコントロール」ができないこともあります。特に小学校低学年までは、感情爆発と共に手が出てしまう子もいます。
叩く、殴る、蹴る、つねる、噛む、物を投げる・・・危険な暴力行為はすぐに止めさせます。
喧嘩をした子同士は、直ちに引き離し、お互いの保護者、または先生の側で落ち着かせましょう。
謝罪、話し合いは子どもが落ち着いてからさせます。
園や学校と連携を取る
子どもから毎日のように聞く「特定の子からの嫌がらせ」。
やめて欲しいと伝えているのに嫌がらせは続いている・・・こんな場合は幼稚園、保育園、学校に連絡をして解決策を一緒に考えてもらいましょう。
一方的に相手の子、担任の先生を責めるのではなく、子どもから聞いた話を伝え、事実関係を確認します。トラブルを園や学校が把握してなければ調査して、後日連絡をくれるはずです。
親が直接介入せず、先生の監督のもと”子ども同士”を話し合わせることで遺恨が残りません。
普段から良好な近所づきあいを心がける
挨拶をする、地域の清掃活動に参加するなど、当たり前の近所づきあい、ママパパ友づきあいを大切にしましょう。
保護者がいない時に、子どもを守ってくれるのは「社会の目」です。普段から親子で、近隣の方とコミュニケーションを取っておくことが自分の子を含めて、多くの子どもを守ることにつながります。
子ども同士のトラブル時に、気軽に話し合える関係性を築いておくと安心です。
幼児~小学生低学年に多い「友達の家でのトラブル」
8歳男児「親に確認せずに友達の家に行ってしまった」際のトラブル事例。
小学2年生のA君は、放課後はいつも、同じクラスの4人の男子と学校の側の公園で遊んでいました。母親にも”公園の場所”と”誰”と遊ぶかは伝えていました。
ただそれぞれの親同士はあまり交流がなく、お互いの連絡先を知りませんでした。
ある日、公園で遊んでいる途中にA君が4人を家に誘いました。
4人は自宅にいる母親、祖父母に「A君の家に行く許可を取りに戻る」のが面倒だったので、そのままA君の家へ行ってしまいました。
A君の母親が4人に「お家の人に言ってある?大丈夫?」と確認したところ、全員「大丈夫です。」と答えてそのまま2時間、帰りのチャイムがなるまでA君の家で遊んでしまいました。
4人が帰宅する際、A君の母親は息子と一緒に公園まで送っていきました。
そこで4人の母親、祖父母と遭遇しトラブルになってしまいます。
というのも、この2時間の間、4人の保護者は子どもや孫が公園にいないことに不安を感じ、付近を探し回っていたため、いら立ちからA君の母親を責めてしまったからです。
4人の母親、祖父母の言い分は「断りもなく子どもを家に連れて行かないで欲しい」でした。
それに対しA君の母親「お子さまに確認したら大丈夫と言っていました。連絡先をわからないので保護者の方には確認しようがなかった。」と返しました
その後4人の母親、祖父母はA君の母親に謝罪し、感謝してお互いの連絡先を交換し合いました。
このような「保護者に黙って、よその家にお邪魔してしまう」「相手の保護者に伝えずに家に招いてしまう」ことに関するトラブルは低学年までの子どもに多いようです。
上記以外にも
「保護者が不在の家で、子どもだけで遊んでいて事故や火事が起きた」
「子どもが連れてきたお友達にアレルギー確認の上でおやつをあげたが、後でその子の母親から抗議の電話が来た(小学校の担任経由で)」
「家で大暴れされて家具が壊されたが、相手の親には言いづらい」などのトラブルもあります。
友達の家に行く、友達を家に招く際のトラブル対策と対処法
■親の許可と親同士の連携は必須
友達のお家にお邪魔する場合は、必ず親に許可を得るように言い聞かせましょう。誘われたからと言って、無許可で行くのは禁止します。
遊びに行く前に相手の親に挨拶をしておき、連絡先を交換しておくと安心です。
■不在が多い場合は連絡手段を確保
子どもにキッズ携帯、スマートフォンを持たせることも勝手な訪問や危険行動の抑止力になります。
通信機器を持たせる、持たせないに関わらず、自宅電話番号・親の携帯、スマートフォンの電話番号、自宅住所の3つは覚えさせておくか、わかるものを持たせておきましょう。
小学校低学年までは「親への確認」を習慣化させた方が安全です。
■友達の家までの送迎が安全
幼児~小学校低学年のうちは防犯面からも、友達の家への送迎を行った方が良いでしょう。親子一緒に訪問することで、相手の保護者の負担や不安も減らせます。
近いからと言って、1人で向かわせると迷子になることも。
■安易におやつをあげない、もらわない
友達の家を訪問する、友達を招く、どちらの立場でも、おやつは相手の親と相談して決めましょう。食物アレルギーがある場合は生死に関わります。
特に子どもが小さいうちは、それぞれの家庭で食のこだわりがあることが多いです。むやみに食べ物を与えることはトラブルの元。
おやつの後に遊ぶ、保護者同伴で遊びに来てもらう、など工夫をしましょう。
低学年以降から増える「些細な言い争いから親を巻き込んだトラブル」
