2023年10月27日 公開

思考力と分析力を伸ばす!学力を上げるノートの使い方

ノートの書き方を変えれば成績も上がる!学校の授業、塾や家庭学習の学びが深まるノートの作り方をご紹介いたします。自分のできる、できないが明確になるので、復習、テスト前の見直しが短時間に♪自分の考えを文章や図で表現する力も育ちます。

お子さまの学校で使ったノートを確認して、内容が「先生の板書を写しているだけ」だったら、成績を伸ばすチャンス!
このノートに、授業中に感じたこと、疑問点、先生が補足したこと等を少し書き込むだけで、思考力分析力が身につき、習熟度も高まります。
また、家庭学習用のノートも参考書内容、テキストを写すだけではなく、お子さまの意見や理解を深めるためのイラストを加えるようにすると記憶に残りやすくなります。
この記事では、成績がアップする、頭が良くなるノートの使い方をご紹介いたします。

頭が良い子のノート

「勉強ができる子のノートは面白い!」
これは娘が小学4年生の時のクラスメイトKさんのノートを見て感じたことです。Kさんが我が家に遊びに来た時に、自由学習(毎日、自分でテーマを決めて調べものをする学習)ノートを見せてくれたのですが、思わず引き込まれる面白さでした。
「猫のひげについて」「ゴリラのコミュニケーションのとり方」「納豆の歴史」などユニークなテーマを、実験やイラスト、写真を用いて解説していました。自分が感じたこと、気づいたこともびっしり書かれていて、非常に読み応えがあり、内容が記憶に残るものでした。

Kさんは全教科の成績が良く、よく発言をする優等生。彼女のノートは、要点だけをまとめたシンプルで美しいノートではなく、自分が理解するための工夫がいっぱいのノートでした。このような「自分の意見を書いたり、イラストを書いたりする」ノートの書き方は、クラス担任の先生が子どもたちに指導していました。しかし、先生の板書を写すので精一杯の子も多く、実践できる子は限られていました。

授業ノートを自宅で見直すことからスタート

娘の話では、Kさんは学校の授業で使う全教科のノートに、コメントやイラストを書いているとのこと。先生の板書を写しながら、それに対する意見(疑問も含めて)を書く”マルチタスク”をこなすことで理解を深めていたのでしょう。
さらに彼女は帰宅後に授業の復習として、ノートを見直し、見逃していた疑問点や補足しておきたい事項を書き加えていました。

授業時間内で板書以外のことを書くのが難しいお子さま(かつての娘です。)は、学校では板書に集中し、自宅でノートを見直しコメントを書き込むのがおすすめ。毎日の授業の復習にもなります。板書を見ながら、授業を思い出すことで、短時間で効率的な復習ができます。
この「自宅で板書の見直し、書き込みをする」ことで、考えながら書くスピードがアップします。すぐに「板書を写しながら、自分の意見や補足を書く」ことができるようになるでしょう。娘は、Kさんのノートに憧れて、自宅で見直し、書き込みをしたことで、一カ月ほどで板書&書き込みが授業中にできるようになりました。

落書き、イラストが多いノートでもOK

Kさんのノートを見習い、授業ノートや家庭学習ノートに、自分の考えや疑問点を書き込み続けて約4年。中学生となった今も、ノートを活用して予習復習、定期テスト対策をしています。
小学校よりも授業の進度が速くなり、学習量も増えましたが、「板書+書き込み」で乗り切れています。ノートにコメントやイラストを書くことで、記憶にも残りやすく、学んだことを整理できているようです。

実はノートに書き込みを始めた当初、私は「遊んでないで真面目に勉強して欲しい」と思っていました。
イラストや一言コメントをノートに書く時間が1時間以上になることが多く、計算ドリルや通信教育に取り組む余力が残っていないこともあったからです。

「もう少し要点を抑えたコメントにしたら。」
「イラストばっかり書き過ぎじゃない。」
などと、口出ししたくなりましたが、本人が楽しく集中して取り組んでいたので、見守ることにしました。「自分の考えを文章や図で表す力」が育てば良いな、と思っていました。

そして授業ノート、学習ノートを時々見せてもらって、ダメ出しはせず、良い点を褒めるようにしました。自分の考えを書き出すことを、好きになってもらいたかったからです。

「植物のつくりのイラストがとてもわかりやすいね!」
「途中式を丁寧に書いているね。」
と褒めていくと、いろいろな教科のノートを見せて解説してくれるようになりました。
しばらくすると書き込み内容に変化が。自分が楽しむものではなく、人に伝わりやすい要点を抑えた、無駄のないものになりました。

ノートに自分の意見やイラストを書き込むことは、はじめは遊び感覚で問題ありません。自分の考えをノートに書き出すことができれば十分です。(落書きっぽくてもOK)
親御さんは見守り、お子さまの書いたノートを褒めて、自分の考えを文章や表で表すことが楽しくなるように導きましょう。

