ユーモアのなかに優しさを感じさせる作風が特徴の絵本作家、佐野洋子さん。小さなお子さまから大人まで、幅広い年代の方が楽しめる絵本を多く残しています。彼女の代表作は、40年あまり読み継がれるベストセラーに。そんな佐野さんの絵本から、おすすめ作品を5冊ご紹介します。
幸せとは何かを考えさせられる絵本
著者 :佐野洋子(作・絵)
出版社 :講談社
主人公のとらねこは、100万回死んでも100万回生まれ変わります。彼は誰よりも自分のことが大好き。そんなとらねこがある日、美しい白いねこに出会います。生まれて初めて「愛する」ということを知りました。そして白いねこを失ったとき、とらねこは……。
この絵本の本当の意味は、大人にならないとわからないのかもしれません。しかし難しいことが理解できなくても、純粋にねこのおはなしとしても楽しめます。何度も繰り返し読み聞かせるうちに、この絵本の本質にも気がついてくれるでしょう。
雨の日が待ち遠しくなるかも
著者 :佐野洋子(作・絵)
出版社 :講談社
主人公のおじさんは、なぜか雨が降っても傘をさしません。それはおじさんが、自分の傘をとっても気に入っているから。自慢の傘を濡らすのが嫌だったのです。
雨が降ったら傘を抱えて雨宿り。子どもが「入れて」と言っても知らんぷり。しかし、そんなおじさんがついに傘を開くときがやってきます。
せっかく立派な傘を持っているのに、その傘を濡らすのが嫌で傘をささないなんて、本末転倒です。しかしその様子がなんともシュールでユーモアがあり、想像すると笑えてきます。雨の日のどんよりした気持ちも吹き飛んでしまうでしょう。
前向きな気持ちになれる絵本
著者 :佐野洋子(作・絵)
出版社 : フレーベル館
ある日ねこは、おばあさんの99歳の誕生日のためにろうそくを買いに出かけました。しかしねこはうっかり川にろうそくを落としてしまうのです。残ったろうそくは、たった5本だけ。それでもおばあさんは「ないよりましさ」と、5本のろうそくをケーキにたてました。するとおばあさんは、5歳になったような気分になり……?
このお話は、考え方次第で「不可能」だと思っていたことを「可能」にできると教えてくれます。お子さまに、前向きにチャレンジすることの大切さを伝えたいときに、読んでみてはいかがでしょうか。
ドキドキの展開にページをめくる手が止まらない
著者 :佐野洋子(作・絵)
出版社 :講談社
ドキドキハラハラの展開に、ページをめくる手が止まらなくなりそう。お子さまも、きっと最後まで飽きずに読むことができるでしょう。絵本の楽しさを知るきっかけになるかもしれません。
新米パパ・ママにおすすめしたい絵本
著者 :佐野洋子(作)
出版社 :小学館
絵本のなかで、こぐまがお父さんぐまに、「ねえとうさん、ぼく、とうさんの子どもでうれしいよ。すごくとうさんらしいもの」という場面があります。それに対し、お父さんぐまは「くまらしいだけさ」と答えます。
この言葉には、「ありのままの自分でいい」という思いが込められているのかもしれません。「いい親にならなくちゃ」と頑張りすぎるパパママもほっと力が抜けるはず。家族の在り方や親の在り方を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
お子さまはもちろんのこと、お子さまとどう接していいかわからず戸惑う、新米パパ・ママにもおすすめの一冊です。