2022年06月08日 公開

ギャングエイジとは?中間反抗期の親の対応:情緒と脳を育む接し方

小学校中学年頃から始まるギャングエイジ。中間反抗期とも言われるこの時期は、自立心と仲間意識が強くなります。親にとってはイライラすることも多いですが、ギャングエイジは成長の証。コミュニケーション能力を育み、社会性を養う大切な時期です。

親にべったりだった子が友達と遊ぶことが増える、親や教師に反抗的になる、勉強がおろそかになる・・・小学校3年生あたりから、今まで親の言うことを聞いていた子がコントロール不可能になることも多いですね。
屁理屈で口答えすることも多く、親も感情的に叱ってしまいます。
小学校中学年以降に現れる反抗期、いわゆるギャングエイジのお子さまを持つ親御さんの多くは、以下のようなお悩みやご要望をお持ちかと思います。

・とにかく子どもが反抗的で言うことをきかない。子どもとの無駄な衝突を避けて、親子共にストレスを減らしたい。

・子どもが理解できる(素直に聞ける)叱り方を知りたい。

・勉強をしない時の対処方法が知りたい。

ギャングエイジとは?

ギャングエイジとは、小学3,4年生から高学年を指します。年齢で言えば大体8歳~12歳くらいまでです。

2歳頃のイヤイヤ期を第1次反抗期、思春期の第2次反抗期の間に起こる「中間反抗期」と同意に語られることも多いですね。
ただ中間反抗期は小学校低学年~中学年を指すことが多く、ギャングエイジよりも下の年齢層も含まれます。
ギャングエイジと中間反抗期はほぼ同じと考えて良さそうです。

この時期の子どもは集団凝集性が高く、友達関係を重要視します。

「決まった友達といつも一緒にいる」
「仲間以外を敵視する」
「教師や親に反抗的な態度を取る」

など、小学校低学年までとは違う行動や態度が見られるようになります。

集団凝集性集団の結束の強さ、構成する者を留めようとする度合い、帰属意識の高さを示す力

ギャングエイジ”男女の違い”

男の子にも、女の子にもギャングエイジはやってきます。素直に言うこと聞かない、屁理屈ばかり言う、友達の真似ばかりする・・・今までと違う行動、言動はママパパを心配させ、疲れさせるでしょう。しかしギャングエイジは親から自立し、他者とのつながりを築く前段階です。親の言い分を押し付け過ぎないようにして、心に余裕を持たせてあげましょう。

ギャングエイジの行動に男女差はあまりありませんが、若干、男の子方がギャングエイジ的行動は目立つかもしれません。
どちらも仲間意識が強く、所属メンバー以外に排他的な事が多いです。
同性同士で結束し、強気な行動に出る傾向があります。
メンバー以外と遊ぶ、1人だけ違う行動を取ると非難されることも。

女子は2人組で行動することが多く、1人の親友に固執することも。数人が集まりグループを結成し、グループ外の子に冷たい態度を取ることがあります。
秘密を共有することで結束力を高めていきます。

「ギャングエイジは成長の証」悪いことではない

集団になり、強気になる傾向があるギャングエイジ。いじめ、大人への反抗、学業の軽視などの問題が出やすい時期でもあります。
親や先生の言うことを素直に聞いていた子が、揚げ足を取ったり、反抗的な態度を取ったりするようになります。ママパパは反社会的な方向に変化してきたと感じてしまうかもしれません。

しかし、ギャングエイジは脳と情緒の成長過程で現れるもので、悪いことではありません。自立と社会生活への参加につなげる通過儀礼のようなもの。
反抗的な子どもを無理に押さえつけるのではなく、「話を聞く」、「見守る姿勢を見せる」ことで情緒を落ち着かせましょう。

ギャングエイジで見られる成長

社会性の向上
友達との深い交流を通して、他者との信頼関係の気づき方を学びます。集団の中で自分の役割を見つけて、役に立とうとする気持が育ちます。

倫理観の育成
言い争いや喧嘩を通して、道徳観や正義感が育まれます。自分の行い、言動が社会的に正しいのかどうかを考えられるようになります。
倫理観が身につくことで、「人として正しい振る舞い」を理解します。

