2022年11月03日 公開

伸びる子は聞く力が高い!「傾聴力」を伸ばすコツ

相手の話に耳を傾けて聞く「傾聴」は、脳を鍛えるトレーニングでもあります。子どもの頃から傾聴力を育てることで、集中力・論理的思考力・コミュニケーション能力・共感力・想像力などが高められます。傾聴力の重要性、傾聴力を伸ばすコツについてご紹介いたします。

グローバル化が進み、政治、経済、文化、学問あらゆる分野でコミュニケーション能力、自己表現力が重視されるようになりました。

国際社会で対等に渡り合い、目的を達成するには「相手に伝わるように自分の意思を話す、書く」ことが必須。近年、日本の義務教育課程でも、「伝える力」を育む指導が定着してきました。

【伝える力を育む指導例】

「国語の物語文の登場人物の心情を、時系列で整理したものを、タブレット端末を使って作成。全員分を端末で共有して、それを見ながらディスカッションする。」

「わり算の考え方を板書して、クラスの皆に説明する。」

「動物の版画を作り、テーマと制作時のエピソードを皆の前で発表。クラスメイトは作品の良い点、好きな点を製作者に伝える。」

など、全教科において、積極的に自分をアピールする機会が与えられるようになりました。
この伝える力を支えるのは「聞く力」です。

特に人の話を集中して聞き、意見を受け止める「傾聴力」はこれからの社会では重要な能力になるでしょう。傾聴することは相手に好感と信頼感を抱かせ、コミュニケーションをスムーズにします。

地頭の良さにつながる「聞く力=傾聴力」

ママパパ世代に比べて、発表に苦手意識を持つ子は少なくなったかもしれません。
参観日に英語で自己紹介する園児たちや、タブレットや電子黒板を使って堂々とプレゼンをしている小学生たちを見て、感心したことのあるママパパも多いのではないでしょうか。

そんな発表慣れしている子たちの中でも、特にわかりやすく感じたり、印象に残ったりする発表をする子はいるものです。そういった子たちに共通するのは「聞き手を意識した話し方」ができているということ。
聞く人の立場になって話ができる子は、年齢が低くても会話のキャッチボールができる子が多いです。

「お友達の話を聞き、気持ちを受け止める=傾聴」ができる子は、コミュニケーション能力が高いのはもちろん、プレゼンテーション能力も高い傾向があります。
ここで言うプレゼンテーション能力は「立て板に水」のごとく流暢なスピーチができるということではありません。相手の気持ちを考えた、理解しやすい話ができることを指します。

子どものうちから聞く力=傾聴力を鍛えておくことで、集中力・読解力・共感力・コミュニケーション能力・論理的思考力・想像力も高められます。これらは地頭の良い人の特徴でもあります。

「聞く」と「聴く」の違い

「聞く=物音を聞く、鳥の鳴き声を聞くなどのように、音や声が自然と耳に入ってくる」

「聴く=意識して、耳を澄ましてよく聞く。熱心に耳を傾ける。」

イメージとしては、何となく自然な感じで耳に入ってきた音声を聞くのが「聞く」、集中して身を入れて聞くのが「聴く」という感じでしょうか。

「聴く」は、集中力・忍耐力・読解力・共感力・コミュニケーション能力・論理的思考力・想像力など、さまざまな能力が必要となります。

幼児期から習慣づけ、鍛えておきたいのは、集中してじっくり「聴く」力。国語の長文読解、算数の文章問題、理科・社会の記述問題に対応できる地頭の良さにも直結します。

傾聴力とは?

