2016年07月08日 公開

21世紀型のSTEM教育についてやさしく解説!

STEM(ステム)教育をご存知ですか? STEMは「Science, Technology, Engineering and Mathematics」の頭文字を取ったもの。この科学・技術・工学・数学の4つを特に重視する教育がSTEM教育です。今回はその概要を詳しくチェックしてみましょう。

STEM(ステム)教育をご存知ですか? STEMは「Science, Technology, Engineering and Mathematics」の頭文字を取ったもの。この科学・技術・工学・数学の4つを特に重視する教育がSTEM教育です。今回はその概要を詳しくチェックしてみましょう。

STEM(ステム)教育とは?

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STEM(ステム)教育とは、科学・技術・工学・数学の4つを特に重視する教育のこと。

Science(科学)/ Technology(技術)/ Engineering(工学)/ Mathematics(数学)の頭文字を取ってSTEM教育と呼ばれています。

STEM教育の目的とは?

STEMは、21世紀の創造や変革、問題解決に必要な力を育てる21世紀型の教育モデルとして大変注目されています。主な目的は、未来のイノベーション人材育成のためです。

科学・技術・工学・数学と聞くと、文系思考の人は苦手で、拒絶反応を起こしてしまうかもしれませんね。しかし、IT化・グローバル化が進む未来において、STEMの力は個人だけでなく、社会全体や国そのものの競争力に直結すると考えられています。

STEM分野でいかに優秀な人材を育て、企業や国家の中枢で仕事をできるかが世界の多くの国々で重要な課題となっているのです。

STEM教育の始まりは?

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アメリカではすでに1980年代からSTEM教育の必要性が叫ばれはじめていました。これは当時大きな社会問題となっていた諸外国からの移民問題と関係があります。移民の多くは経済的に困窮していたため、十分な教育を受けられない人が多い傾向にあります。

特に当時はまだ未熟だったSTEM分野においては、移民に十分な教育をほどこせるほどの予算も人材も不足していたため、アメリカの国力が低下するという危機感を政府が抱くようになりました。その打開策を考案する過程で生まれた概念がSTEM教育でした。

STEMという言葉の元となったのは、1990年代にNSF(アメリカ国立科学財団 )が使用した「SMET」ですが、2003年頃からSTEMに切り替えられています。

芸術を加えたSTEAM(スティーム)教育

STEM教育に「Art(芸術)」を加えた新たな教育分野がSTEAM(スティーム)教育です。クリエイティブ分野のアートにも重点をおき、最新技術を駆使したSTEAM教育が注目されています。

AI技術の進展が進み、既存の職業がAIに取って代わられることが危惧される中、サイエンスやテクノロジーなどの理系教育で育つ論理的な思考力や技術に加えて、創造的なアプローチも、社会における難問を解決するために必要だとして、世界で注目を集める教育手法です。

他にも、同じSTEAMですが、応用数学に力点を置いた、STEAM (Science, Technology, Engineering and Applied Mathematics)、環境教育を加えたeSTEM (environmental STEM)などさまざまな呼称があります。

日本のSTEM教育の取り組みは?

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日本は世界でもトップクラスの工業国ですが、その成果はSTEM領域に優れた特定のカリスマ的人材の影響によるものではなく、例えば「トヨタ生産方式」など企業全体の合理的なプロセスによって生み出されたものと考えられています。
体系的なSTEM教育の必要性が叫ばれはじめたのはごく最近のことですが、日本でも以下のようなさまざまな取り組みがあります。

プログラミング教育の必修化

2020年度から、プログラミング教育が小学校で必修化されます。科目としてあるわけではありませんが、さまざまな教科に取り入れられる予定です。

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

2000年代以降、文部科学省はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)という新たな制度により、科学に長けた生徒を育成する学校教育をスタートさせました。

国際科学技術コンテスト

平成16年度より開始した、科学の面白さを広め、考える力を育てる「国際科学技術コンテスト(国際科学オリンピック)」。理数系教科に秀でた生徒に知的好奇心や探究心に応じた学習機会を提供し、将来国際的に通用する研究者・技術者の育成を目指しています。また、科学技術学習の充実に向けた社会的雰囲気の醸成を図ることも目的として行われています。

科学の甲子園

高校生がチームで理科・数学・情報における複数分野の競技を行う大会。中学生向けの科学の甲子園ジュニアという大会もあります。

グローバルサイエンスキャンパス(GSC)

