近年、食物アレルギーを持つ子どもが増えているとの調査結果もあり、食物アレルギーに対する関心や取り組みへの必要性が高まりつつあります。子どもとの楽しい食事時間を過ごすために、管理栄養士である筆者が、食物アレルギーについて注意するポイントなどを解説します。
食物アレルギーって?
主な症状として、かゆみやじんましん、唇やまぶたの腫れ、嘔吐や下痢、咳や呼吸困難などがあげられます。重篤な場合は、ショック状態になって死に至ることもあります。
なお、食物にもともと含まれる成分に対する反応(ヒスタミンによるかゆみやカフェインによる興奮作用など)は食物アレルギーには含まれません。
食物アレルギーはどうしておきるの?
乳幼児に発症した食物アレルギーの多くは成長にともなって治りやすいとはいわれています。乳幼児に食物アレルギーが多いのは、食物を分解するための消化器官がまだ完全ではないためなのです。
どんな食品に食物アレルギーの心配があるの?
乳幼児に多いのは、卵、牛乳、小麦
果物類、そば、甲殻類などは乳幼児期よりも小学生以降にアレルギーが出現しやすい食品です。ほかにも大豆ピーナッツ(そのほかナッツ類)、ゴマ、肉類、魚類などが挙げられます。アレルギーの主な原因はたんぱく質なので、可能性はさまざまな食品にあるといえます。
生鮮食品は、食材のままなのでわかりやすいのですが、加工品はいろいろなものが入っているので、間違えて食べてしまったりしないよう、日本では、容器包装された加工食品への表示が義務化(または推奨)されています。対象となるアレルギー物質は27品目です。
アレルギー表示義務の7品目
<表示義務の7品目>
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
表示推奨の20品目
<表示推奨の20品目>
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
*この食物アレルギーの原因物質は、時代の変化とともに変わっていく可能性があると考えられるので、今後も適宜、特定原材料等の見直しが行われています。(上記は2017年12月現在)
離乳食の開始は遅らせた方がいいの?
最初は、おかゆからはじめ、にんじんやかぼちゃなどの野菜類や芋類を少しずつ与えてください。はじめて与えるときは、なるべく赤ちゃんの体調のいいタイミングを選び、使う食材はできるだけ新鮮なものにしましょう。心配であれば、食事日誌をつけておくと、何かあったときに、病院で説明しやすくなります。
乳幼児にアレルギー反応が出やすいのは、卵、乳製品、小麦粉ですので、特にこれらは最初はひとくちだけにして様子をみてみるといいでしょう。卵や乳製品はモグモグ期(7~8カ月頃)から少しずつあげることができます。卵は、必ず固ゆで卵の卵黄を少量からはじめましょう。
卵や果物などは加熱するとアレルゲンが弱まる?
果物の場合、重篤な花粉症を子どもが発症している際は注意が必要です。たとえば子どもがはじめての果物を食べた直後は、まわりの大人がよく観察し、唇や舌、口の中が腫れたり、かゆみやイガイガする感じがないか確認をしましょう。通常、果物をアレルギーとしてからだが認識して反応するのは、成人してからといわれています。
アレルギーを正しく理解し、食事やおやつの時間も楽しく!
小児食物アレルギーQ&A 監修 海老澤 元宏 日本医事新報社
アレルギー表示に関する情報 -消費者庁
(監修/一般社団法人 母子栄養協会)