2021年11月30日 公開
非認知能力3歳児

非認知能力を育む3歳児の遊び

非認知能力は今教育界注目を集めている言葉です。非認知能力とは数値化することのできない力で、人間力や生きる力とも呼ばれることがあります。0〜3歳は非認知能力の土壌を育むのにとても大切な時期。今回は非認知能力を育むのにおすすめな3歳児の遊びについてご紹介します。

今、教育界で注目されている「非認知能力」とは、これからの時代を生きる子どもたちに大切な力です。非認知能力は、テストや偏差値などといった認知能力のように数値化できて目に見える力ではありません。自己肯定感、やり抜く力、自制力、協調性などといった目には見えないけれど人間にとって大事な力の総称のことです。

日本で「非認知能力」という言葉が広まったのは、その力がとても重要であることが多くの研究結果で明らかになっているからです。学習指導要項でも、非認知能力のことを“生きる力”と称して積極的に育むことが推奨されています。

もちろん認知能力も大切なことであるのは変わりません。認知能力と非認知能力には不思議な関係性があり、非認知能力が高まるほど認知能力も伸びることがわかっています。逆に認知能力の向上は非認知能力の関係はありません。

0〜3歳児代は非認知能力の土壌づくりに最適な時期。
今回は、3歳児の非認知能力を高める豊かな遊びについてご紹介します。

3歳児は自立心や好奇心が芽生える時期

3歳児になると、「なぜ?」「どうして?」の言葉が増え、少しずつ自分の気持ちや欲求を言葉で伝えられるようになります。思っていることを言葉で表現できるようになってくることで、イヤイヤ期から少しずつ卒業していく時期です。

また、個性が目立ち始めるのもこの時期で、子どもの自己主張の強さに驚かされることもあるかもしれません。

身体能力や言語能力も成長し、自分でできることが多くなっていきます。「自分で!」と語気を強め、自分でやりたがるシーンも多くなってくるでしょう。

お友達との関わり合いでは、悔しかったりや我慢したりする気持ちを感じる経験も増えていき、心の中で子どもながらに葛藤しています。時には、子どもが反抗的な態度をとっているように見えるかもしれません。自立したい気持ちと甘えたい気持ちの狭間で揺らいでいるのが3歳児の特徴なのです。

社会性を育みつつその子らしさを認めて伸ばすことが大切

3歳児は「なぜなぜ期」とも呼ばれ、「なんで?」「どうして?」といった言葉が多く出てくるでしょう。パパママは、何度も何度も聞かれることがわずらわしいと思ってしまうこともあるかもしれません。

余裕がないときに無理をする必要はありませんが、子どもの「なぜ」にはあらゆる可能性が秘められているので、可能な限り寄り添ってみてはいかがでしょうか。

「不思議だね」「どうしてだろうね」とまずは子どもの気持ちに向き合ってみると、さらに豊かな遊びに発展するチャンスが見つかるかもしれません。

子どもは自分の気持ちが認められたことに満足し、好奇心や興味の幅を自然と広げていきます。好奇心はあらゆる行動のきっかけにもなる力の源。大切に大切に育んでいきたいものです。

また、自立心の芽生えから誰の手も借りずに一人でやりたがる機会も増えてきます。「大人がやれば早いのに……」という気持ちもあるかもしれませんが、可能な限り子どもにやらせてあげる工夫をしてみるのがおすすめです。

子どもが自分でやることを前提にスケジュールを組み、完璧を求めすぎずに見守ることで、子どもは心を満たすことでしょう。それがやがて、自信や自立する心へとつながっていきます。

3歳児は、その子らしさを認めて良いところを伸ばしていくと同時に、社会性も積極的に育みたい時期でもあります。お友達や兄弟、親子との関わり合いの中で、ルールを守ることや、相手を思いやる心の大切さも教えていきましょう。

子どもの話にしっかりと耳を傾けて、「頑張ったね」「悔しかったね」「よくゆずれたね」など、声かけをすることを心がけてください。自分が受け止めてもらう経験を重ねることで、「頑張ってやってみよう」という気持ちにつながりますよ。

3歳児にオススメの非認知能力を育む遊び

①ネイチャークラフト

子どもにとって自然の中には宝物がいっぱい。落ちている木の見や枝を拾って、おうちで作りに挑戦してみましょう。

どんぐりに顔を書いたり、枝をリースにしてみたり、松ぼっくりを糸で吊るしてみたり……。紙粘土と組み合わせてみても良いでしょう。この豊かな遊びは、子どもの想像力や表現力を育みます。

