2022年04月15日 公開

非認知能力を育む5歳児の遊び

非認知能力は人間の基礎となる力として日本でも注目を集めています。非認知能力は自己肯定感、自分を信じる力、がんばる力、自制心、強調性など人が生きていく上で欠かせない力です。この連載では遊びを通して非認知能力を育むことにフォーカスしていきます。今回は5歳児の非認知能力を育む遊びについてご紹介します。

今、教育界で注目されている「非認知能力」とは、これからの時代を生きる子どもたちに大切な力を言われています。非認知能力とは、テストや偏差値などといった数値化できる認知能力とは真逆の力。自己肯定感、やり抜く力、自制力、協調性など、目には見えないけれど人間が生きていく上で大切な力の総称のことです。

「非認知能力」が有名になったのは、多くの研究結果でその大切さが明らかになったから。日本の学習指導要項でも「非認知能力」のことを“生きる力”と称して、積極的に育むことを推奨しています。

もちろん今まで通り認知能力も大切な力であることは変わりません。認知能力と非認知能力には不思議な関係性があり、非認知能力が高まるほど認知能力も伸びることがわかっています。逆に認知能力の向上は非認知能力とは関係がありません。
今回は、5歳児の非認知能力を高める豊かな遊びについてご紹介します。

5歳児は自分で試行錯誤しながら行動できるようになってくる時期

5歳児は身の回りのことがほぼできるようになる時期で、自分なりに工夫して挑戦してみる力が身に付いてきます。今まで経験した遊びやお友達との関わりを通して、ルールを守ることや協調性、社会性なども見られるように。自分の気持ちを伝えることもや相手の気持ちを考えることが上手になってきて、友達同士でおしゃべりを楽しむことや一緒に遊ぶことが楽しくなってくる時期です。

身体的にはバランス能力がぐんと向上し、今まではできなかった高度な運動遊びができるように。また手先もさらに器用になり、ハサミやのり、ホッチキスなどを使った工作遊びの幅も広がってきます。

知的好奇心を刺激しつつ意欲や協調性、集中力、やり抜く力を育みましょう!

5歳児代には小学校生活をパパママは視野に入れながら、知的好奇心や意欲を引き出し、協調性ややり抜く力、集中力をさらに育みましょう。大切なことは子どもが夢中になる遊びが豊かな本物の遊びであるということ。「もう小学生なんだから」と言葉や態度で子どもに接するのではなく、お子さんがワクワクと楽しみを覚えながら小学校の学びへと向かえる力を導いていけたらいいですね。

引き続きパパママは子どもの気持ちに寄り添いつつ、ときには「悔しかったね」「すごくがんばってたの見ていたよ」などと伴走者の気持ちであることも覚えておいてください。

5歳児は小学校就学のことを意識する時期ですが、この時期に避けたいのが親子で焦ってしまうこと。子どもが好きな遊びをめいっぱいやらせてあげる大らかなパパママの気持ちも重要です。遊びを通して学習への意欲も掻き立てつつ、引き続き非認知能力を育てていきましょう。

5歳児にオススメの非認知能力を育む遊び

①お月さまスケッチ

空を見上げて変化する月をスケッチする遊びです。毎日変わっていく月の形を眺めることは「なぜどうして」という子どもの知的好奇心をくすぐります。子どもの知りたいという思いが深まったら、図書館へ行って図鑑を借りて月について一緒に調べてみるのもおすすめ。空を眺めて探究する遊びは、想像力や科学的好奇心の芽生えにもなります。

②3ピースの神経衰弱

まず、同じ大きさの紙に動物や乗り物など絵を描き三等分に切ってみましょう。そして全てを裏返して置き、トランプの神経衰弱と要領で連続して3枚同じ絵がそろったら手に入れることができる遊びを楽しんでみましょう。3ピースの神経衰弱は楽しみながらも、記憶力や集中力を鍛えることが期待できる遊びです。