傾聴とは

耳を傾けて熱心に聞く力

です。
引用:湊吉正監修『チャレンジ小学国語辞典』2019年より

つまり、傾聴力は「相手の話に集中して、しっかりと聞く(聴く)力」
英語では「Active Listening」です。受け身ではなく、能動的に積極的に聞くという感じが良く表れていますね。

人は自分の話を聴いてくれる相手に信頼感を抱き、心を開きます。また自分の話を、熱心に聴いてくれる人に好感を持ちやすいです。
自分が話す量よりも、相手の話す量が多い方が「相手から好かれやすい」ことはコミュニケーション術、会話術の定説。

高齢者の話を聞き、心を癒すボランティア活動「傾聴ボランティア」の普及に取り組むNPO法人「ホールファミリーケア」協会・理事長 鈴木 絹英氏は、著書『「傾聴」話し上手は聴き上手聴き上手』で次のように、傾聴力にいて解説しています。

話を聴いてもらうことで、人は満足感と安心感を手に入れます。しかし、「聴く」ことの効果はそれだけではありません。相手の気持ちの整理や問題解決の手助け、またその人が本来持っている能力を引き出す点からも、話を「聴く」ということが大きな効果を発揮するのです。信頼関係や絆といった、豊かな人間関係を築くうえでも、「聴く」会話術は大きな役目を果たしています。

鈴木 絹英著,『「傾聴」話し上手は聴き上手聴き上手』,株式会社日本文芸社,2006,P16

傾聴力をつけておくことで、人間関係が円滑になり、社会生活を快適に過ごせるようになります。
「聴く力」を高めておくことは、お子さまの勉強、仕事、人間関係すべてにおいて有利に働くことでしょう。

傾聴することは脳を活性化させる

相手の表情を見る、話の内容を理解する、理解するために想像する、相手の気持ちを考えた相槌を打つ・・・傾聴している時、脳の広範囲が使われています。また高速で大量の情報処理を行うので、効率的な脳トレになります。

 

傾聴で使われる脳の部位

 

ブローカー野(運動性言語野)・・・喉、唇、舌などを操作して、 言語を発する
前頭連合野・・・計画、推察、思考、創造、抑制、社会的活動などを担う総合中枢
側頭連合野・・・音・形・色などの聴覚と視覚の情報を処理
聴覚野・・・聴覚の中枢
視覚野・・・・・・視て、認識する
ウェルニッケ野(感覚性言語野)・・・言語を理解する
頭頂連合野・・・体の感覚と視覚の情報処理

一方的に話す人との仕事や遊びが非常に疲れるのは、自分が聞き役ばかりして「脳をフル回転」させていることと、相手の意思を受け入れ続けているからです。

傾聴力を磨くメリット

傾聴力の高い人が持つ能力と、地頭の良い人の持つ能力は共通しているものが多いですね。状況に応じて臨機応変な対応ができる「地頭の良さ」は、勉強だけではなくスポーツ全般にも有利に働きます。

地頭の良さとは、「その人本来の頭の良さ」。能力で言うと、集中力、論理的思考力、読解力、共感力、発想力、表現力などにあたります。
社会に出ると、地頭の良さは仕事の速さ、質を高めることに直結します。仕事関係の人間関係もバランス良く築けるので、余計なストレスが少なくてすみます。

傾聴で伸びる「勉強、スポーツ、仕事で役立つ能力」は以下の通りです。

傾聴時に行うこと傾聴で身につく!勉強、スポーツ、仕事で役立つ能力
他の作業、よそ見はせずに、人の話を集中して聞く。
■集中力
傾聴=「人の話に耳を傾けて熱心に聞く」です。話を聞いているその時だけは、相手の話に集中しましょう。

■想像力
相手の話を具体的に想像しながら聴くと、想像力が養われます。話自体に興味が湧いてくるので、飽きずに聴けるようになります。
頷く、相槌をうつ。
■コミュニケーション能力
話を聴きながら頷く、相槌をうつことは「集中して聴いている感」が出ます。相手はさらに好感を持ってくれることでしょう。

頷き、相槌は相手の話の流れ、気持ちの抑揚に合わせて打つようにします。「人の表情、態度を観察しながらリアクションする」傾聴姿勢はコミュニケーション能力を非常に高めます。

