子連れの帰省や旅行の悩みといえば移動時間の過ごし方。そこで長距離移動も子どもたちが夢中になって楽しく過ごせる絵本を集めました。ママ絵本作家のほんえすんによる、さまざまなシーンでママ・パパを助けてくれる絵本を紹介する連載『絵本はお友だち』Vol.9です。
長距離移動を助けてくれる、こんな絵本をお供にどうぞ
帰省や旅行の悩みといえば「長距離移動」をどう乗り切るか、ですよね。
子どもが生まれる前までは、「新幹線であの本とこの本を読もう」とか、「飛行機でまだ観てなかったあの映画観よう」とか、移動も楽しみの一つだったのに……。
子どもが一緒だと移動時間や待ち時間の過ごし方に頭を悩まされます。じっとしない、大きな声を出す、泣く、歩きたがる。むしろ走りたがる。周りの乗客から冷たい目で見られてさらに焦って……。
そんな思いをされているママ・パパも多いのではないでしょうか。
タブレットやスマホを与えて動画を見せれば楽になることはわかってるけど、ずっと見せてるのも気になるし、というママ・パパへ、そんなときこそ絵本です!
私は第一子が0歳のときから7年間、帰省や旅行で年に何度も長距離移動をしてきました。そんな中で出逢った、「長距離移動を助けてくれる絵本」をご紹介します。
書いて消せるお絵描きカードセットなら繰り返し遊べる!
おでかけ中に楽しめる100のあそび
著者:ノン・フィグ(絵)、いわじょうよしひと(訳)
出版社:ひさかたチャイルド
コンパクトなケースの中に、迷路や点つなぎ、お絵描きなど、子どもたちが大好きな遊びができるカードが入っています。その遊びの数は全部で100種類!
しかも、付属の「書いて消せるペン」を箱の中に入れて持ち運ぶことができるので、この箱一つだけ持っていけばOK。書いて遊んで消して、また遊んでまた消して。子どもは書いたり消したりが大好きですよね。消すときはウエットティッシュを使うときれいに消えますよ。
遊びは100種類もあるので、「次はどのカードにしようかな」と選ぶのも楽しいです!
おでかけ中に楽しめるどうぶつおえかき
著者:フィオナ・ワット(文)ノン・フィグ(絵)、いわじょうよしひと(訳)
出版社:ひさかたチャイルド
こちらは子どもたちが大好きな動物がたくさん出てくるので、親子であれもこれもと遊んでいるとあっという間に時間が過ぎていくこと間違いありません。
付属のペンは1本だけなので、きょうだいで楽しむ場合は100均などでホワイトボード用のペンを買い足しておくといいですよ!
まだお絵描きが苦手だった息子(当時3歳)ですが、この「描いて消せる」という遊びは夢中に!おかげではじめての長距離バス移動を何とか乗り切ることができました。
日本国内の移動ならこの絵本!電車好きにはたまらない
しんかんせんでいこう
著者:間瀬なおかた(作・絵)
出版社:ひさかたチャイルド
見開きごとに「秋田・青森・山形」「関東」「九州」などの地図があり、その地域を走る新幹線が描かれています。さらに、新幹線だけでなく、千葉の久留里線、静岡の大井川鐡道、和歌山の和歌山電鐡貴志川線、四国の土讃線などなど、鉄道好きにはたまらない各地の在来線も細かく描かれているのです。
さすが、「鉄道絵本」の名手、間瀬なおかたさんが手掛けた絵本だけあります!
新幹線で移動中に、「今このあたりだよ」「ここにはこんな電車も走ってるんだって」と話しかけると、子どももきっと楽しんでくれるはず。
仙台の伊達政宗像や京都の金閣寺、長崎の平和記念像など、全国各地の有名な観光名所も描かれているので、大人も「行った気分」になりながら読める優れものですよ!
何をしようか迷ったら、とにかくこの絵本で時間を潰す!
なぜ、子どもとの長距離移動がこんなに大変かというと、子どもというのは「ぼんやり過ごす」ことがあまりないからです。常に「何か」をしていないと、気が済まないのですよね。
かといって、移動中は走ったり飛び跳ねたりと「身体を使った何か」はできません。じゃあ何をしようか……というときに使えるのが「絵さがし絵本」です!
特にアンパンマンが大好きな子どもなら、こちらは「間違いない一冊」です。
アンパンマンをさがせ!ミニ(1)
著者:やなせたかし(原作)、K&B石川ゆり子(考案)、東京ムービー(作画)
出版社:フレーベル館
各ページの中で、アンパンマンや他のキャラクターを探していく絵本なのですが、
・レベル1 まずは、アンパンマンを探そう
・レベル2 各ページで出されている「お題」のキャラクターを探そう
・レベル3 お気に入りのキャラクターを探そう
・レベル100 知っているキャラクターの名前を片っ端から挙げていこう
と、子どもの年齢や「アンパンマン熟練レベル」に合わせて自由に楽しめます。 もしかすると親も知らないキャラクターの名前をしっかりと覚えていたりと、一緒にこの絵本で遊ぶと子どもの成長とすさまじい記憶力に驚かされるかもしれません。
なお、このシリーズは全部で6種類発行されています。 とことん探し尽くしたら次、と展開できるので、ネタが尽きることはなさそうです!
落とす心配をしないで、とことん遊べる絵本
移動中もおもちゃで遊べたらいいのですが、その際に問題になるのが「おもちゃを落とす」ことです。座席の小さなテーブルの上で遊んでいたら、次から次へとおもちゃを落として、そのたびに拾って戻すけどまた落とす……の繰り返し。
前や隣りの座席の下にまで転がってしまって、「すみませんすみません」と謝りながら拾ったりして、それだけで疲れてしまいますよね。
それならば、「落ちないおもちゃ」はいかがでしょう?
落ちないといえば、くっつく。
くっつくといえば、マグネット。
そう、マグネット遊びの絵本です!
プラレールマグネットBOOK
著者:タカラトミー (監修)
出版社:永岡書店
マグネットえほん おせわだいすきメルちゃん
著者:パイロットインキ株式会社 (監修)
出版社:幻冬舎
プラレールやメルちゃんなど、いつも遊んでいるおもちゃがそのままマグネット遊びの絵本になっています。線路に電車を走らせたり着せ替えをしたりと、貼ってはがしてまた貼って、まるでおもちゃで遊ぶように楽しむことができますよ。
たくさんあるマグネットをコンパクトに収納して持ち運べるのも、帰省や旅行には嬉しいポイントです!
マグネット絵本は他にもいろんなキャラクターで登場しているので、お子さまの好きなものを選んでくださいね。
いつかゴールが来るから。絵本の力も借りて乗り切ろう
数年前、帰省のために子どもたちを連れて新幹線に乗っていたとき、隣りに4人家族が座りました。小学生くらいの子ども連れだったのですが、その家族は4人でトランプをはじめたんです。
そのとき私は衝撃を受けました。「そうか!子どもが大きくなったら、そのうち移動中はトランプで遊びながら過ごせるのか!」と……。
子どもを連れての長距離移動は本当に大変ですが、いつまでもずっとそれが続くわけではないのですよね。それがわかったとき、私の心はすごく楽になりました。そして、本当に大変なのは何年かだけなんだと覚悟を決め、その「何年か」をなんとか乗り切ろうと決めたのです。
今、うちの子どもたちは7歳と5歳になり、移動中もそれぞれ本を読みながら過ごせるようになってきました。だから私も自分の本を読んだりしています。
夢の「新幹線内トランプ」ができる日も近い!?