仕事をしているワーママでも、あえて幼稚園を選ぶケースが増えてきています。とはいえ、地域によっては0歳や1歳で入れる認定こども園は定員が少ない場合も。
正社員だった筆者が、子どもが3歳のときに保育園から認定こども園に転園させた実体験から感じたことを紹介します。
ワーママでも幼稚園に転園させて大丈夫?
保育園と違い幼稚園は、標準保育時間が4時間と短いことワーママにとっては問題の1つ。とはいえ、早朝保育や延長保育の制度がしっかりしている幼稚園や認定こども園であれば、保育園のように長時間預けることも可能です。
認定こども園はワーママの味方
幼稚園と保育園の機能を併せ持つ認定こども園では、幼稚園教育の後は預かりクラスで過ごします。筆者が選んだのは、「〇〇幼稚園」という名称の認定こども園。
仕事をしているママは、大体クラスの3分の1程度と思ったよりも少なかったですが、働きながらでも通いやすい配慮が行き届いていました。
認定こども園の注意点
認定こども園では、出願時に2号認定か1号認定のどちらかを選択できます。ただし、人気のこども園の場合、年少での入園時には既に、2号認定の定員が少ない場合や全くないこともあるので注意。併願することもできますが、仕事をしながら通うなら2号で入園した方が、融通が利くことが多いです。
入園時に2号の定員がいっぱいの場合、入園後に空きが出れば、1号から2号に変更することもできますが、すでに何人も待機しているケースも。その場合は、1号で延長保育を利用しながらでも通えるかどうかが判断基準になります。
実際に筆者の子どもが通ったこども園も、2号での入園は叶わず、3年間1号認定児として通園しました。
転園のスケジュール
保育園から幼稚園や認定こども園に転園をする場合、入園の手続きと退園の手続きが必要です。お住まいの市町村によって多少異なりますが、9月前後から入園説明会および願書の配布が行われます。その後10月から11月頃にかけて、願書受付と選考が行われることが多いです。
1号専願で申し込む場合は、直接幼稚園や認定こども園に申し込みますが、2号認定の場合は、自治体への手続きが必要。2号認定での入園の可否は、保育園の結果が出る時期と同じ1月下旬頃に通知が来ます。結果が分かり次第、なるべく早めに保育園に退園の意思を伝え、手続きを行う流れになります。
筆者は保育園の先生に転園を伝える際、『理由は何て言おう』と当時は戸惑いましたが、特に転園理由を詳しく聞かれることはありませんでした。
実際に感じた幼稚園と保育園の違い
筆者の子どもは、1歳から2年間通った認可保育園を退園して、年少の3歳のときに幼稚園に転園しました。どちらにも通ったからこそ感じた、両者の違いがあります。
行事にかける熱量
保育園でも運動会や発表会はありましたが、日常の保育が中心のためか、あまり多くの練習が必要なものはありませんでした。筆者の子どもは年齢が低かったせいか、かろうじてその場に参加はしていたものの、あまり楽しめてはいなかったように見えました。
一方幼稚園では、本番が近くなると、毎日クラス内や学年単位での練習が行われます。入園前は、人前で話すことすらできなかった筆者の子どもも、次第に行事に積極的に参加できるように。どの先生も、子どもたちのやる気を引き出しながら、まとめ上げるのがとても上手で、その指導の仕方にいつも感銘を受けていました。
園によって内容や方針は異なりますが、子どもが楽しめる行事は幼稚園の方が多かったです。
担任の先生との関係性
保育園の先生は、勤務がシフト制で主担任の先生を中心に複数の先生がクラスを受けもつことがほとんどです。シフトは毎日固定ではなく、平日の休みもあるため、送迎時間によってはあまり接点がないような先生も。大体のことは先生内で引継ぎが行われているのですが、内容によっては伝わっていないようなこともありました。