ノートの意義

ノートを書くことを面倒臭い、つまらないと感じている小学生は多いと思います。学校や塾の先生の板書を写す、参考書の解説を写す、漢字や用語を繰り返し書いて暗記する・・・たくさん書く”労力”で、勉強した感を出すノートの使い方では、学ぶ面白さは感じにくいでしょう。

学習内容を整理するために、ノートに自分の意思を反映させれば、能動的に学べるようになります。
ノートを有効活用することで、苦手箇所が可視化できたり、記憶に残る知識量を増やしたりできます。

勉強のやり方専門塾 ネクサス代表 伊藤敏雄著『勉強のやり方がわかる!中学生からの最強のノート術』ナツメ社、2023年では、ノートの役割を以下のように述べています。

ノートの役割は「わかる」と「わからない」を分けること

としています。そのために教科書や板書を写したり、英単語や漢字を繰り返し書いたりするのではなく、理解できない箇所をあぶり出すためにノートを活用すべきとしています。

そして、ノートを有効活用することで得られる2つの効果を挙げています。

・考えていることが見えるようになる(自分が考えていることを整理できる)

・”記憶に”残りやすくなる

少し工夫するだけで、見直しのしやすい自分だけの参考書のようなノートが書けるようになります。

塾関係者はノートで成績を見抜く

塾関係者の間では、ノートを見ればその生徒の成績や学力がだいたいわかると言われています。そのときのポイントのひとつが、いつ、どんなことを学んだのかがわかることです。あとで見直したときに、わかる書き方をしているかどうかが重要だからです

引用:伊藤敏雄著『勉強のやり方がわかる!中学生からの最強のノート術』ナツメ社,2023年,P34

学校や塾のノートには、その子の学習意欲が表れます。勉強ができる子のノートは、他人が見てもわかりやすいことが多いです。
ただ教えられたことを書き出すだけではなく、見返したときにわかりやすいように自分なりの工夫がされています。

単元や教科書ページを書く、見やすくするために仕切り線や記号を取り入れている、後で解き直しができるように間違えやすい問題にカラーペンで印をつけている・・・授業時間内での理解を深める+再度学びなおすことを意識した書き方ができるのは、集中力、論理的思考力、分析力、読解力、文章力などが高いからこそでしょう。

ノートはびっしり書き込まない

文字、図表は適度な間隔を空けて書きましょう。先生が口頭で述べる重要事項、用語の意味を要約したもの、間違えやすいポイントなどを後から書き加えることを想定してスペースを確保します。

色は3色まで

重要事項にカラーボールペン下線を引く、数値をカラーボールペンで書く、用語を蛍光マーカーで強調する・・・理解を深めるために色を使うなら3色までがおすすめ。3色以上にしてしまうと、見づらくなり、色による強調効果も薄れてしまいます。
色の強さは紫色>赤・青>茶色・緑色となります。黄色、オレンジは文字を書くには不向きです。

参考資料:勉強のやり方専門塾 ネクサス代表 伊藤敏雄著『勉強のやり方がわかる!中学生からの最強のノート術』ナツメ社、2023年 P.38

授業の板書に書き足すものとは?

後で復習して学習内容を振り返り、記憶を整理するために以下のことを書いておくと良いでしょう。
授業を受けながら書き込むのがベストですが、板書の量や筆記スピードによっては難しいこともあります。

自分にわかるメモ書きでも良いですし、帰宅後に授業を思い出しながら書き加えても良いでしょう。

・先生が説明した内容を自分の言葉に直したもの
例:先生の板書「謙譲語とは、へりくだって言い表すことで相手に敬意を払うもの」
→自分の言葉で解説「拝見する、差し上げるなど、自分の身分を低く見せるような表現で、相手を高める言い方」

・先生が板書しなかったが、聞いていて気になったこと
例:ある整数が何の倍数になるかの見分け方について、先生が口頭で述べた具体例を書く。
→ある整数が3の倍数の時は、各位の数の和が3の倍数になる。(135であれば各位の和は1+3+5=9)
同様に各位の数の和が9の倍数であれば、その整数は9の倍数である。(567であれば各位の和は5+6+7=18)

その他歴史人物の面白エピソード、漢字を分割して覚える裏技など

・自分が感じたこと
例:板書「明治時代の選挙権は一定の税金を納めた25才以上の男子に限られた」
→自分が感じたこと「女子や貧しい男性の意見は反映されないので、偏った人選になりそうだ。」

【教科別】これを書けば成績アップ!授業で使うノートに書くべきポイント

板書に少し手を加えるだけで、理解が深まり、復習も楽になります。「授業を聴きながら、考えて、書き出す」マルチタスクに慣れていくことで、ワーキングメモリが鍛えられ情報処理能力がアップします。

国語

国語、長文読解は板書の重要事項に線を引き、登場人物の心情を書き込んだり、難しいと感じる語句は自分の言葉で意味を補足したりする。

説明文は段落ごとの要約を書く。(自分がわかればよい)

漢字は小学校低学年以降であれば、ひたすら書く覚え方はNG。知っている漢字の組み合わせ、漢字の意味などから自分流の覚え方を書く。

自己流覚え方例騒=馬が又、虫を見て騒いでいる
疑=ヒ・矢(ヤー)~マッ疋(テ~)

