2021年08月10日 公開

賢いゲームの向き合い方とは?子供をゲーム依存にさせないために

子供がテレビ・スマホゲームをなかなかやめない、無理にやめさせようとすると親子関係が険悪になる、など子供のゲームに悩んでいるママパパ必見!この記事では「ゲームのやめさせ方」、「適切なゲーム時間」をご紹介いたします。賢くなるゲームとの向き合い方もご提案いたしますので、ご参考になさってください。

コロナ禍以降、おうち時間が増えたことで子どものテレビ・スマホゲーム時間が増えています。
「ゲームは1日30分まで」などとルールを決めても、「試合中(戦闘中)だから」、「友達と一緒にやっているから」などの理由で時間超過してしまうことが多いかと思います。
ゲームには脳を過度に興奮させることによる依存性があります。特に子どもは脳が未成熟で理性で欲求を抑えることが難しいため、大人よりもゲーム依存になりやすいです。
「親との会話」「やらなくてはいけない勉強」「友達と遊ぶ」ことなどよりも、ゲームを優先するようになってきたら危険信号です。日常生活・人格形成にも悪影響が出てきます。
ゲーム依存を防ぐには、ルール・意識の改革が必要です。ゲームとの上手な付き合い方で学習意欲もアップさせましょう。

なぜやめられなくなる?増え続ける子供のゲーム依存症

上のグラフは国立病院機構久里浜医療センター「ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート結果」令和元年のデータを基にしたものです。
調査対象のゲームはテレビゲーム(据え置き型ゲーム)・スマホゲーム(スマートフォンゲーム)。10歳~29歳の男女5096人に1日当たりのゲーム時間を聞いたところ、1時間以上している割合は男性74%、女性43%という結果になりました。

児童を含めた若者世代では、ゲームは単なる暇つぶしではなく、娯楽・趣味として余暇時間の過ごし方の定番になりつつあります。
かつてのオフラインゲーム(インターネット接続していないゲーム)では「クリア」することでゲームは終了。ゲームへの執着もクリアするまでの期間でした。

しかし現代のテレビ・スマホゲームオンラインが主流。アップデートが繰り返されたり、ユーザーが集うイベントが開催されることで、飽きずに長期間ゲームに没頭してしまいます。世界中の人とコミュニケーションを取りながらプレイできることも、依存性を高めています。人と関わることで連帯感・達成感・自己肯定感が感じられるのでゲームへのめり込んでしまうのです。
いつでもどこでもできるスマホゲームの浸透もゲーム依存に拍車をかけています。

ゲームに熱中している時、脳は過剰に興奮し前頭前野(理性)の働きがダウン。大脳辺縁系(本能)の働きが前頭前野(理性)よりも勝ってしまうことで「ゲームをやりたい欲求」を抑えられなくなります。この前頭前野の成長はスローペース。年齢が低いほど、自分の欲望・行動を制御するのは難しいのです。
つまり幼ければ幼いほど、ゲームに依存する確率が高くなるということです。

ゲーム時間が長くなるほどやめられなくなる!

上のグラフは「ゲームのために、学業に悪影響がでたり、仕事を危うくしたり失ったりしても、ゲームを続けてしまった」人の割合です。
ゲーム時間が「60 分未満」では1.7%と低い割合でした。
「1時間以上2時間未満」で 5.8%、「2時間以上3時間未満」では10.0%、「3時間以上4時間未満」では12.4%、「4時間以上5時間未満」では 19.4%、「5時間以上6時間未満」では 22.0%、「6時間以上」では 24.8%となりました。

時間が長くなればなるほど、ゲームがやめられない人の割合が増加します。
続ければ続けるほど脳はより強い刺激を求めるようになります。
新しいゲーム・課金などによってさらなる興奮を感じることで、実生活・リアルな人付き合いに興味が薄れていくかもしれません。

