メール、SNS,Web会議ツール・・・コミュニケーションツールが多様化した現代ですが、ハガキをやり取りする「季節の挨拶状」文化は根強く残っています。デジタルコミュニケーションが主流になっても、「書き手の思いや個性」が感じられるハガキを使った”アナログ”コミュニケーションを続けたいと考える人は多いのでしょう。
年賀状、寒中見舞い、暑中見舞い、残暑見舞いなどの、季節の挨拶状は、懇意にしている方々への謝意や近況報告はもちろん、普段会えない人にも「心遣い」を伝えられるものです。
メールやSNSなら、指先1つ、一瞬で伝えられることを、「ハガキに手書きで(誤字の内容に気を付けながら)メッセージを書く=ひと手間をかけている」こと自体が心遣いと言えるでしょう。
季節の挨拶状の一般的な内容は
「相手の健康を気遣い、幸せを願う気持を伝える」、
「自分や家族の近況を伝える」
です。
今回の記事テーマは挨拶状の中でも、どう書けばよいのか迷う人が多い「残暑見舞い」です。
近年コロナ禍と猛暑の夏が続いています。感染症対策と厳しい暑さに沈みがちな気持を、「残暑見舞い」を送り合うことで少しでも明るくできたら嬉しいですよね。
残暑見舞いと聞くと堅苦しい、形式ばった文面を思い浮かべるかもしれませんが、少しの決まりを守れば、自由に書いてもOKです。
遠方に住む祖父母、親戚、お世話になっている保育園・幼稚園・学校・習い事の先生、夏休み中会えない友達・・・親子でお世話になっている方々に「残暑見舞い」で気遣いを表してみませんか。
残暑見舞いっていつ出すもの?
二十四節気の立秋である「8月7日、8日頃(年によって異なる)~8月末頃まで」に届くよう送るのが決まりです。8月を超えてしまった場合は、「処暑の候9月7日頃まで」に届くようにします。
暦の上では秋の気配が少しずつ感じられるとされる「立秋」の時期は、現代では夏真っ盛りの暑い時期。暑中見舞い同様、体調や健康を気遣う文言は入れておくと良いでしょう。
残暑見舞いの書き方
1.残暑見舞いの挨拶
「残暑お見舞い申し上げます」
「残暑お伺い申し上げます」
などの挨拶文を冒頭に入れます。
見栄えを良くするコツは「本文よりも大きめに書くこと」。
2.時候の挨拶と主文
【時候の挨拶例】
「残暑ことのほか厳しい中、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
「本年は立秋を過ぎましてもなお暑さが続いております。」
【主文は最初に相手を気遣う内容を入れる】
自分や家族の近況ばかりを書くのではなく、まずは相手の健康や近況を気遣います。(踏み込み過ぎない程度で)
【相手を気遣う文例】
「連日猛暑日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。」
「お暑い中、子ども達にご指導いただき、ありがとうございます!まだまだ暑い日が続くようです。ご無理をなさらず、ご自愛ください。」
そして後半に自分や家族の近況報告を入れます。長々と書かずに簡潔に書きましょう。
【近況報告文例】
「この夏休みはかき氷つくりにハマっている○○(子どもの名前)。遊びに来た際はお好みの味で作りますよ~。」
「暦の上では秋とは言え、我が家のプールはまだまだ出番が多そうです。」
3.結びの挨拶
残暑見舞いのテーマとなる「相手を気遣う気持(健康、無事)」を再度、短い一文で入れます。
【結びの文例】
「夏のお疲れが出るころですので、くれぐれもご自愛くださいませ。」
「しばらく気温の高い日が続きそうですね。夏バテなどなさいませんようお身体おいといください。」
4.日付
「令和○○年 晩夏」のように詳細な日付は入れず、年号だけ書きます。その下に、「晩夏」「立秋」「葉月」などの言葉を書きましょう。
残暑見舞いを子どもが書く際の注意点
ひらがなを問題なく書けるお子さまであれば、表面(宛名)、裏面(絵、写真、文章を書く)両方書かせても良いかもしれません。その場合でも、住所や内容に誤りや失礼がないかママパパが確認しましょう。
ひらがなが書けないお子さまでしたら、宛名は親が書き、裏面は絵や切り絵などの作品にして、親が一言添えると良いでしょう。
子どもの作品だけにしてしまうと相手方が「何を伝えたいのか」「誰からなのか(親戚が多い場合は要注意)」が分からないこともあります。
「先日はたくさん遊んでいただいてありがとうございます!△ちゃんのようなお姉ちゃんになりたいと書いた絵です。」
祖父母、親戚、先生、お友達・・・相手別文例
ママパパと子どもが合作(親が文章、子が絵、工作など)で書く残暑見舞いと子どもだけで書く残暑見舞い、それぞれの文例をご紹介いたします。
基本的に挨拶文、結びの文は同じで、主文を相手によって「ゆるさ」「くだけ感」を調整すると良いでしょう。
お子さまが保育園、幼稚園、小学校の友達に書く場合はそれほど形式ばらなくてもOKです。
【目上の血縁者】祖父母や親戚の方
「親子合作」主文例 |
朝晩は幾分過ごしやすくなりましたが、 まだまだ暑さは続きそうですね。 ○○祭りでは大変お世話になり、ありがとうございました。 □□はばあばが教えてくれた「だまし船(折り紙遊び)」を毎日のように作っています! まだまだ暑い日が続きますが、どうぞお身体を大切にお過ごしください。 |
「お子さま」主文例 |
○○さん、毎日暑いですがお元気ですか。 この間は虫捕りのコツを教えていただき、ありがとうございます。 ぼくはこの間、カブトムシ(オス)を三匹捕りました。 また遊んでください! 夏バテに気をつけて元気に過ごしてください。 |