小学3年生、Cちゃん、Dちゃん、Eちゃん、Fちゃんの4人は幼稚園からの仲良し。家が近いこともあって、放課後は毎日のように遊んでいました。
夏休み目前の7月中旬の放課後、高温注意報が出る中、4人は公園で遊んでいました。2人ずつ分かれて、鬼ごっこをしていましたが、「足の速さ」でCちゃんとDちゃんが喧嘩を始めました。
結果CちゃんはEちゃんを連れて、家に帰ってしまいました。公園に残されたDちゃん、Fちゃんは炎天下の中2人を30分待っていましたが、戻ってこないので家に帰りました。Dちゃん、Fちゃんの母親は、熱中症気味の娘を見て憤慨。夕方になってからCちゃんの家を訪問。自分たちの子を炎天下に置き去りにして、帰宅したことに抗議します。
娘から何も聞かされていなかったCちゃんの母親はDちゃん、Fちゃんの母親に謝罪。
後日、Eちゃんの母親もDちゃん、Fちゃんの母親に謝り、一見丸く収まったようになりました。しかしCちゃん、Eちゃん側は親子共に「Dちゃん、Fちゃんが勝手に待っていた。」と言う気持があったため、謝罪はしたものの釈然としませんでした。
結果、その後4人で遊ぶことはなくなりました。
このトラブルは、子ども同士の話し合いを、それぞれを親の前で行わせることでもっと良い方向で解決できたはずです。
我が子の言い分のみを聞き、腹を立ててしまうことは子どもの友人関係を狭めてしまいます。
子ども同士の揉め事対策と対処法
■当事者全員の話を聞く
自分の子どもがトラブルの現場にいた場合、自分の子以外の言い分も聞きましょう。
親はどうしても自分の子どもの意見ばかりを聞いて、相手の子を悪く思いがちです。
子ども達の話を聞く際、できれば全員の子どもの保護者も交えて話せると良いでしょう。
自分の子どもだけを厳しく責めるのもNG。
フラットな視点で話を聞きます。子ども1人1人の気持ちを聞き出すことが大切です。お互いの気持ちを見せ合ううちに、子ども同士で和解することも多いです。
■保護者同士が連絡を取る
トラブル当事者全員の保護者と情報共有します。
話し合いは冷静に、オープンに。トラブル発生後時間がたたないうちに、話し合いましょう。事実確認があいまいになります。
「うちの子も悪いかもしれない」という気持を持って、お互い譲り合って意見交換しましょう。
■トラブルがこじれても大人の対応を
子ども同士の喧嘩が、親同士にわだかまりを残すことも珍しくありません。子ども同士は元に戻っているのに、親はお互いを避けていることもあります。
個人的な好き嫌い、割り切れない思いはあるかもしれませんが「トラブル前と同じように」接するように心がけましょう。
こちらがいつも通り接しても、上手くいかない場合もあります。その場合は挨拶だけはして、決してこちらから攻撃的な態度は取らないようにしましょう。
オンラインゲームのトラブルにも注意!
近年SNSやオンラインゲームなど、先生や保護者が関わらない「子どもだけの世界」でのトラブルも増えています。スマートフォン、タブレットは親の管理のもと、制限を設けて使用させましょう。
SNS、オンラインゲームは例え、相手が子どもであっても「面識のない相手」との接触は注意が必要です。
ここ数年オンラインゲームでの子ども同士のトラブルが急増しています。
多くのご家庭では、不特定多数の人と関わらないように管理・指導されているはずです。「顔見知りの友達同士に限定した」やりとりなら安心だと思っている親御さんは多いかと思います。
しかし友達だからこその気軽さゆえに、金銭トラブルやいじめは起こりやすいです。
「不特定多数が見ることができる画面で、チャット機能を使って個人情報をさらす」
「親に黙って、友達にゲームアイテム(有料)をプレゼントする」
「友達にゲーム内で使えるポイント(有料)をねだる」
「オンラインゲームで悪口を言う、無視をする」
などのトラブルが見られます。
誰とどんな話をしているか、親が確認できるように、オンラインゲームは保護者のいる部屋でさせた方が良いでしょう。親の目が届かない場所ですと、自制心が働きづらいです。
お金がかかることは必ず親に相談すること、言葉遣いに気をつけること、いじめになるゲームの遊び方はしない、などルールを決めて遊ばせるようにします。
介入するなら「公平な立場」で
子ども同士の喧嘩やトラブルは、親の介入なしで「話し合い」で解決できるのが理想です。
親はどうしても「我が子が正しい」と判断しがち。相手の子が悪い前提で動いてしまうと、問題がこじれてしまうことがあります。
多くの喧嘩、トラブルはさまざまな要因が重なっています。「誰かが悪者で誰かが正しい」と明確に判定できることは、ほぼないでしょう。
親が介入する場合は、我が子に肩入れし過ぎないように「事実を公平に見る努力」が必要です。
「過ちは認めて謝罪する」
「伝えるべきことは感情的にならずに淡々を言う」
「子ども同士の自由なつき合いを今後も認める」
ことで、わだかまりを残さず解決しましょう。
子ども同士はもちろん、親同士も心の整理をすることが大切です。