ゲームは1時間まで!2時間以上で学習意欲低下も

わが子がゲームに夢中になっている時、多くのママパパが気になるのが学力への影響ではないでしょうか。
上のグラフは「過去12か月間でゲームのせいで、学業成績の低下や仕事のパフォーマンスの低下」があったと答えた人の割合を表したものです。
ゲーム使用時間が「60分未満」では5.0%、「1時間以上2時間未満」では11.9%となり、1時間を超えると学校や職場での能力が低下したと感じる人がグッと増えます。

「2時間以上3時間未満」では20.4%、「3時間以上4時間未満」では 20.3%、「4時間以上5時間未満」では 22.4%、「5時間以上6時間未満」では 23.6%と、2時間を超えると2割超の人が学業・就労に悪い影響を感じています。「6時間以上」になってしまうと 29.8%もの人が悪影響を自覚しています。

よく「1日ゲーム時間は30分まで」というルールを聞きますが、これは理にかなっていますね。30分では物足りない、キリが悪いという場合も「1時間まで」に抑えることで成績・学習意欲低下を最小限にとどめることできます。

ゲームのやめさせ方

ゲームをしている時、脳内ではドーパミン(幸福感を感じる)とアドレナリン(やる気・高揚感を感じる)というホルモンが分泌されます。仮想現実の世界で主人公となり、冒険・戦闘をする、理想の生活を送ることはとても楽しいものです。
非現実的な世界で自由に飛び回り、時には暴力的な行為を行うことで、脳を過剰な興奮状態にさせゲームから離れられなくなります。

                ゲームのやめさせ方例
■ゲームする時間を事前に決める。
やる時間をゲーム開始前に決めます。「30分と決めたら、どんな理由があってもやめる」ことを親子で約束します。
守れない場合は一定期間ゲーム禁止にする、など罰則を設けても良いでしょう。
■他の楽しみへ誘導する。
子どもの性格によっては、ゲームをやめることにかなりの抵抗を示すことも。徹底的に向き合い、話し合うことも必要ですが、それも度重なると親子関係が悪くなることもあります。
そんな時は親が他の楽しみへ誘導すると良いでしょう。ゲーム同様、集中して楽しめるものを提案します。
親が一緒に行うとよりgood!

外遊び・虫取り・料理・絵の具を使ったお絵かき・工作など屋外に出る、手先を使う遊びが良いですね。
ゲームから離れて、気持ちが切り替わるものを準備しておきましょう。
■見守り系アプリでコントロール
親が側にいなくても、ゲームをやめさせられる「見守り系アプリケーション」。
共働き家庭にもおすすめです。

ゲーム内容・時間を親が規制できます。規定時間が来たら強制終了、週末は20分延長など家庭の事情に合わせて管理できるアプリもあります。

オンラインゲームのチャット機能に要注意

また、オンラインゲームではチャット機能を利用して、他のプレイヤーと会話を楽しむことができます。仲間となり協力し合うことで、連帯感が生まれ、よりゲームに没頭するように。

最近はチャット機能を利用する子が増加しています。子ども同士ならまだしも、「見ず知らずの大人」とコミュニケーションを取ってしまう子もいます。子どもの場合、チャット機能を利用できないようにする、もしくは「知っているお友達」に限定してチャットをすることをおすすめいたします。
チャットをする際は、親の目の届く範囲で「話している内容がわかるように」しておくことが大切です。

”ルール”を決めて自主性を育てよう!