コミュニケーション能力の向上
相手の気持ちを考えて行動、発言することで集団内での居心地が良くなることに気づけます。また自分の意思を通すためには、相手にどう接すればよいのか計算することでコミュニケーション能力、表現力が育ちます。

ストレス耐性
ギャングエイジの子ども同士のつき合いは、遠慮がない分、ちょっとした言い争いが大喧嘩に発展します。
時には腹を割って感情をぶつけ合うことで、心無い言動、振る舞いもスルー出来るストレス耐性がつきます。

【実例:筆者の娘と同じ幼稚園に通っていた小5男児】

「家庭学習をまったくしない。親が注意してもやらない。」
A君は幼稚園から家庭学習をしっかりやる子でした。市販のドリルで早朝学習30分と、夕方通信教育で30分の勉強を欠かさずやっていました。成績はいつもクラス上位。
しかし小5になると、宿題以外の勉強を一切やらなくなります。母親が咎めると、仲良しのB君を例に出し、「B君の家は宿題しかやらなくて良いんだって~、俺もやらない~」と言って、家庭学習には手をつけません。

「それぞれ家での勉強の仕方は違うの!Aは今まで通り勉強しなさい!」
などと母親は今まで通り、勉強を続けるように繰り返し厳しく言いましたが、効果なし。

母親が以下のことを伝えると、今まで通りとは行かなくともB君は家庭学習を再開したそうです。

・A君の成績が良いのは、今までコツコツやってきた成果だということ。(今までの成果を実感させる)

・A君は理解が早いので、勉強をもっとすればどんどん伸びていくこと。(自己肯定感を高める)

・1日の勉強量を提示。「1日分」を消化できるのなら、好きな時間に取り組んで良いこと。(自主性を尊重。選択権があることを示す)

母親がA君の頑張りと能力を認めたことと、勉強の時間を任せたことが、A君のモチベーションを復活させたようです。

ギャングエイジの勉強嫌い攻略ポイント
【勉強をやらないことを責めない】
言えば言うほど反抗的になり逆効果。どうしてやりたくないのかを聞き出すと、モチベーションを高めるヒントが見つかりやすいです。
【勉強の必要性を伝える】
勉強することで得すること(将来の選択肢が増える、社会的に信用を得られる、知識があることで好きなことをより楽しめるようになる、など)を具体的に教える。
【勉強のスケジュール、量などを子どもに選ばせる】
やらされている感が強い勉強は、モチベーションも下がります。勉強量、取り組む時間を子どもに決めさせると前向きに勉強に取り組むようになります。

【実例:筆者の近隣に住む女児、小4時の変化】

「友達の前だと親に強気。言葉も乱暴。」
親にべったりだったCちゃんですが、小4になった頃から友達と過ごす時間が増えてきました。
16時までパートタイマーの仕事がある母親は、Cちゃんが1人で留守番しているよりも、友達と楽しく遊んでいる方が良いと感じていました。

しかし、ある時から友達といる時の言葉遣いとふるまいが気になるように。
そのきっかけとなったのは、仕事帰りに公園で遊んでいたCちゃんに声をかけた時のことです。友達と遊ぶ我が子は自宅とは別人のように、強気で大人びていました。
母親に横柄なふるまい(返事をしない、命令する)をして、仲間同士の会話も乱暴な口調だったのです。

その夜、母親は率直に「そういう言い方をされたら、ママも悲しいし、嫌な気分になる。」と伝えました。
また仲間だからこそ通じる会話があることを理解した上で、大人やグループ外の子には、正しい言葉遣いをした方が印象は良くなるとアドバイス。
それ以降、Cちゃんの態度は少し改善されたそうです。

ギャングエイジの「友達といる時の強気」攻略ポイント
【友達関係に介入し過ぎない】
ギャングエイジは友達関係の優先度が上がる時期。親と遊ぶよりも、友達と遊ぶ方が楽しくなります。

「自分たちだけの世界」を作り、遊ぶことで結束力を高めるので、親の介入は遊びのテンションを下げます。我が子が友達と遊んでいる時は、挨拶程度にとどめて放っておきましょう。

低学年までの意識で子どもに接してしまうと、グループ内で優位に見せるために、親に強気な態度をとってしまいます。
【無礼なふるまい、言葉遣いは叱る】
仲間の結束力を高めるために、仲間だけにわかる合言葉、若者言葉、ネット用語を使うようになります。グループ内で使うのは仕方がないとしても、グループ以外の他人を傷つける使い方をしていたら注意します。またそう言った仲間内だけで通じるような言葉は、一般的ではないことも教えておきます。

他者を見下したような態度、差別的な発言などは、その都度強く叱りましょう。倫理観、社会のルールを外れることは、どんなに反抗されても、必ず注意します。
子どもの将来のために、親が憎まれ役になることも必要です。

ギャングエイジに親はどう対応すべき?

