2019年01月08日 公開

香港の教育の特徴って?学力世界2位を誇る「超学歴社会」とは

2015年の学習到達度調査(PISA)で、香港は優秀な成績をおさめました。そこで気になるのが、「香港ではどんな教育が行われているの?」ということ。お子さまの教育のヒントになるものがあるかもしれません。今回は、香港の教育の特徴をご紹介します。

2015年の学習到達度調査(PISA)で、香港は優秀な成績をおさめました。そこで気になるのが、「香港ではどんな教育が行われているの?」ということ。お子さまの教育のヒントになるものがあるかもしれません。今回は、香港の教育の特徴をご紹介します。

2種類の幼児教育

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香港の幼児教育は大きく「幼稚園」と「幼児センター」に分けられ、さらに幼児センターには「育嬰園」と「幼児園」の2種類があります。香港の幼児センターは、日本の保育園にあたるものです。それぞれの園に通う子どもの年齢は、以下のようになっています。

育嬰園:0~2歳
幼児園:2~3歳
幼稚園:3~6歳

しかし香港も日本同様「幼保一元化」が進められており、幼稚園と幼児センターが一緒になった施設が増えているそうです。なお香港では小学校をみすえ、幼稚園から勉強を取り入れているところもあります。

学校制度は日本と同じ6・3・3・4制

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Monkey Business Images / shutterstock.com
香港はイギリスの植民地だった歴史があり、長年イギリスの教育制度(小学校6年、中学校5年、予科制2年、大学3年)にのっとってきました。しかし2009年にそれを改め、日本と同様に小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年という学校制度を採用するように。なおほとんどの中学・高校で中高一貫教育を取り入れています。

日本と大きく異なる点は、学年のはじまりが9月からということ。学期は3学期制となっています。

バラエティ豊かな公立学校

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香港の公立学校は、日本の公立とはイメージがだいぶ異なります。日本の場合、公立の学校の権限は政府が握っていますが、香港の場合は学校が大きな権限を持つのです。これは、現場のことは現場にいる人が一番よくわかるという考えから。そのため「公立」といっても学校によってカリキュラムなどが大きく異なります。

また日本では基本的に、公立の小学校・中学校は住んでいる場所で行く学校を決めるものでしょう。しかし香港は、選ぶ学校によってカリキュラムが大幅に異なるため、小学校から行きたい学校を選ぶことができます。

小学校の学力で行ける中学校が決まる

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香港は「超学歴社会」といわれるほど、シビアな教育を行っていることでも有名です。これは多くの場合、小学校の学力で行ける中学校が決まってしまうことが関係しています。

香港は、中国語、広東語、英語の3言語を習いますが、2010年までは英語で授業をする中学校と、中国語や広東語で授業をする中学校が分けられていました。英語で授業をする中学校はいわゆる「難関校」。ここに入るため、シビアな競争が小学校のうちから繰り広げられていました。

こういった学校間格差を少なくするため、現在では中学校を成績順に3段階に分けてはいるものの、学習のカリキュラムは学校の裁量に任せるようにしています。それでも古くからの「エリート校」に入学させたいと考えるパパママは多く、早期教育に拍車がかかっているようです。

また香港には大学が少ないことも、超学歴社会に拍車をかけるひとつの要因。本当に成績が上位の子どもしか大学には行けません。

大学入学の狭き門を突破して欲しい
→少しでもいい中学校に入らなければならない
→少しでもレベルの高いカリキュラムを提供する小学校に入学させる必要がある
→幼稚園から勉強をしていないと難しい

早期教育の裏側には、こうした考えがあると推察されます。

学力は高いが問題も……

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超学歴社会ということもあってか、香港は2015年の学習到達度調査(PISA)で優秀な成績をおさめました。PISAでは、読解力・科学的リテラシー・数学的リテラシーの3項目について調査をします。

香港の成績は、読解力が2位、科学的リテラシーが4位、数学的リテラシーが2位という素晴らしいもの。ちなみに日本は読解力が8位、科学的リテラシーが2位、数学的リテラシーが5位でした。

反面、香港の教育は問題点も浮き彫りになっています。じつは香港では、精神のバランスを崩してしまう子どもが少なくありません。その結果、ドラッグや向精神薬の使用、自殺をする子どもも増えているそうです。子どもの長所を伸ばす余裕がなく、いいところを潰してしまうことも多いといわれています。

子どもの能力などを見極めて最適な教育を選んで

香港は、日本以上に受験戦争が加速しているようです。もちろん勉強も学力も大切ですが、あまりにそこに偏りすぎるのも弊害があるのかもしれません。

日本でも、中学校受験や小学校受験を考える家庭が増えています。しかし香港の教育が抱える問題は、「本当にその受験が必要なのか」を改めて考えてみるきっかけになりそうです。お子さまの性格や能力を見極めたうえで、より最適な教育環境を選ぶことにも、目を向けてみてはいかがでしょうか。

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この記事のライター