子どもがゲームの楽しみを知ってしまった以上、ゲームを頭ごなしに否定するのは逆効果。そもそもゲーム自体が悪なのではなく、際限なくしてしまう「依存状態」が危険なのです。

ゲーム自体には空間認識力・色彩感覚・反射神経・論理的思考力など知育効果も期待できます。ゲームをやりたい気持ちを利用して自主性を育むことも可能です。
ゲームを安全に楽しむためのルールを、親子で話し合って決めましょう。

             ゲームのする際のルール例
■ゲーム時間は1日45分まで。
■ゲームをするのは、宿題など決められた勉強・課題を済ませてから。
■習い事・友達の約束・お手伝いを優先させること。
■チャットする場合は、ママパパがいる時「会話内容が聞こえる状態」で行うこと。
■約束が守れない場合は、ゲームを1週間禁止する。

親子時間を増やしてゲームへの執着をダウン

ゲームの時間が増えてしまう要因の一つは「親子のコミュニケーション不足」。特に未就学児~小学校中学年くらいまでは親の声がけ、親との遊びでゲームへの関心を減らすことが可能です。「知的好奇心」、「運動欲求」が満たされていない子もゲームに執着します。
親子で以下のような取り組みを行うことで、ゲーム以外の楽しみに気づかせることができます。

1.読書を親子で楽しむ。
小学校低学年くらいまでなら「読み聞かせ」をしてもOK。読書に没頭できる子であれば、親子で別々の本を読みましょう。ポイントは「親子で一緒に読む」こと。「本を読みなさい!」と子どもに言いながら、親がネットサーフィン・ゲームをしていては説得力0です。同じ空間で静かに読書することで、情緒の安定・集中力が育まれます。

2.図書館・博物館・植物園・美術館など文化施設に一緒に行く。
歴史・美術などに興味がなくてもOK。「館内にカフェがあるから。」「近くに公園があるから。」などのお楽しみ要素で誘っても良いでしょう。
行けば必ず、子どもの知的好奇心を刺激するものがあります。何か学ぼうと意気込まず、「子どもの好きなもの」を見つけに行く感覚で気軽に行くと良いでしょう。

3.親子で外遊び
遠くに出かけなくても、近所の公園でも良いので親子で体を動かして遊びましょう。親子で遊ぶことは、脳の発達を促進し、自己肯定感も高めます。
虫取り・鬼ごっこ・バドミントン・サッカー・・・何でも良いので子どもが喜ぶ遊び一緒に行います。

高学歴の人は幼少期「親との関りが深い」傾向があります。ボード・カードゲーム、外遊び、地域の学習イベントなど親子でたくさん遊ぶことで、ゲームへの執着心が減り、学習意欲も高まります。

賢くなるゲームのさせ方

「勉強が終わったらゲーム」のように勉強をした報酬としてゲームをさせるご家庭も多いかと思います。学習効率で考えると、これはNG。
なぜなら勉強の後に、ゲーム・遊びなどの脳を興奮させる行動をしてしまうと学習内容がゲーム・遊びの記憶に上書きされてしまうからです。
記憶は睡眠によって定着します。特に「寝る直近に行ったこと」はしっかりと記憶が残ります。
勉強をした後は、「リラックス後に就寝」するのがベスト。勉強をした後にゲームをしてしまったら、短時間でも良いので勉強時間を入れると良いかもしれません。

ゲームの記憶が定着学習内容が定着
【勉強を先にやる】

勉強→ゲーム→就寝
【勉強を後にやる】

ゲーム・遊び→勉強→就寝

親が動けば子供も変わる!

そもそもゲームはプログラマー・デザイナーなどのプロのゲーム制作者が作った「人が夢中になる要素を詰め込んだ」娯楽です。一つのゲームでもアップデートを繰り返し、飽きずに永遠に楽しめるように作られています。
ゲームを長時間続けている脳ではギャンブル・アルコール依存の状態と似た反応が起きます。
大人でも依存症になることがあるゲーム。脳が未発達の子どもが自発的にゲームをやめることは困難です。ゲーム依存症から子どもを守るには、「親が子どもをコントロールし、ゲームから遠ざける」ことが必要。
ゲームより楽しいと感じることを提案して、子どもをそちらに誘導します。そして何より親がスマホ・ゲームのそばから離れることが大切です。

子どもは親を見ています。
まずはママパパのスマホを見る時間、ゲームをする時間を見直しましょう。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。