私たち親世代にはあまり馴染みのないダンスですが、現在では人気の習い事のひとつです。学校の授業にも取り入れられており、2011年には小学校、2012年には中学校でもダンスが必修化されました。
必修化も納得のダンスのメリットと、種類を紹介します。
ダンスは心にも身体にもメリットあり!
心にも身体にもうれしいダンスのメリット5つと、デメリットを紹介します。
身体能力がアップ
ダンスは子どもの身体の発達によい影響を与えます。
小学生までに発達するのは、バランス感覚・リズム感・敏捷性などの神経系です。神経系の発達には、単純な動きの繰り返しではなく、多様な動きを多くすることが重要とされています。リズムに合わせてさまざまな動きをするダンスは、神経系の発達を促すのにぴったりです。
そのほか筋力や柔軟性、持久力や瞬発力が身につくなど、ダンスは身体によい全身運動と言われます。
リズム感が養われる
音楽に合わせて踊ることで、リズム感が身につけられます。
先述したように、リズム感は子どもの発達に重要なうえ、ダンス以外の多くの動作に繋がる能力です。サッカーやテニス、跳び箱や縄跳びなど、あらゆる運動にリズム感は影響します。当然ながら、楽器の演奏など音楽の分野でも役立ちますね。
脳が活性化する
ダンスにより脳が活性化することは、科学的にも証明されています。ダンスをすると脳の特定の部分の活動が高まるそうです。そこには、身体がどのような姿勢をとっているかを示す「運動感覚地図」が収められていると考えられています。言語をつかさどる「ブローカ野」に対応する領域も活性化するそうです。
また、ダンスのようなリズミカルな動きをすると、脳内のセロトニンの分泌を増やすことができます。セロトニンはうつ病にも効くと言われる、精神を安定させてくれる物質です。子どもの心を落ち着かせ、集中力の低下やイライラの防止に役立ちます。
協調性が身につく
ダンスは個人のレベルをあげることだけが目標ではありません。子どものダンスレッスンでは、みんなでひとつの踊りを作りあげる機会が多くあります。周りに合わせて踊ったり、みんなでひとつの目標に向かって練習したりすることで、協調性が自然と身につきます。
自信がつく
発表会を設けているダンス教室は多くあります。人前で踊ることで度胸がつき、自信にもつながるでしょう。
また、幼いころからダンスに慣れ親しんでいれば、小学校以降のダンスの授業でも臆することなく踊れるはずです。
デメリットは親の負担
ダンスを習うデメリットとして考えられるのは、親の負担が大きい場合もあることです。
子どもにはメリットのある発表会ですが、衣装代や参加費などに何万もかかるケースもあります。それに伴う準備への親の関わり具合も注意すべきです。
実際子どもにバレエを習わせているママから、発表会は親のほうが大変だったと聞いたことがあります。
金銭面や労力など、親の負担があることも視野に入れ、ダンス教室を選んだほうがよいでしょう。
ダンスの種類と特徴
ダンスと一言でいっても、その種類はさまざま。子どもが習う代表的なダンスについて解説します。
バレエ
習い事ランキングでは、ほかのダンスと分けてランクインしていることもあるバレエ。
特に女の子に人気のダンスです。先述したメリットのほかに、姿勢がよくなるという利点もあります。
注意したいのはレッスン以外の出費。バレエの発表会には10万円以上かかることも珍しくありません。
ヒップホップ
子どもが習っている最も人気の高いダンスが、ストリート系のダンス。中でもポピュラーなのがヒップホップです。
EXILEが踊っているダンスはヒップホップに分類され、目にする機会も多く、憧れも抱きやすいジャンルではないでしょうか。
小学校の授業でも、取り入れられることの多いダンスです。
ジャズダンス
ジャズダンスも普段目にすることの多いダンスのジャンルです。ディズニーランドや劇団四季のダンサー、アイドルのバックダンサーなどがジャズダンスにあたり、子どもにもイメージしやすいジャンルです。
踊りにはバレエの要素が多く取り入れられています。
チアダンス
チアダンスは、アメリカのフットボールチームを応援するチアリーディングから派生したダンスです。現在も野球などのスポーツの応援で見ることができますね。2018年には「チア☆ダン」というチアダンスを題材としたドラマが放送され、注目を集めました。
笑顔で踊り、相手を元気づける「チア・スピリット」で思いやりが育てられ、特にチームの一体感の求められるダンスのため、より協調性が身につくダンスでもあります。
フラダンス
ハワイの伝統的な踊りフラダンス。チアダンス同様、過去には映画「フラガール」で注目を浴びました。
ほかのダンスに比べるとゆったりとした動きですが、その運動量は見た目以上。
幅広い世代に人気のダンスで、長く続けられるダンスでもあります。
日本舞踊
日本の伝統芸能である日本舞踊。日本の文化に触れ、礼儀作法も学べます。
ほかのダンスに比べて目にする機会が少ないので、子どもに習わせたいと思ったときにはまず興味付けがポイントとなりそうです。
衣装である着物が高価なため、発表会にはそれなりの金額がかかることもあります。教室探しの際には事前にチェックしておきましょう。
