子どもが自分で自分の身を守れるようになるために、どんな教育をしていますか?「日本ほど治安がよい国はない」といわれることの多い日本でも、幼い子どもが犯罪に巻き込まれる事件が後を絶ちません。昨今テロも頻発しているフランスの防犯教育事情についてご紹介します。
小学生の登下校は親が付き添う
フランスでは、小学生の登下校は親が必ず付き添います。親が仕事などの事情で送り迎えできない場合は、祖父母やベビーシッターが送迎します。日本のように子どものみで集団で連れ添って行くということもありません。
また、小学生以下は、子どもたちだけで公園で遊ぶということもなく、常に親または保護者の監視下に置かれます。
名札は見えないように、フルネームも知らせない
落としてしまったり、失くしてしまったときのために、持ち主の名前や連絡先を記載しておくのは悪いことではありませんよね。
しかし、フランスでは服や持ち物の内側など、見えないところに名前を記入することはありますが、外から見えるところに記入するのはあまりありません。
また、園内で子どものフルネームを見かけることが少ないです。筆者の子どもが通っている保育園では、同じクラスの子どもの下の名前を知ることはできますが、苗字までは明らかにされておらず、子どもが作成した掲示物やロッカーなどにも下の名前のみしか記載されていませんでした。
同じクラスに通わせるほかの親に対しても、【必要のない情報】として、フルネームは簡単に開示してはいないのです。
日本でも、2016年に15歳の少女を2年間にわたり監禁していたという、埼玉県朝霞市の未成年者誘拐事件が世間を騒がせたのが記憶に新しいところではないでしょうか。その際、犯人が少女のフルネームを把握した経緯について、「玄関先にあった傘などで確認した」と捜査関係者に供述した、と報道されていました。フルネームを見ず知らずの第三者が把握できる状況にするのは、一定のリスクがあることは否定できないのではないでしょうか。
家庭内での対策
そして、大人に対しても「ノン(ノー)」と言えるように家庭で教育します。大人の指示に従うことも大事ですが、ときとして子どもを「悪い大人」の言うことにまで従わせることになりかねません。
相手が大人であっても誰であっても、おかしいと思うことには、子どもが自分の意見をハッキリと主張し、「ノー」と言えるようにさせることは、親の大事な義務なのです。
「子どもの誘拐事件を防ぐため」の10のお約束
1 子どもに見知らぬ人にはついて行かないようにさせる
2 子どもが大人に対して「NO」と言えるようにさせる
3 子どもがどこで誰といるのかを常に把握する
4 子どもが取る行程・道のりを把握する
5 集合場所を子どもと決める
6 合言葉・パスワードを子どもと決める
7 知らない人に心を開かないようにさせる
8 ネットの危険について前もって知らせる
9 護身術を身に付けさせる
10 緊急時の連絡先(電話番号)を暗記させる
子どもを極度に不安にさせることなく、緊急時にどのような対応方法を取るべきかを日頃から教えることが大切ですね。
【フランス語】 Prévenir l'enlèvement  – 116 000 Enfants disparus
最後に
いくら注意しても防ぐことができない事件ももちろんありますが、自分の子どもを危険から守るために、親としてできることは最善を尽くしていきたいものですよね。