小学校入学にあたっては、学用品などモノの準備だけではなく、生活習慣など心の準備も大切です。昨年の春、長女が小学校に入学した筆者の実体験から、小学校生活を円滑にスタートするポイントや心構えをご紹介します。
小学校になじめない「小1プロブレム」とは?
「小1プロブレム」が生じる原因として、「遊び」を重視している保育園や幼稚園の生活から、「座学」を中心とした生活へ切り替わることが指摘されています。小学校では、「じっとしたまま先生の話を聞く」力が強く要求されるからです。
筆者の長女が通う小学校でも、入学して数カ月の間は、授業中に教室を抜け出してしまう子や、机に突っ伏してしまう子が多く見られました。
子どもが小学校入学後に大きく戸惑うことのないように、可能な範囲で準備をしておくと安心です。
子どもの「話を聞く力」を養う
「ひとの話を聞き、理解する力」が、小学校生活では重要になってきます。
子どもの「話を聞く力」を養うために、「子どもが理解しやすい話し方」を意識してみましょう。
「大人の話は理解できない」と感じると、子どもは言葉を聞き流すようになります。重要なことまで聞き流してしまう癖がつかないよう、大切なことを話す時は、「なるべくゆっくりと、短い言葉で」語りかけるのがおすすめです。
5~6歳の子どもの成長は目覚ましく、つい「これくらいはもうわかるだろう」と大人のペースでまくしたててしまいがちです。でも実は、子どもは大人の表情や態度から状況を推測しているだけで、要点は理解していないということも多いのです。
長女の担任の先生は、重要なことを言うときほど、できるだけゆっくりと、短い言葉を使って、端的に子どもたちに説明をします。
その姿を見て、「わかって欲しい」とつい子どもに長々と説教をしがちだった筆者の行動は、逆効果だったのだと反省をしました。
全てのことをスローペースで伝えるのは難しいと思いますが、子どもに注意をするときや、大事な話をするときは、「要点だけを、ゆっくり、短い言葉で」伝えることを心がけてみてください。
「時間を守る」ことを意識して
そのため、時間の概念や時計の読み方を覚えておくと、子どもは自分で次の予定を把握できるようになるため、戸惑いが少なくてすみます。
入学後に時計の読み方は授業で教えてもらえるので、完璧でなくてもかまいません。「〇時」と「〇時30分」が、なんとなく読めるようであれば十分です。
時間を読めるようになったら、自分で時計を見て、自分で行動する練習をはじめましょう。「〇時になったら出かけるから準備をしようね」「あと〇分でテレビはおしまいにしよう」といった、明確な時間の区切りを決めて声かけをします。
繰り返し「時間の区切り」を口にすることで、子どもには段々と時計をチェックする習慣が身についてきますし、指示された時間がどの程度の長さなのかということを、体験しながら学ぶことができます。
とはいえ、「時間を守る」というのは大人でも時には難しいこと。時間を守れなかったときに怒るのではなく、守れたときに一緒に喜ぶことで、「時間を守ることの心地良さ」を体感できるようにしたいですね。
読み書き・算数は無理のない範囲で大丈夫
筆者の長女は、あまり文字に興味がない様子で、入学時に読み書きできるひらがなは、ごく一部でした。連絡帳やノートの書き取りで困らないか心配でしたが、先生方はひらがなの授業の進度に応じて、子どもが書く内容も変えてくださっていたので、特に困ることもなかったようです。
ただ、長女の小学校では、最初に配布された学用品に、子どもが自分で名前を書く機会がありました。自分の持ち物だと判断できるよう、名前はひらがなでしっかり読み書きできるようにしておきましょう。
算数も、特別な準備をしておく必要はありませんが、入学前に1から10までの数字のまとまりを把握できていると、内容が頭に入りやすいかと思います。
おはじきを10個並べて、1から10まで一緒に数えてみたり、「2にいくつ足せば10になるかな?」と聞いてみたりと、ゲーム感覚で数字遊びをするのがおすすめです。
「1と9」「3と7」のように、10になる数を意識できれば、1年生の足し算・引き算に取り組みやすくなりますよ。
「小学校は楽しいところ」という印象付けを!
子どもに対しても、つい「もうすぐ小学生なのに!」といった言葉で叱ってしまいがちな時期ですが、小学生になることに対してネガティブなイメージを抱いてしまうので、努めて避けたいところです。
もっとも大切なことは、子どもが心から小学校入学を楽しみにできるよう、サポートすることだと思います。
子どもの興味に合わせて、「小学校だからこそできること」「小学校ならではの楽しさ」をぜひたくさん話してあげてください。前向きな気持ちで小学校生活に臨めることが、きっと一番の「入学準備」になるはずです。