小学校で習うダンス
小学校では表現運動系として、低学年では「表現リズム遊び」、中・高学年では「表現運動」でダンスが取り入れられています。
低学年のうちは、身近な動物や乗り物などを全身の動きで表現したり、リズムにのって踊ったり、友達と踊ったりする楽しさに触れることが目的です。中学年でやるリズムダンスでは、ロックやサンバなどのリズムにのりながら、友達と関わって踊る楽しさに触れます。高学年になるとフォークダンスが指導され、みんなで一緒に踊ることの楽しさに加え、日本の地域や世界の文化に触れることもねらいです。
特定の踊りのスキルをあげるというよりも、身体を動かすこと、それを通じて友達と関わることなどに重きが置かれています。
ダンス教室の選び方と費用
ダンス教室はどのように選べばよいのか、かかる費用と併せて解説します。
目的で選ぶ
ダンスに限ったことではありませんが、習いと事ははじめに目的や目標を決めておきましょう。
ダンスを楽しめればよいのか、学校での授業に役立てたいのか、それとも将来パフォーマーとして活躍したいのか、目的によって選ぶ教室も変わってきます。
また、ダンスの種類も決めておく必要があります。ひとつのジャンルに特化した教室もありますし、中にはさまざまなジャンルのダンスレッスンを設けている教室もあります。
どのダンスをしたいのか、あるいはいろいろな選択肢を持っておきたいのか、どこに焦点を当てるのか決めておきましょう。
レッスンの頻度・費用で選ぶ
ダンス教室は、ほかの習い事と同様に月謝制のところがほとんどです。月謝はジャンルや教室にもよりますが、週1回のレッスンで5000~1万円が相場。チケット制のところもあり、1レッスンにつき1500~3000円程度に設定されていることが多いようです。
月謝制の教室の中には、定額で受け放題とするところもあります。月に1万円~くらいかかりますが、レッスンの頻度を増やしたいという家庭にはお得なプランです。
オンライン教室も選択肢のひとつ
最近は、ダンスもオンライン教室が増えています。送り迎えが無く、費用も比較的安いので、より手軽にダンスを習いはじめることができるでしょう。
みんなの前で踊るのは恥ずかしいというような子も、まずはオンラインで習って自信を付けることもできるかもしれません。
また、近所の教室にはいない有名講師に習ったり、マンツーマンレッスンを受けられたりするなど、オンラインならではのメリットもあります。
月謝以外にかかる費用
月謝以外にかかる費用についてもチェックしておきましょう。内容や金額はジャンルや教室によって差がありますが、初期費用や発表会の費用がかかることが多いようです。
初期費用には入会金のほか、レッスン着・シューズ費などが挙げられます。レッスン時の格好は動きやすい服装・シューズなら可とする教室もあり、初期費用がほとんどかからない場合もあります。
多くの教室で年に1回程度行われる発表会には、万単位の費用がかかることもあるので、特に注意しておきましょう。
「子供の習い事をオンラインで」ダンスや習字も習える!オンラインだからこそのメリットとは?
ダンスを習うのはいつからがよい?
ダンスを習うのはいつからがよいのか解説します。
脳と神経が成長期のうちに
ダンスのメリットとして、脳の活性化や神経系の発達を挙げました。それらが著しく発達するのが、およそ4歳~8歳頃までのプレゴールデンエイジと言われる期間です。
メリットを存分に生かしたいのであれば、プレゴールデンエイジのうちに始めるのがよいでしょう。ダンス教室も3、4歳をスタートとしているところが多いようです。
興味を持ったらはじめ時
幼児の習い事は特に、親の意向で決めてしまうことも多いですが、子どもの気持ちもとても大切。
「子どもの習い事に関する意識調査」によると、現在の習い事をはじめた理由の61.2%が親の意向です。ダンスに限ってみると、親の意向は42.1%で、子どもの意向のほうが57.9%と多くなっています。ダンスは子ども自身の意思ではじめた子が多いようです。
まず子どもが興味を持ってくれれば、スムーズに習い事をはじめられます。興味を持ったときを逃さずやらせてあげたいですね。
ダンスは心にも身体にもよい習い事
少し恥じらいながら中学校の授業で取り組んだ創作ダンスを、私は今でも覚えています。私たち親世代にはあまり馴染みの無かったダンスも、今やメジャーな習い事のひとつです。
ダンスを習うと、子どもの心にも身体にもよい影響がたくさんあります。ぜひ、子どもの習い事の選択肢にダンスを入れてみてください。
<参考URL>
公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会,運動神経が良くなるダンス
日経サイエンス,ダンスの神経科学
東洋経済ONLINE,なぜ脳の活性化や疾患予防にダンスが効くのか
株式会社バンダイ,「子どもの習い事に関する意識調査」結果
ヤマハミュージックジャパン, ダンスに関する意識調査
【体育編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説