私たちの世界にはさまざまな障害(ハンディキャップ)を抱えた人がいますが、けっして他人事ではありません。自身を含めた誰にも、将来障害を抱える可能性があるのです。そこで今回は理解を深めるために、障害について考える絵本を5冊ご紹介します。
『かっくん ~どうしてボクだけしかくいの?~』
著者 :クリスチャン メルベイユ(文)/ジョス ゴフィン(絵)/乙武 洋匡(訳)
出版社 :講談社
まあるい形の家族に生まれたのは、みんなと違う形をした四角い赤ちゃんの「かっくん」。
みんなにかわいがられていたかっくんでしたが、体の形の違いからお友だちとうまく遊べず、仲間はずれになってしまいます。
そんなある日、子どもたちが森で迷子になり周りが闇に包まれたとき、かっくんの体が光りだしみんなのピンチを救うことに……。
『五体不満足』の著者、乙武洋匡さんがはじめての「翻訳」を手がけた本作。
「他人と違う身体的特徴をもつ子も、個性を認めて仲良くしましょう」という教訓的なテーマの物語ですが、美しいイラストとリズミカルな文章で、小さなお子さまでも理解しやすく表現されています。
主人公の「かっくん」の視点を通して「仲間外れにされたときの悲しい気持ち」や、そのあとの「仲間に認めてもらえて嬉しい気持ち」を感じることで、優しい心を育むことができるのではないでしょうか。
深く考えさせられる絵本『どんなかんじかなあ』
著者 :中山 千夏(文)/和田 誠(絵)
出版社 :自由国民社
主人公の「ひろくん」は、いろいろなことを想像してみます。
「目が見えないって、どんなかんじかなぁ?」
「耳が聞こえないって、どんなかんじかなぁ?」
目を閉じて、目が見えない友だちの感覚を想像する。
耳をふさいで、耳が聞こえない友だちの感覚を想像する。
他の人の立場にたって想像することや、思いやることの大切さを描いた作品です。
シンプルな文章と素朴で温かい味わいのあるイラストが素敵な本作。
ストーリー的に「ハッ」とさせられる展開があって、大人が読んでも深く考えさせられる一冊です。
『わたしのおとうと、へん…かなあ』
著者 :マリ=エレーヌ・ドルバル(文)/スーザン・バーレイ(絵)/おかだ よしえ(訳)
出版社 :評論社
主人公のうさぎのリリは、弟のリ-ドが大すきです。でも、いつまでたっても赤ちゃんみたいでみんなと少し違うリードが心配でたまりません。そこでリリはリードを他の子と同じようにしたいと思い、いろいろと頑張ってみるのですが……。
フランスで作られた「幼年期と染色体異常を考える21世紀の会」提唱の翻訳絵本で、「ありのままの存在を受け入れて、愛することの大切さ」を描いた作品です。
障害を持つ人との触れあい方をさりげなく教えてくれる絵本で、子どもたちにじっくりと読み聞かせてあげたい一冊です。
軽度発達障害って?『十人十色なカエルの子』
著者 :落合みどり(著)/宮本信也(医学解説)/ふじわらひろこ(イラスト)
出版社 :東京書籍
子どもたちにも親しみやすいカエルが主人公で、ADHDや自閉症、アスペルガー症候群といった軽度発達障害について描かれた絵本です。
主人公のカエルの視点を通じて、
どんなことに困っているのか?
どんなふうに接すればいいのか?
などを分かりやすく教えてくれています。
なかなか理解されにくい軽度発達障害への理解を深めるには、オススメの一冊です。
ADHDって?『ボクはじっとできない』
著者 :バーバラ・エシャム(文)/マイク&カール・ゴードン(絵)/品川 裕香(訳)
出版社 :岩崎書店
主人公のデイヴィッドは、「じっとできない」男の子。
いつも授業のじゃまをしては、先生に叱られてばかりです。
そんなある日、自分が失敗する理由に気づいたデイヴィッドは考え抜いた末、素晴らしい解決策を思いつくのですが……。
ADHD(注意欠如・多動性障害)をもつ主人公の少年が、自らの課題に気づき克服していく姿がかわいらしいイラストと簡潔な文章で描かれていて、小さなお子さまでも無理なく理解できる内容になっています。
ADHDへの理解を深めるには最適の、オススメの一冊です。