小学校受験に塾に通わず挑んで合格した保育園児とワーキングマザーのママミーヤが、「お受験」に挑戦するまでに考えたことや実践したことを振り返ります!連載5回目の今回は東京で私立・国立それぞれを代表する慶応義塾幼稚舎・筑波大学付属小学校の具体的な試験内容を紹介します。独特な形式が特徴的な2校、驚く方も多いかもしれませんね。
慶應義塾幼稚舎とは?
幼稚舎という名前なので幼稚園だと思っている人も多いのですが、小学校です。
その出願数は、毎年、男女合わせて2,000人を超えるといわれています。
幼稚舎は、1年生から6年生までクラス替えも担任の変更もなく、非常に結束が強くなります。そのため、「幼稚舎出身」であるということは慶應義塾の塾生の中でもブランド価値が高いものとされています。
筆記試験はなし!独特の試験内容
・絵画・工作
・運動
・行動観察
が試験内容です。
受験者は月齢によって考査の考慮があります。
・絵画・工作では高い想像性が必要!
製作中も先生方が教室を回り、子どもたちに声掛けをしながら採点をしているようです。この「お声掛け」の回数が多いほど合格の切符を手にしやすくなるといわれています。
・たくましい身体能力が必要!
「まず獣身を成して而して後に人心を養う」
という言葉があります。この言葉は幼稚舎の教育にとってとても大切なもので、言葉通り、運動重視の教育についてこられる子どもを求めています。
運動考査では、毎年サーキット運動と呼ばれるいくつかの運動要素を含めた一連の動きを評価します。実際に幼稚舎を目指している子どものサーキット運動をみたことがありますが、非常にきびきびとした動きとスピードに驚きました。一朝一夕ではなしうることができないと感じました。
・行動観察もあり!
常識的な行動をとっていれば問題ないですが、しっかりと自分の意見を伝え、周囲に気配りもできるコミュニケーション能力が高い子どもが好まれるようです。
また、試験の前に3つのお約束「喋らない」「前の人を追い抜かさない」「走らない」を言い渡されます。そのルールを破ることは絶対にNGです。
受験生の中には、3代にわたって幼稚舎出身など慶應義塾との強いつながりがあるお子さまも多く、合格への道は非常に厳しいといえます。第一志望にするには勇気が必要な学校ですが、歴史の重みを感じる充実した学びの施設は本当に魅力的です。校内の博物館、図書館も素晴らしく、多くの出願者が押し寄せるのもわかる気がします。
・毎年春すぎ頃から売れる「福翁自伝」「学問のすゝめ」
面接がないので、親の熱意を伝える唯一のツールです。
毎年春過ぎ頃から対象図書である「福翁自伝」と「学問のすゝめ」は書店の受験関連コーナーに平積みになることが多く、幼稚舎を目指す家庭の必携アイテムとなっています。
国立の雄!筑波大学附属小学校の受験
学力考査だけではなく、運動考査でも鍛え上げられた子どもたちが残ります。
抽選→テスト→抽選!
筑波大学附属小学校は合格まで抽選→テスト→抽選の3回の考査を通過する必要があります。実力だけでも、運だけでも合格できません。
テストは、月齢ごとに3グループに分けられ、それぞれのグループごとに行います。4~8月生まれ=Aグループ、9~11月生まれ=Bグループ、12月~3月生まれ=Cグループです。
例年Aグループが最も受験者が多く、Cグループが少なめです。テストの内容もグループごとに違い、月齢に合わせた難易度になっています。
考査の流れ
男女とも約1,000人が通過します。例年、男女それぞれに約2,000名の応募がありますので、約半数が合格することになります。
2次考査:約1カ月後、1次考査通過者を対象に2次考査が行われます。考査内容はペーパー・運動・行動観察です。また、2年前より保護者が試験中に作文を書くようになりました。筑波の教育に対して理解があるかどうかを問われるようなお題が出されます。
試験の結果、男女各1,000人の受験者の中から各100人に絞り込まれます。
3次考査:2次考査合格発表の翌日に抽選が行われます。男女各100人の中から、それぞれ64名ずつが合格します。
1次考査抽選の方法
受験番号の下二桁の数と合致すれば合格です。
2次考査は「お話」「図形」と伝統の「クマ歩き」
問題数は多いですが、解答時間が非常に短いです。終了時間は各教室の先生に委ねられており、時間前に「やめ」になることもあるそうです。試験中の態度もチェックされています。
運動考査では筑波名物(笑)「クマ歩き」が毎年必ず出題されています。
クマ歩きとは両手両足を使って規定のコースを歩くものですが、筑波で求められているものは「クマ走り」です。筑波を目指している子どもたちのクマ歩きは本物の動物のように早く、コースを正確に進みます。年度によっては、クマ歩きの他に前転などのマット運動を組み合わせることもあるようです。
2次考査合格発表の翌日、最後の3次試験=抽選が待っています。
3次考査抽選
例えば最後に出た番号が「20」だったら、「21」から「84」までが入学候補者、すなわち合格となります。
3次考査での非常な結果に、泣き崩れる親御さんもいらっしゃいます。しかし、2次考査まで通過したということは、その子の実力は折り紙付きということ。これまで頑張ってきた努力は、どの小学校に進学してもきっと役立つことでしょう。
試験内容を研究して対策を立てることが合格への一歩
この2校にとどまらず、考査方法は各校によってかなり異なります。志望校をしっかり定めて、研究を重ねて対策を完璧に仕上げていくことが、合格への道標となります。
気になる小学校がいくつかあるようでしたら、ぜひ子どもと一緒に学校訪問などをして、どの学校に通わせたいか、通いたいかを早めに決めるとよいですね!