③ハイキングで自然に触れる

ハイキングや低山登りに親子で一緒に出かけてみましょう。自然はいくつになっても発見の宝庫で、自然との関わりが体の諸機能を発達させて知的好奇心を旺盛にしてくれます。そして、思考力や表現力や感受性をも培います。この力を伸ばすぞと頭で考えて行動するのではなく、親子でリラックスをして楽しむ心も大切ですよ。

④かるた遊び

今は色々な種類のカルタがたくさんあるので、お子さんがこれぞというカルタを選んで一緒にカルタ遊びをしてみましょう。カルタは、ひらがなやものの名前を覚えるのにも役立つ一方で、集中力や記憶力が鍛えられて、ルールを学ぶことで社会性も身に付けることができます。カルタを自分で手作りするのもおすすめです。

⑤スポーツ遊び

サッカーやドッジボールなど団体スポーツを遊びに取り入れてみましょう。スポーツと非認知能力の親和性はとても高いと言われています。スポーツを通し、相手の気持ちを考えることや目標に向かってがんばることで、協調性、社会性、やりぬく力などを育むことができます。

⑥お絵かきしりとり

前の人が描いた絵を見て次の人がその絵の語尾を使って絵を描いてと、お絵描きでしりとりをする遊びです。最初はお絵描きリレーにして同じものを描く遊びからスタートして遊んでみるもまた楽しい遊びです。絵は大切な自己表現の一つで、表現力や想像力を豊かにする遊びを取り入れてみてはいかがでしょうか。

⑦科学クッキング

料理を通して子どもの科学好奇心を引き出すのが科学クッキング。卵の力で膨らむホットケーキ、ゼラチンや寒天の力で固まるゼリー作りなどで子どもの“不思議”の気持ちを大きくしてみましょう。最後は美味しく食べられるので子どもにリクエストされることになる遊びになることでしょう。この科学クッキングでは子どもの好奇心や挑戦する力を育むことができます。

⑧絵本を子どもに読んでもらう遊び

いくつになっても絵本を読むことはおすすめしたいほど、絵本には親子にとっての魅力がたくさんあります。小学生になると自分で読むようになってくるお子さんも多いので、5歳児は親子で絵本を読む時間を大切にしたいものですね。
今回、おすすめしたいのは子どもに絵本を読んでもらう遊びです。たどたどしかったり読み間違えたりすることもあるかもしれません。それはそれで否定せずに、「上手だね」「楽しかったよ」などと前向きな言葉をかけてください。親に褒められることで子どもは自信を付けていきます。そして、絵本には想像力や表現力を豊かにする力を養うことが期待できます。

5歳児には意欲を引き出すような声かけを意識して

パパママはお子さまが5歳を迎えてどのような気持ちでしょうか。お子さまはパパママとの関わりはもちろん、お友達や周りの大人との関わりから大きく成長されていることでしょう。たくさんの遊びを経験して大好きなことがいっぱいできたのではないでしょうか。

子どもも子どもなりに小学生になることに不安を抱くケースもあります。そこはパパママが上手に汲み取って、丁寧に声を掛けたり話したりしながら不安を塗りつぶしていきましょう。そして「すごいね」「こんなにできるんだね」など意欲を引き出すような前向きな言葉を意識してお子さまに接してみましょう。遊びを通して得た非認知能力は、これからのお子さまの成長を支えてくれることでしょう。

これからも豊かな遊びや体験を通じて、非認知能力を伸ばしてもらえたら幸いです。

【参考文献】

『非認知能力を育てるあそびのレシピ(大豆生田 啓友・大豆生田 千夏)』講談社
『非認知能力が育つ 3〜6歳児のあそび図鑑(監修:原坂一郎 協力:いこーよ イラスト:モチコ)池田書店

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この記事のライター

大曽根 桃子
大曽根 桃子

ちょうどいい働き方を模索し続けている、フリーランスライター&エディターです。子どもの何気ない遊びの中に無限の可能性があると信じていて、非認知能力について勉強中。また、お母さんが笑顔でいることを大切に、積極的に自分のご機嫌を取る日々を送っています。趣味は、テニス、銭湯、サウナ、キャンプ、旅行、美味しいものを食べることなど。10歳男子、6歳女子とふたりの子どもがいます。