算数

例題、練習問題は途中式や計算の順番を省略せずに書く。

板書の図形に、数値や色をつけてわかりやすくカスタマイズする。
文章題は簡単な図を書き加える。
→図形、立体図形はフリーハンドで書く習慣をつけると、空間認識力が育まれます。

理科

用語、実験用具などは名称を覚えるだけではなく、意味や特徴も書き加えましょう。

外骨格→体の外側をかたいからでおおって、からだを支えているもの。人間や猫、犬のようにからだの中に骨があるものは内骨格という。

低かっ車→動かないように固定された円盤にひもをかけて、ものを持ち上げる道具。固定されずに上下に動くものは動かっ車という。

参考資料:自由自在 小学高学年 理科 受験研究社 2020年

手書きのイラストで図解するのも、理解が深まって良いですね。

社会

暗記量が多い社会は板書に図や表を加えて、イメージ化して覚えやすくしましょう。
例えば、以下のような、各地域の気候区分を覚える際は、日本地図を自分で描き、そこに各地域の気候の特徴を書き込んでいきます。

北海道の気候=冬が長く、寒い。夏は親潮の影響で涼しい。梅雨や台風の影響が少ない。
太平洋側の気候=夏は南東の季節風の影響を受け、高温で雨が多く、冬に晴れが多い。

日本地図は簡単なもので良いです。地図に書き込むことで、地域の気候の特色と位置関係を確認することができます。文字だけで覚えるよりも記憶に残りやすいです。

歴史上の人物の暗記は、「人物に関連する情報」を増やしましょう。人物名の横に簡単な似顔絵や、先生が話した人物エピソードを書き込むなどすると忘れません。

解き直しノートを作ろう

不正解があった単元を、正解した問題も含めて「すべて繰り返す反復学習」は、学年が進むにつれて困難になります。学習量が増え、難易度が高くなることで、がむしゃらな反復学習では間に合わなくなっていきます。

学校、塾、家庭教師、家庭学習で取り組んで、できなかった問題だけをイチから解き直す「解き直しノート」を作りましょう。苦手をあぶり出して効率的に勉強できるようになります。

先にも紹介した『勉強のやり方がわかる!中学生からの最強のノート術』では、とけなかった問題をとき直す「直しノート」の書き方を以下のように紹介しています。

1.日付、ページ数、単元名、問題番号を書く
2.答えだけではなく、どんな問題かわかるように書く
3.なぜその答えになるのかの考え方やポイントも書く

参考資料:勉強のやり方専門塾 ネクサス代表 伊藤敏雄著『勉強のやり方がわかる!中学生からの最強のノート術』ナツメ社、2023年

日付や単元名を書くことで、教科書や参考書との連携も取りやすくなります。

どんな問題か書くことは、勘違いや覚え間違いを防ぐのに有効。例えば、社会の年表穴埋め問題、図表を使った選択問題などは問題文を書くことで、前後にある重要事項や問題で問われていない知識も確認できます。

算数の文章題は丸写しする必要はありません。重要な数値、図を自分にわかるよう書き、何を問われているのかわかれば大丈夫です。

答えにたどり着くまでの過程を書くことで、論理的思考力分析力を養います。

時間はかかりますが、教科に限らず図や表を自分で書いて、思考過程を整理するのもおすすめです。
理科の実験は図解を自分で書くと良いでしょう。自宅で実験ができる場合は、自分でやってみるとよいですね。実験のねらいや手順が長期記憶として残りやすいです。

ノート作成術を極めて無駄のない学習を

ノートを書く目的は学んだ内容を整理して理解して、覚えることです。見た目の美しいノートを作ろうとするあまり、筆記や色付けに執心して時間がかかり過ぎるのは本末転倒。
親御さんは、お子さまのノートを見た時に文字や図表の完成度が気になると思いますが、見た目よりも書かれている内容に目を向けましょう。

自分で考えた解説、覚えやすいように色分けされた文字、先生の話を要約したメモ・・・板書以外の工夫が見られたら、そこを褒めてあげます。
ノートに書き込みがあることは、自分の頭で考えながら積極的に授業に参加している証。

後日、見返したときに授業内容が思い出せるノートは、自分専用の参考書になります。こういったノートを作れる力は、限られた時間で学力を上げなくてはならない、中学校以降の定期テストや受験に大いに役立ちます。

▼ノート術に参考にしたい書籍はこちら


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この記事のライター

KOMETA
KOMETA

ライター業と服飾関係のフリーランスで働く兼業主婦です。南関東在住。小6・秋に中学受験を決意した娘の数カ月間の奮闘をまとめました。途中生活リズムが崩れたり、情緒不安定になったりもありましたが(親子共に)、無事、志望校の私立中高一貫校に合格。中学受験のスタートが遅れてしまった、受験が近づくにつれて自信がなくなってきた、勉強のモチベーションが保てない…親御さん、お子さま方の不安が解消出来たら嬉しいです!