グローバルサイエンスキャンパス(GSC:Global Science Campus)は、将来グローバルに活躍できる傑出した科学技術人材を育成することを目的とした事業です。地域で卓越した意欲や能力を持つ高校生を募集・選抜し、国際的な活動を含む、高度で体系的な理数教育プログラムを開発・実施する大学の企画を支援するものです。平成30年度は東北大学、東京農工大学、慶應義塾大学、愛媛大学、九州大学、琉球大学が採択されています。

科学研究実践活動推進プログラム

学校・教育委員会と大学等が連携、協働し、中高校生自ら課題を発見し、科学的な手法で進める、科学研究実践活動の継続的な取り組みと環境整備の推進を支援するものです。

諸外国のSTEM教育の取り組みは?

アメリカ

STEM教育の先進国ですが、オバマ前大統領が年頭の一般教書演説でSTEM 教育を優先課題に位置付け、STEM 教育を重要な国家戦略へしたことで特に注目・浸透しました。
2013年にNSTC(国家科学技術会議)がSTEM教育5カ年計画を発表。2020年までに初等中等教育段階のSTEM分野教員を10万人養成、高校卒業までの間でSTEM分野の経験を持つ若者を毎年50%増加させるとしています。

EU

EU加盟各国は、経済や社会に関する目標を定めた戦略「欧州2020」で、創造性やイノベーション志向、起業家精神を育てるようなカリキュラムを強化し、自然科学や工学分野の卒業生を増加させ、人材を確保することを掲げています。2010年からWeb上で参加できる「EU科学教育コミュニティ」 も開設しています。

イギリス

2012年にはプログラミングを必修として、K-12(5〜16歳)で科目「Computing」が設置され、授業が開始しています。また、国営放送BBCが中心になって開発しているSTEM教育用マイコンボード「micro:bit」を2016年にはイギリスの7年生(11〜12歳)100万人に無料配布して、世界中で話題になりました。

中国

中国のEdTech(エドテック)分野や人工知能教育は世界から注目されています。また、国家戦略としても、STEM教育を受けた課題解決型の人材育成を目指し、イノベーション人材を育成する改革試行プロジェクトを2010年から実施。 STEAM教育関連のスタートアップ企業は、現在200社ほどもあるといわれています。

韓国

創造経済を実現するための「創造・融合型人材」の育成・登用推進を進め、科学英才教育支援体制を強化し、「英才教育院」「英才学級」などで設置し、数学・ 科学などの多様な分野での英才教育を実施しています。

シンガポール

1997年から探究型学習を推進し、STEMの知識を数学や科学という科目の中だけではなく、社会での使われ方に則したカテゴリーで学習を進めています。科学研究での生徒の興味を刺激し、才能を伸ばすことを目的とする「科学指導プログラム(Science Mentorship Programmes:SMP)も遂行。政府が開設した科学館「サイエンスセンター」では、次世代の理系人材の育成も担っています。全中学生にSTEMプログラムを提供するための組織「STEM Inc」 も2014年より始動しています。

タイ

2016年頃からMaker教育、STEMやロボティクスの教育に力を入れはじめています。2019年度から、教育用マイコンボード「KidBright」を20万枚ほど試験採用し、その後は100万台単位での配布を目指すとしています。

STEM教育の問題点・課題とは?

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現在のSTEM教育における問題点や課題は大きく分けて2つあります。

世界的に「STEM職に就く女性が少ない」こと、「教師の人材不足」です。

女性をSTEM分野に進出させるためのプログラムはGEMS(ジェムズ)と呼ばれ、Girls in Engineering Math and Scienceの略称です。世界的にSTEM分野は女性の参画が少ないので、そのための対策を取る国や機関が増えています。

STEM教育ができる教師は、一部の先進国や地域以外ではなかなかおらず、圧倒的に不足しています。今後、教育する側のトレーニングシステムやカリキュラムをどう構築し、サポートしていくかの人材育成も課題といえそうです。

家でSTEM教育ができるプログラミングおもちゃ6選

1:FlyCreat ブロックおもちゃ 積み木 4IN1変形ロボット 237ピース

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商品名:4IN1変形ロボット
販売元:FlyCreat
ブロックで組み立てる電動おもちゃ。虫型ロボットから騎士、タンク戦車、ミニ四駆まで作成可能。237ピース入りなので他にも、自由に組み替えて好きなものを作れます。