■気持ちを切り替える力
傾聴する際は相手に意識を集中させるため、雑念をシャットアウトしなくてはなりません。悩み事や雑念を意識的に考えないようにして、目の前のことに集中する「気持ちを切り替える力」は勉強、スポーツに取り組む際に大変役立ちます。

完璧な環境、精神状態で望める試験や試合はなかなかありません。いつでも集中できる「気持ちを切り替える力」が備わっていれば、いつでも全力で結果が出せるはずです。

相手の表情、動作を確認しながら話を聴く。
■観察力、洞察力
傾聴するときは、相手の様子を観察しながら「どんな気持ちなのか?」「何を伝えたいのか?」「どう相槌を打つべきか?」を自問自答しているはず。
相手の気持ちを読み取ろうとすることで、観察力と洞察力が磨かれます。

■共感力
人と向かい合って話をしていると、相手に対して共感できる部分が生まれてきます。例え自分と違う意見であっても、「なるほど理由があって、こう考えたのだな。」などと、納得できることもあるはずです。
相手の立場に立って、共感することができることはコミュニケーションを良好にします。
聞いた話を頭の中で整理する。
■論理的思考力
理路整然と話す人ばかりではありません。主語が抜けていたり、時系列があいまいだったりすると「相手の意図」が見えてこないこともあります。
しかし、話を聴きながら、相手の話を頭の中で整理すると主語や時系列がわかることも多いです。

傾聴は相手の話を遮らずに聴くことが基本。聴いた内容を整理して、理解する「論理的思考力トレーニング」とも言えるでしょう。

親子のコミュニケーションが傾聴力を育てる

脳の言語野の発達のピークは10歳前後、コミュニケーション能力に関わる前頭前野の発達のピークは10代後半から20代半ばと言われています。

子どもが話を聴く姿勢は、ママパパの影響が強く出ます。親子で過ごす時間の長い小学校低学年までは、子どもの話を共感しながら、聴いてあげましょう。
「傾聴」を子どもに習慣づけるには、家族間でも「相手を尊重したコミュニケーション」を意識することです。
子どもの話を聞くときは、顔を見ながら、相槌を打ちながら聴きます。

「そんなことよりも宿題はやってるの?」などと、話の腰を折るのは避けましょう。親が聞き役になり、子どもの感情を受け止めて、肯定することが、子どもの傾聴力を伸ばしていきます。

受験、成績アップにも関わる傾聴力

「傾聴力の高い人」は、読解力があり、人の話や文章の論旨をまとめる能力も高いです。人の話を理解できるように集中して聴く習慣は、物事を整理して考える、すでに持っている知識・経験と関連づける能力を養います。
これらの傾聴で高められる能力は、小学校、中学校受験に有利に働きます。

傾聴力を高めることで、応用力が求められる受験問題に強くなる!

・小学校受験の面接、行動観察、筆記試験など

・中学受験の算数の複雑な四則演算、長文の図形問題、ダイヤグラム問題、社会のグラフを用いた記述式問題など

上記は保育園、幼稚園、小学校で学ぶ内容より、発展的な問題。学力のほかに集中力と忍耐力も大切です。
「人の話をさえぎらず、最後まで聴く」傾聴の練習は、年齢が低いほど集中力と忍耐力のトレーニング効果が高いです。

傾聴力の伸ばし方

お子さまの話の聞き方にお悩みのある親御さんは少なくありません。
我が子の聞く姿勢に、以下のような問題点をあげるママパパは多いはず。

「うちの子は自分が話してばかりで、人の話を聞かない。」
「授業参観で先生の話を聞かずに上の空だった・・・」
「勉強のやり方についてアドバイスしても聞こうとしない!」

幼児期~思春期くらいまでは、「理性的に行動する、合理的に考える」ことが、成熟した大人に比べて困難です。これは脳の前頭前野が未成熟なため。脳の前頭前野は集中力・ワーキングメモリ・感情と行動のコントロール・思考力などを司る「脳の司令塔」とも呼ばれる部位です。完全に成長が終わるのは25歳前後。
そのため子どもは「じっくり話を聴く。」ことが苦手なことが多いのです。
現在、お子さまが話を聴けない状態であっても、成長によって話が聴けるようになることが多いです。また「話を聴く姿勢」と「心構え」を親が教えることで、傾聴力は伸ばせます。

