2017年06月15日 公開

【第1回】数の意味:「かぞえ」てみると「同じ」がみえてくる

就学前に数学的な思考力を育て、発達させるために、親子で楽しく取り組めるアイディアやポイントをお伝えする連載第一弾。「かぞえる」という動きを通して、「数」の意味を親子で一緒にひもといていきます。

就学前に数学的な思考力を育て、発達させるために、親子で楽しく取り組めるアイディアやポイントをお伝えする連載第一弾。「かぞえる」という動きを通して、「数」の意味を親子で一緒にひもといていきます。

6歳までに身につける!数学的思考力のつけ方【全8回連載】

8回シリーズでお届けするこの連載は、親や周囲の子どもの「動き」のキャッチとフィードバック、アプローチ方法を毎回3ステップでお伝えします。

また、各回ごとに子どもが【同じ】と【理由】に交互に気づいていくことをねらいとし、常に共通点と理由探しに重点を置いています。

シリーズ第1回:「数」の意味に気づく!

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Olga Bogatyrenko / Shutterstock.com
連載第1回の主題的内容は、「数」の意味に気づくこと。

かぞえることで見えてくる、かぞえられるものの【同じ】と、「数」としての【同じ】に気づくことが狙いです。

「かぞえる」という動きを通して、数の意味を親子で一緒にひもといていきます。

注目する動きと数学的意図

●取り上げる「動き」:「かぞえる」と「むすぶ」
●数学的体験内容:「集合数と順序数」「対応」

STEP1:とにかくかぞえてみよう

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<1>まずは何でもかぞえてみると楽しい!

スプーンやコップなど、かぞえやすいものは家の中にたくさんあります。

遊びや生活の中で見つけて、子どもの自発的な行動を待ちましょう。声に出して数字をカウントしなくても、「かぞえる」という行為はできるのです。

ただ、ある程度は親が演じていてもいいでしょうね。例えば買い物に行った後、買ったニンジンを出すときにかぞえてみる。「いち、に、さんぼんのニンジンがあったね!」と。

そして、子どもがかぞえはじめたら、親も一緒にかぞえてくださいね。

<2>なぜそれをかぞえるの?

たくさんの色と形がある積み木の中から、黄色い三角形の積み木を集めてかぞえはじめたとします。

そうしたら「どうしてそれをかぞえたの?」って聞いてましょう。

「同じ積木の仲間だから」という回答があるかもしれません。その場合は、他の積み木を指して「どうしてこれはかぞえなかったの?」と問いかけてみましょう。そこで「違うものだから数えなかった」という回答が導きだせるととてもいいですね。

STEP2: かぞえると「仲間」と「順番」が見える

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<1>かぞえてみると「同じ仲間」が見えてくる

子どもは、ごちゃごちゃ、バラバラだったらかぞえないもの。

「かぞえる」ことは、かぞえられる何かが【同じ】ものを見つけて集め「グループ分け」することからはじめているのです。

まずは「分けてみないとかぞえられない」、「同じものを見つけるとかぞえたくなる」ということに気づけます。そこで、では「何が似ているのだろう」と考えるきっかけにつながるのです。

これが、「集合の元(げん)」を見つける、数学的にいうと「同じ外延(がいえん)を集める」という行為です。「数学は集合が内包と外延でできている」のですが、子どもはこれを自然にやっているのですね。

<2>かぞえてみると「順番」が見えてくる

次は、1から5まで数えて「5番目だね」という「何番目にあるか」の位置、「全部で5個あるね」という「何個あるか」の個数、この違いに気づかせたいのです。

これが数学でいう「順序数」と「集合数」です。日本語ではあまり違いがありませんが、英語は"1st"と"one"、呼び方もはっきり違いますね。

例えば、みかん5つを並べておく中に大きさの違うものを混ぜておくなどしてみるのも良いでしょう。

普段から「一緒にかぞえる」ことをしていると、「3番目のみかんが大きいね」という気づきが子どもから自発的にでるようになればいいですね。

日常生活の中でも、バスの待ち順や自分の持ち物が棚のどこにあるかなどの問いかけもできます。

STEP3:違う仲間の【同じ】が見えてくる

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リンゴが3つとミカンが3つあった場合、どちらも同じ「3つ」だねという「数」としての【同じ】へ気づくのがこのステップです。違うものだけど、同じ個数だねということ。

コーヒーカップと受け皿(ソーサー)など、セットになっているものがわかりやすいでしょう。「カップが6個とお皿が6つで同じだね」と言えるといいですね。位置「対応」につながっていくので最高です。

そこで子どもが「スプーンも6つあったね」などと自ら数の【同じ】に気がつければさらに良いですね。

★注意ポイント:未就学児はまだ数字を書かなくていい!

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未就学児のお子さんと、一緒に数をかぞえるときに気をつけたいことは、まだ数字を書かせなくて良いということ。

「小学校前に数字を書かせないといけないですよね」とお聞きになる親御さんがとても多いですが、僕は未就学児には「絶対」というほど書かせなくて良いと答えています。

数をかぞえ、表現するには「命数法(めいすうほう)」と「記数法(きすうほう)」という二つの方法があります。

命数法は「いち、に、さん」と口で数の名前をかぞえること。言語や方言、例えば「ひいふうみいや」なども含みます。

記数法は数字で書くこと。こちらは小学校に入ってからでも大丈夫です。書く方に意識がいってしまうので、後の方が良いのです。

これは漢字と一緒で、「鮪」って漢字で書けて読めるのに「じゃあマグロってどういう魚なの?」と聞くとうまく答えられないお子さんが増えています。漢字を覚えるより先に、大きさや特性、味がわかった方が良いですよね。

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「命数法」と「記数法」の段階の間には、実際はそういう名前はないですが、「描数(びょうすう)法」とでもいえる、「描く」という行為もあると思います。

数を表すのに、丸で描く方法があるでしょう。まずは図形化。数字を書いて表すことはその先です。

次回は…

今回はかぞえられるものと数の【同じ】に気づいていこう、という内容でした。次回は、なぜ「かぞえる」のかな?と【理由】に気づいていく過程と注目する動きを取り上げます。合計や残りがわかり、それをすぐ知りたくなる、という流れが「計算する」につながることがわかります。

(取材・文/志田実恵)

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