高性能モーターを搭載し、バッテリーで動かすことができるのも大きな魅力です。リモコンで前進や後退、左折、右折などのアクションをさせることもできますよ。

2:フィッシャープライス プログラミングロボ コード・A・ピラー

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商品名:プログラミングロボ コード・A・ピラー
販売元:フィッシャープライス

「日本おもちゃ大賞2017」のエデュケーショナル・トイ部門で優秀賞を受賞した、イモムシ型のプログラミングの新感覚おもちゃ。音、光などさまざまな仕掛けがコーディングされている8つのパーツをつなぎ合わせると、イモムシがその通りに動きます。

前進、右折、左折やサウンドなどの動きもプログラミング可能。遊びながら論理思考力を育てられるおもちゃです。

3:ELEGOO Miniカー Arduinoと互換性がある ロボティクスSTEMキット

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商品名:Robot Mini Car
販売元:ELEGOO

STEM玩具や教育おもちゃとして注目されている、多機能のロボティックカーキット。付属のDIYステッカーを使って飾り、自分だけの一台を作ることも可能です。

内蔵のブリック機能で追跡、オートフォロー、障害回避、探索などの動きをプログラミングできます。USB充電で、ELEGOO BLE TOOL APPを使用してスマホで制御できるのも魅力です。

6歳以上の利用が推奨されています。

4:Makeblock プログラミングロボット Codey rocky

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商品名:Codey rocky
販売元:Makeblock

プログラミング学習をサポートするAI対応の次世代プログラミングロボット。ブロックコーディングからPythonまで、年齢(6歳以上)や学習レベルに応じたプログラミングから、音声認識、顔認識、気分検出などAIを体験でき、本格的なプログラミング技術の基礎も学ぶことができます。

着脱可能なコントローラーcodeyと車部分のrockyの2つのパーツを組み合わせて使用。組立不要で、購入後すぐに遊べます。

無料アプリ「Makeblock」でリモコン操作やドラッグ&ドロップの簡単なプログラミングがスマホで可能。PCからは、Scratchを基に開発されたビジュアルプログラミングソフト「mBlock5」でPythonへの変換もでき、makeblock neuronと組み合わせて機能の拡張もできます。

5:カードでピピッと はじめてのプログラミングカー

Amazon | カードでピピッと はじめてのプログラミングカー【日本おもちゃ大賞2018エデュケーショナル・トイ部門 大賞】 | プログラミング・ロボティクス | おもちゃ (146604)

商品名:カードでピピッと はじめてのプログラミングカー
販売元:学研ステイフル(Gakken Sta:Ful)

パソコンもスマホも不要で対象年齢が3歳からというのが大きなポイントです。スタートとゴールを決め、進む方向などの「めいれいカード」をくるまにかざすだけで、付属の冒険マップの上で命令どおりに「くるま」が動く仕組み。幼い子どもでも楽しく遊びながらプログラミングの考え方や論理的思考力を学べます。

「日本おもちゃ大賞2018」のエデュケーショナル・トイ部門で大賞を受賞しています。

6:プログラミングおもちゃ 教育・知育ロボット embot

Amazon | プログラミングおもちゃ 教育・知育ロボット embot(e-Craftシリーズ) | プログラミング・ロボティクス | おもちゃ (146609)

商品名:プログラミングおもちゃ 教育・知育ロボット embot
販売元:embot

本格的なロボット工作と遊びながらプログラミングの基礎を覚えられる知育玩具で、キッズプログラマースターターキットとして家庭でのSTEM教育導入に人気です。

組み立て用ダンボール、embotコア、サーボモーター、LEDライト、ブザー、簡易マニュアルがセットになっています。

ダンボール素材なので、自由に絵を描いたり、パーツをつけたりして、世界に一つだけのオリジナルロボットを作れます。操作はタブレットを推奨しています。

幼児期のSTEM教育で自分で学ぶ能力を育てよう

「STEM教育の重要性」といわれてもぼんやりとしたイメージしか浮かばないかもしれません。しかし、人間がロボットと共に暮らす時代も、もう目の前。

子ども向けにSTEM分野のスキルを育てるスクールも、プログラミング教室やロボット教室を中心に年々増えています。わが子へのSTEM教育は、決して特別なエリート教育ではないのです。幼児期からSTEM教育を意識し、子どもたちが自ら学ぶ能力を育ててみませんか。

おうちでSTEM分野の力をさらに育てたいなら…

日本ではじめてのSTEM(ステム)教育スクール「ステモン」主宰の中村一彰さんによる全4回連載「おうちでできる探究学習」はこちらから読めます。

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