子どもを褒めることの重要性はわかっていても、心から褒めるのが難しい、どうやって褒めたら良いかわからない、という悩みを抱えている方は多いものです。子どもを褒めるときのコツやテクニック、できるだけ避けたい褒め方などをご紹介します。
褒めることはなぜ大切?
子どもは、周囲の人々から褒められることで、「自己肯定感」と「自信」を身に着けることができます。
自己肯定感が身に着く
「褒められる」ということは、「認められる」こととよく似ています。子どもは「褒められる」ことによって「自分は価値のある存在として認められている」という実感を得ます。
「今のあなたが素晴らしい」と褒められることで、子どもは自己肯定感を育み、自分を大切にしながら伸び伸びと生きていく力を得ることができます。
自信が身に着く
子どもは褒められることによって、「自分はできるはずだ」という自分自信への信頼を育てます。それにより、未知のことに挑戦する勇気を持ったり、一度や二度の失敗ではくじけない心を得たりできるのです。
また、自分に自信があれば、相手の意見を尊重することを恐れなくなります。
意欲的に行動でき、円滑なコミュニケーションが取れるようにするために、子どもの自信を育てることはとても大切です。
子どもを褒めるコツ
とはいえ、ちょっとした「褒めるコツ」を意識することで、子どもを褒める機会を増やすことができます。
努力の過程を褒める
しかし子どもを育てるときは、結果ではなく、努力の過程を見るようにしましょう。「やろうと挑戦したこと」「努力をしていること」を褒めることで、子どもは「今の自分が認められている」と感じ、自己肯定感を強く持つことができます。
子どもも成長すれば、いずれは成果で判断される日が来ます。しかし、それまで十分に自己肯定感を養うことができていれば、「できないこともあるけれど、それでも自分には価値がある」と、健やかに成長し続けることができます。
「よくできたね」と成果を褒めるよりも、「がんばっているね」「自分でやってみようという気持ちが素晴らしいよ」と、「子どもが今まさにやっていること」に着目して、声をかけてあげましょう。
感謝や感激を伝える
トイレに行きたいと言えた、絵が上達したなど、子どもの成長に気がついたら、「ありがとう、助かるよ」「この絵、とてもカラフルで大好き」と、感謝や感激を伝えてみてください。
「子どもの褒めるポイントが見つからない」と感じる方は、1年前のことを思い出してみましょう。きっとできるようになったことがたくさんあるはずです。「こんなこともできるようになったね。うれしいな」という声かけも、効果的な「褒める」方法のひとつです。
第三者をからめた「褒める」テクニック
伝聞形式で子どもを褒める
保育園や幼稚園などで、子どもの成長や、園での良い行いなどを、先生から教えてもらえることがあるかと思います。そのときは、ぜひ心にとどめるだけでなく、子どもに「〇〇先生があなたのことを褒めていたよ」と伝えてあげてください。
直接褒めることも、もちろん子どもの成長につながりますが、第三者からの褒め言葉は、さらに効果的に子どもに響きます。
第三者がいる前で子どもを褒める
ただ、子どもは謙遜を「否定された」と受け止めてしまう場合があります。子どもがそばにいるときは、できるだけ共感の言葉を返しましょう。
例えば、「絵が上手ね」と褒められたのなら、「絵が上手だって。うれしいね」と子どもに声をかけてみる。「年下の子に優しくしていましたよ」と言われたら、「最近は妹のお世話もしてくれるので助かっています」と子どもへの感謝を表す、といった方法があります。
人前で褒められるのは、子どもにとってはとても誇らしいことです。謙遜は美徳ではありますが、褒められたときは素直に親子で喜びたいですね。
できるだけ避けたい褒め方
結果だけを褒める
良い成績が残せたことを褒めるのは、もちろん悪いことではありません。ただし褒める場合は、必ず努力の過程についても褒めるようにしましょう。
他人と比較して褒める
他人との比較で褒められることに慣れてしまうと、子どもは常に周りと自分を比べるようになります。価値基準を自分の中に持てず、周囲の人間に影響されやすくなるため、過剰な敵対心を持ったり、逆に劣等感を持ってしまったりと、精神的に不安定になりかねません。
比較対象が必要な場合は、他人と比較して褒めるのではなく、過去の子どもの姿を思い出して、「昔より上達したね」と成長を褒めてあげるのが良いでしょう。
才能を褒める
子ども自身がどうしようもできない才能の部分を褒めるのではなく、子どもが努力で改善できる部分を褒めてあげましょう。そのためには、「褒めるポイントをできるだけ具体的に言う」のがおすすめです。
単純に「頭が良いね」と褒めるのではなく、「折り方を工夫して新しい形の星を作ってみたんだね、頭が良いね」と伝えた方が、子どもは自分の努力が認められたという喜びを実感できます。
「褒め上手」な大人を目指そう!
特に3~6歳は心の土台を作る時期。小さな成長を見つけて子どもを褒めることに慣れてきたら、ぜひ、「オーバーリアクション気味に」「子どもと目を合わせて」褒めることも意識してみてください。かける言葉は同じでも、子どもの心により強く響きます。
「褒める」というのは、簡単なようでいて、意外と難しいものです。子どもの発達とともに、親も「褒め上手な大人」になれるよう、一緒に成長していきたいものですね。