まず親が子どもの話を傾聴しよう

脳の成長が9割完成する6歳前後までに、落ち着いて話を聴けるようにしておくことで、その後の学力やコミュニケーション能力の伸びが良くなります。
未就学児がもっとも影響を受けるのは、ママパパ。言動、態度、思考は親と似ることが多いです。我が子に傾聴力をつけたいと考えているなら、まずは親が子どもの話を傾聴することが大切です。
親が話をきちんと聞くことで自己肯定感、論理的思考力、プレゼンテーション能力、親子の信頼関係が育ちます。

子どもの話を傾聴する際は、以下のことを心がけます。

・話を途中で遮らず、最後まで聴く。
・子どもの話を自分の価値観で評価しない。
・話を聴くことに集中する。(何かをしながら、上の空で聞くのはNG.)
・受け止めて共感する。

子どもから求められない限り、アドバイスも不要です。ただ黙って、寄り添って聴いてあげましょう。子どもの目を見つめ、相槌を打ちながら「対等な立場」で聴きます。

読み聞かせで「聞く&聴く」トレーニング

集中力・想像力・語彙力などの「脳力」を育てる知育法の定番「読み聞かせ」。「音声を聞き取る=聞く」、「集中して聞き、話の内容を理解する=聴く」の両方の能力の良いトレーニングです。
今まで「聴く力」にばかり触れてきましたが、小学校以降の学習では「聞く力」も必須能力となります。
国語の聞き取り長文読解、英語の書き取り(音声を聞き、単語を正確に書く)、英語検定、受験などで行われるリスニングテストなどでは、「聞く力」が成績を左右します。
ママパパの声で絵本、本を読むことは、子どもの情緒を安定させる効果が抜群です。

相手の話に必ずリアクションする練習をしよう

3,4歳の子ども同士の会話を聞いていると、お互いの言いたいことだけ言っていて

相手に対する相槌、返事などのリアクションがほとんどない場合があります。
傾聴力を高めるには「自分の興味のあるなしに関わらず、相手の話を聞く練習」が有効。しかしこれは小さな子どもほど、難しいことかと思います。相手に共感する能力、譲歩する能力も低くて当たり前です。

未就学児の場合は、お友達の話したことに「ふーん」「そうなんだ。」「すごいね。」などの短い相槌を打つことからはじめると良いでしょう。

「お友達が何か言ったら、お返事をしようね。」
「お友達の話を最後まで聞いてあげようね。」
などと、簡単にアドバイスをすると良いでしょう。
家族内で会話のキャッチボールができているのであれば、子どもは相槌や態度を自然と学べているはずです。

傾聴力は人間力

文部科学省は、資料『今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について2』,2010年、の中で、国として育成すべき能力の一つとして「人間力」をあげています。
そして「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きて いくための総合的な力=人間力」と解説しています。また人間力を高めることは、以下の要素を総合的にバランスよく高めることとしています。

知的能力的要素
基礎学力(主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力)」、 「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを継続的に高めていく力。 また、それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」、「創造力」など

社会・対人関係力的要素
「コミュニケーションスキル」、「リーダーシップ」、「公共心」、「規範意 識」や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高めあう力」など

自己制御的要素
上記の要素を十分に発揮するための「意欲」、「忍耐力」や「自分らし い生き方や成功を追求する力」

引用:文部科学省,今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について2,2011
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2010/05/25/1293956_2_1.pdf

など

この3つの要素は傾聴力トレーニングで養われる能力でもあります。
「社会で意欲的に活動し、目指す結果を出す」人間力の高い人材が、国や世界から望まれています。子どもの頃につけた傾聴力は、将来どのような職業に就こうとも、そのキャリアを後押しすることでしょう。

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この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。