②段ボールで土手すべり

お天気の日は外遊びの絶好の機会。家の近くに芝生の土手があったら、ダンボールを持って土手すべりを楽しんでみましょう。家にある段ボールはもちろん、100円ショップでも土手すべり用の簡易的なソリが売っています。

子どもはどこがよくすべるか、どうすればもっとよくすべるか、夢中になって遊ぶことでしょう。最初に親が手本を見せ、時には一緒に乗って楽しむことも大事。このダイナミックな遊びで、子どもの探究心や行動力を育みます。

*遊ぶ際には長袖長ズボン、帽子やヘルメットを着用して安全に配慮してくださいね。

③お店やさんごっこ

子どもはお店やさんごっこが大好き。親子やお友達と一緒にやってみましょう。段ボールなどの廃材でお店を作るのもおすすめです。お店やさんごっこを通して、子どもはコミュニケーション能力や社交性を高めていきます。

④野菜スタンプ

オクラやレンコン、小松菜の芯など家にある野菜を輪切りにしたスタンプ遊びは子どもの心をぎゅっと捉える遊びです。

絵の具と画用紙を用意して、濃いめに溶かした絵の具に野菜スタンプを付けて、自由にスタンプを押してみましょう。野菜に興味を持つきっかけにもなります。この遊びは子どもは表現力や想像力を育みます。

⑤ぴかぴか泥団子づくり

子どもたちは泥んこが大好き。手先がぐんと器用になるこの頃から、泥団子づくりを始めるのにピッタリです。泥団子をていねいに握って完成度の作品を目指すもよし、たくさん作ってお団子やさんをするのもよし、いろんな楽しみ方があります。

泥団子づくりは、子どもの集中力や最後までやり抜く力を養い、昔から楽しまれている良質な遊びです。

⑥おうちでミニ収穫体験

子どもの反応が良く、食育にもつながる遊びが収穫体験ごっこです。スプラウト用の栽培キットや、きのこ用の栽培キットなら、始めるのも簡単!また、根っこを残した豆苗や、歯が出ている大根のあたまの水耕栽培も手軽でおすすめ。

毎日成長してく様子を観察して楽しむことができます。自分で育てた野菜は「食べたい!」と子どもも興味を持ちますよ。子どもの好奇心や想像力につながる遊びです。

⑦図書館で絵本探し

自分でやりたがるこの時期にうってつけなのが、図書館へ一緒に行き、子ども自身が読みたい絵本を選ぶことです。「好きな本持ってきていいよ」と声をかけ、どんな絵本を選ぶか見守ってください。

もし子どもが戸惑うようであれば「どんなお話がいいかな?」と興味を引き出しながら、一緒に探してみるとよいでしょう。親が選ぶ絵本とは違った絵本と出会う、チャンスにもなります。子どもは絵本で安心感を覚え、好奇心や表現力などあらゆる力を育んでいきます。

3歳の時期は、自立を見守りサポートを

3歳を迎えてからは、今までとは違う一面が垣間見え、戸惑いを覚えることもあるかもしれません。子どもは子どもなりに、心の中でたくさんの葛藤をして学んでいく大変な時期です。安全面には配慮しつつ、できるだけ子どものやりたいようにして、見守るというのがこの時期の関わり方のポイント。

子どもの感情的な言葉は真っ向から受け止めず、少し俯瞰して対応することをおすすめします。見守りながらも社会性を身につけるために、優しく言葉で教えてあげましょう。自分でできることがたくさん増えて成長を感じられますが、まだまだ3歳児。たくさん甘えたい時期でもあるので、お風呂や寝る前などスキンシップもたくさんとって心を満たしてあげましょう。

また、個性が出てくる時期なので成長の差も感じやすいかもしれません。周りの子と比べるのではなく、自分の子どもを見つめて、その子の良さを引き出してあげられたら良いですね。

《参考文献》
『非認知能力を育てるあそびのレシピ(大豆生田 啓友・大豆生田 千夏)』講談社
『非認知能力が育つ 3〜6歳児のあそび図鑑(監修:原坂一郎 協力:いこーよ イラスト:モチコ)池田書店


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この記事のライター

大曽根 桃子
大曽根 桃子

ちょうどいい働き方を模索し続けている、フリーランスライター&エディターです。子どもの何気ない遊びの中に無限の可能性があると信じていて、非認知能力について勉強中。また、お母さんが笑顔でいることを大切に、積極的に自分のご機嫌を取る日々を送っています。趣味は、テニス、銭湯、サウナ、キャンプ、旅行、美味しいものを食べることなど。10歳男子、6歳女子とふたりの子どもがいます。