親や教師への反抗、自分のグループ外の子へのいじめ、学校の授業の妨害・・・問題行為が目立つこともあるギャングエイジ。

友達第一で友達の意見、行動、服装などを真似することが多いです。親の意見よりも友達の意見に従うので、腹立たしいやら、寂しいやらで複雑な心境になるママパパもいらっしゃることでしょう。

ギャングエイジの子どもは善悪の判断ができないわけではなく、悪いことと認識しながら「自立心の裏返し」として、反抗しています。
子どもの言動、行動を頭ごなしに否定するのは、より一層の反抗心を煽ります。
またママパパが仲のよい友達やグループを悪く言うことはNG。ギャングエイジの子どもにとっては「すべて」とも言える友達関係を否定することはやめましょう。

親も含め、人が不快に思う言葉、態度は「良いことではない」ことを端的に伝えます。
人を傷つけるような反社会的な言動や行動は、その都度叱りましょう。

子どもの話を良く聞く

学校で起きた出来事、好きなアニメやゲームの話など、子どもが話し出したことを聞いてあげましょう。
無理に聞き出すのではなく、子どもが話したいことを聞くだけでOK
人は「話を聞いてくれる相手」に好感を持ち、信頼する習性があります。
子ども主体のコミュニケーションは、親子の信頼関係を良好にします。何か問題があった時に、相談できる親がいることは情緒を安定させます。

親と子どもだけの時間を作る

ギャングエイジの子どもは、大人っぽくふるまっていても、まだまだ幼いです。親とのスキンシップ、コミュニケーションは必要です。
特に年下の兄弟や、受験期の兄弟がいる場合は、「その子だけにかまう時間」が少なくなりがち。

少しの時間でも良いのでママパパがその子だけと過ごす時間を持ちましょう。
「買い物を2人だけで行く。」
「下の子がお昼寝の間に、2人で遊ぶ。」
など、「自分だけの特別感」を感じさせることで、自己肯定感も育ちます。

子どもの交友関係に干渉し過ぎない

ギャングエイジ期の友達関係は一見強固なようで、非常に不安定です。ちょっとした喧嘩で、次の日から口も利かない、遊ばないことはよくあることです。

親としては喧嘩の原因を聞き出し、何とか今まで通り仲良くして欲しいと思いますが、ここは干渉せず見守りましょう。
子ども同士、互いに意見をぶつけ合い、譲歩し、理解することで「人づきあい」を学んでいきます。

長期化する、集団で個人を攻撃するなどの「いじめ行為」が見られたら、親や先生の介入が必要です。

反抗されても叱るべきところは叱る

脳の発達の95%以上が完成しているギャングエイジの子ども。ただ理性を司る「前頭前野」の発達は未熟です。前頭前野は感情のコントロール、衝動の抑制、判断や計画性など「人間らしさ」を保つ働きがあります。

そのため大人同様に知識を持ち、それを生かして行動、発言はできるものの、「相手の気持を思い、我慢する」、「イライラを抑えて、理性的に行動する」ことができないことが多いです。
多くの子どもは親や先生から注意されたことは頭で理解できています。素直に聞けず反抗してしまうのは、仕方のないことと割り切りましょう。

暴力をふるう、暴言を吐くなどの反社会的行為は、どんなに反抗されても本気で叱りましょう。
叱っている時に口答えする、無視する時こそ、真剣に向き合います。例えその時、反応が薄くても、親の本気は届いています。子どもは自分の悪かった点を自覚し、以後の行動を改めようとするはずです。

生活リズムを整えて情緒を安定させる

高学年になると夜更かしする子が増えてきます。塾や受験勉強で就寝時間が遅くなることもありますよね。
夜更かしによる睡眠時間の短縮は、心身の発達に良くないだけではなく、学力低下の要因になります。