保育園、幼稚園、小学校、習い事の先生
「親子合作」主文例 |
連日の猛暑にいささか参っておりますが、○○先生はお元気にお過ごしの事と思います。 夏休み前の集中講座、非常に勉強になりました。どこかできていないのかを実技も含めて、具体的にお教えいただき理解が深まったようです。 □□は「夏休みは楽しいけれど、○○先生に会えないのが寂しい」と申しております。 厳しい暑さが続きますが、何卒ご自愛の上お過ごしください。 |
「お子さま」主文例 |
毎日暑いですが、○○先生はお元気ですか。 私は夏休み中ずっと、先生から教えてもらった瞬発力トレーニングをしています。 先生みたいにボールを受け取ったらすぐに動ける選手になりたいです。 まだまだ暑いので、体に気をつけて頑張ってください。 |
子どものお友達
「親子合作」主文例 |
立秋を越えましたが、まだまだ暑いですね。 ○○ちゃん、ご家族の皆様はお変わりないでしょうか。 先日は夏祭りに一緒に行っていただき、ありがとうございました! □□は○○ちゃんとヨーヨー釣りをしたことがとても楽しかったようです。 我が家はよく食べ良く寝て(笑)、一同元気にやっております。 残暑厳しき折 くれぐれも ご自愛のほどお祈り申し上げます。 |
「お子さま」主文例 |
○○ちゃん、お元気ですか。 1学期は一緒にたくさん遊んでくれてありがとう! 毎日暑いから夏バテに気をつけてね。 私は自分でかき氷を作って食べているよ。 今度家に遊びに来たら、作ってあげるね。 アイスばかり食べてお腹壊さないようにお互い気を付けよう。 |
残暑見舞いを書くことで学べること
【巧緻性が高まる】
未就学児が文字や絵を描くことは、手指を器用に動かす訓練になります。巧緻性が高まることで、脳の発達も促進されます。
【想像力、創造力が養われる】
夏をイメージした絵、自分の近況を伝えるイラスト、相手が好きなものの貼り絵など、「相手を思って絵を描く、工作を行う」ことで想像力、創造力が育まれます。
【コミュニケーション能力】
コミュニケーションと言うと、対面の言葉を使った感情、思考の伝達をイメージしますが、文章やアートを介したコミュニケーションもあります。
目の前にいない相手を思い、残暑見舞いを書くことでコミュニケーション能力が育ちます。
【日本の慣習について興味を広げるきっかけに】
残暑見舞いの意味、由来について簡単に伝えることで、日本の慣習、風習についての興味を広げるきっかけになります。
暑中見舞いや残暑見舞いは厳しい暑さの時期に会う機会の少ない方、お世話になっている方に出す挨拶状。この慣習は江戸時代から始まったようです。お中元が簡略化されて手紙のやり取りとなったのが暑中見舞い、残暑見舞いの由来と言われています。
簡単にできる!手作り残暑見舞いのアイデア
文字の書けないお子さまの表現方法として、残暑見舞いの彩りとして絵や工作を書面にプラスしてみませんか。
ご紹介するアイデアは幼児にも簡単に「描ける&作れる」ものです。
おえかきや工作で遊ぶ感覚で、親子や兄弟で楽しんでみてください。
手を汚さず、おしゃれに仕上がるマスキングテープアート
【準備するもの】
・お子さまが使いやすい筆記用具
・お好みのマスキングテープ
【作り方】
1.ハガキに下絵を描きます。(なるべく簡単な絵が良いですね。)
2.下絵に合わせてマスキングテープをちぎりながら、貼っていきます。
絵の具よりらくちん♪水彩色鉛筆で夏を描こう
【準備するもの】
・鉛筆や油性マーカー、クレヨン等(絵を描く用)
・水彩色鉛筆(100均にもあります)
水を含ませた筆でなぞることで水彩絵の具のようなタッチが楽しめる水彩色鉛筆。
もちろん水を使わず普通の色鉛筆として使ってもOK。
準備も後片付けも絵の具より簡単で、散らかりません。
【描き方】
1.鉛筆や油性マーカー、クレヨン等で夏に関係あるものを描きます。(かき氷、海、パラソル、スイカなど。初秋を感じられるトンボも良いですね。)
2.水彩色鉛筆で塗ります。
3.水をつけて色をなじませます。一部だけ水をつけてもタッチに変化が出て面白いですね。
お子さまの個性が伝わる!簡単折り紙かき氷
【準備するもの】
・折り紙
・色鉛筆やクレヨン
・のり
【折り方】
1.三角になるように半分に折ります。
2.中心線に向かって下を折り上げます。
3.下の部分を少しだけおります。
4.そのまま中心線に沿って折り上げます。
5.裏返します。
6.左右を折ります。
7.裏返します。白い部分が氷です。
8.氷の感じを、角を折って表現します。
9.シロップを色鉛筆やクレヨンで描き、ハガキに貼り付けたら完成。
猛暑の今だからこそ「残暑見舞い」で励まし合おう
30年ほど前までは、最高気温30度を超えると「暑い日」とされていました。しかし今や最高気温が40度近い日も珍しくありません。
命の危険も感じる猛暑日が続く昨今の夏。小さな子や高齢者の方にとって夏は過酷な季節になりました。
残暑見舞いは、夏の一番暑い時期に出す挨拶状です。遠方に住む方、お世話になっている方に「お互い厳しい暑さを乗り切りましょう!」というエールを送り、相手を気にかけていることを伝えましょう。
ハガキに書いてあるメッセージや絵は、メールやSNSより温もりが感じられるものです。
達筆でなくても、長文でなくてもOK。ぜひ手書きで「真心」を伝えてみてください。