一方幼稚園では、年少のときは2人の先生が担任でしたが、年中と年長では担任の先生は1人。いつも同じ先生が見てくれて、何かあったときにも相談しやすい安心感がありました。もちろん複数の先生が受け持ってくれる良さもありますが、筆者は幼稚園の先生の方が些細なことでも相談しやすかったです。
幼稚園に転園してよかったと感じたこと
保育園から幼稚園へ転園し、3年間の幼稚園生活を通して感じた良かったことが数多くありますが、特によかった点が大きく3つあります。
集団生活の中で成長を感じた
保育園でも集団生活の経験はあったものの、当時は『お友達と何かを一緒にやる』という遊び方ではなく、1人遊びをする時間がほとんどでした。年齢的なこともありますが、幼稚園では園での過ごし方が一変。クラスのみんなで歌や、お遊戯、工作など時間ごとにカリキュラムが組まれています。もちろん自由遊びの時間も多くあるようでしたが、お友達とコミュニケーションを取りながら、一緒に遊べるようになりました。
また、幼稚園ではスムーズに小学校生活が送るための一環として、グループ内での話し合いで決めごとをする機会が多く設けられていました。筆者の子どもは元々、人前で話すことが苦手でしたが、『自分の意見をどうやって他の人への伝えたらいいのか』が実践を通して身に着いたよう。他にも、人の話を座ってしっかり聞くことや、目を見て挨拶をすることなど幼児期に大切なことが習得できました。
絵や制作が上手になった
絵画制作に力を入れている幼稚園だったため、苦手意識の強かったお絵描きが楽しくなったようです。学期末に持ち帰ってくる絵や制作を見ると、年齢的な成長ももちろんありますが、少しずつ上手になってきたと感じられました。
送迎いらずで習い事ができる
幼稚園が終わった放課後の時間帯で、希望者は習い事ができる幼稚園が多いです。筆者の子どもの幼稚園では3種類の習い事から選べ、延長保育の利用がなくても開始時間まで追加料金がかからず預けられることで人気がありました。
慣れた場所で幼稚園のお友達と一緒に受けられるのが楽しかったようで、週に1度の習い事の日をとても楽しみにしていたようです。
保育園の方がよかったと感じたこと
幼稚園に転園すると、予想よりも平日の休みの日数が多く慣れるまでは大変でした。平日に開催される行事が年に数回あることは把握していたものの、その前日は午前保育、翌日は振替休日になることは想定外でした。2号認定であれば平日の園都合の休日も預けられますが、1号や新2号だと原則預けることができません。
さらに土曜日に預ける場合は、保育園と異なり2号認定以外は別途費用がかかります。筆者の子どもの幼稚園は、先着順で人数制限があった上に、料金も通常より高額なため保育園と比べて利用しづらかったです。
また幼稚園は、警報が何か1つでも出ていたら休園に。特定の警報が2つ同時に出たときのみ休園になっていた保育園と比べると、休園になる基準が低く台風シーズンはひやひやの連続。平日の急な休みが調整しづらい職場であれば、保育園の方が安心かもしれないと思うこともありました。
転園後の子どもの変化
3歳まで通っていた保育園にも、仲のいいお友達や大好きな先生がいたので、環境の変化に入園当初は戸惑うものかと心配していました。そんな親である筆者の心配をよそに、すぐに新しい環境に慣れていく姿に当時は驚くばかり。同じ時期に家庭保育から入園したお友達よりも、始めからスムーズに幼稚園生活が送れたのは、保育園時代があったからこそだと感じました。
すでに卒園していますが、幼稚園で過ごした3年間は子ども本人にとっても忘れられない思い出に。愛情深く指導してくださった先生方には感謝でいっぱいです。
『保育園か幼稚園、どちらがいいのか』は、家庭の事情や、子どもの性格、園の教育方針によっても変わってくるので、簡単に比べられるものではありませんが、わが家にとってはいい選択でした。
大切な幼児期を過ごす場所である、保育園や幼稚園。選択肢が多く迷ってしまうこともあるかもしれませんが、いろいろな視点で比較検討してみることをおすすめします。