十分な睡眠には、「成長ホルモンを分泌させ体の発達を促す効果」、「学んだこと(勉強、運動、芸術など)を定着させる効果」、「自律神経を整え、情緒を安定させる効果」があります。

高学年は少なくとも9時間以上は睡眠が必要です。低学年であれば10時間以上欲しいですね。
習い事や勉強のスケジュールは「就寝時間が22時を過ぎないように」組むことをおすすめします。

起床後すぐに日光を浴びよう

早寝、早起きの習慣がつけるには、朝起きてすぐの日光浴が効果的。
日光を浴びることで体内時計がリセットされ、脳を目覚めさせるホルモン「セロトニン」が分泌されます。
また、日光を浴びて約14,5時間後に、睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌されるので、自然に眠れるようになります。

例えば7時に朝日を浴びることで、「朝はシャキッと目覚められて、夜は22時までに眠くなる」という理想的な生活リズムが生まれます。
朝日を浴びるのは数分でOK。

外遊びを促す(可能であれば一緒に遊ぶ)

家庭学習量が増え、通塾する子も多いギャングエイジ。放課後に外遊びをする機会を持てないこともあるでしょう。
友達と遊ぶ場合も「家でゲームをする」、「公園でゲームまたは、雑談」など、体を動かさない遊びであることも。

外で体を動かすことは、筋肉や骨の発達を促し、自律神経を安定させます。心身の発達が著しいギャングエイジは、外遊びの機会を意識して作りましょう。日中、適度に運動し、疲労を感じることで「イライラ感」や「攻撃的な感情」が軽減されます。良質な睡眠にもつながります。

一緒に外遊びする友達がいない場合は、ママパパが外遊びに誘うと良いでしょう。
会話する余裕のある程度の軽い運動でも十分です。

軽い運動例・早朝、一緒に体操をする、散歩をする。

・夕方、バドミントンやフリスビーなどで30分程度遊ぶ。

・土日に、緑の多い場所に出かけてハイキング、登山、ジョギングなど

ギャングエイジの勉強法

ギャングエイジ期に学習放棄をする子もいます。家庭学習はもちろん、学校の宿題すらやらない場合もあります。

小学3年生以降は学習内容も難しくなり、学力レベルの差が広がる時期。毎日の授業内容の理解と家庭学習の習慣が、将来の学力を左右します。

我が子には反抗しながらでも良いので、勉強を頑張って欲しいですよね。
自立心が育ちつつあるギャングエイジの子には、自主性を尊重した勉強法が適しています。

ギャングエイジの勉強法の一例
中学年【勉強を始める時間を親が決めない】
自立心が育つギャングエイジ。親から指図されることに反抗したい年頃です。
勉強スケジュールも親が細かく決めずに、「やるべき内容と量」を提示して子どもの好きな時間に取り組ませると良いでしょう。
高学年【子どもに学習スケジュールを任せる】
子どもが内容や学習量、取り組む時間などを1週間単位で決め、スケジュールを親に伝えます。
自分で決めたスケジュールに従い、勉強を進めていきます。

厳しく叱って、親の言う通りのスケジュールで勉強させると自主性や計画性が育まれません。
子どもの計画した学習スケジュールが、親から見て「ぬるいもの」であっても、取り組めたら褒めましょう。褒めた上で「○○なら、これもできそう。やってみない?」と言う感じで、学習量や難易度をアップさせます。

ギャングエイジ期は子どもと向き合うチャンス

忙しいママパパにとって、ギャングエイジの子どもの口答えはかなりのストレスになるかもしれません。

「何でいけないの?理由は?」
「ママパパも同じこと言ってたよ?」
「それってママパパの感想ですよね?」

注意の度に、帰ってくる問い、非難、煽りに、正直うんざりしてしまうこともあるでしょう。しかし、この反発は親を信頼し、甘えているからこそのものです。「どこまで言ったら怒られるか?」確認する愛情の試し行為とも言えます。

子どもの感情爆発を受け止めた後、感情的にならずに叱る理由を具体的に伝えます。子どもの言葉を途中で遮る、交換条件をつけて脅すことはやめましょう。
今まで一生懸命育ててきたママパパの愛情は伝わっています。
親の言うことを素直に聞かなくても、子どもを信用し、認めてあげたいですね。

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この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。