「ルビィのぼうけん」は、「プログラマー的思考法を育む知育絵本」として子ども向けに作られた絵本。評判の良いこの絵本を親子で読んでみて、元SEとして感じたことや5歳の娘の反応などを紹介します。連載【文系の親でもわかるプログラミング教育】9回目です。
「ルビィのぼうけん」はプログラマー的思考法を育む絵本
本連載では、おうちで取り組める手軽なプログラミング教育をいろいろと紹介してきました。
今回ピックアップするのは、親子で楽しめるプログラミング絵本「ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング」です。
2016年に日本で発行されて以来、高い支持を得ており、小学校におけるプログラミング教育必修化の影響でまた多くの人に読まれています。
絵本というアナログの世界でどうやってプログラミングを教えているのか?
とても気になったので、筆者も5歳の娘と一緒に読んでみました!
作者はプログラマー!「ルビィのぼうけん」
著者:リンダ・リウカス(著)、鳥井雪(訳)
出版社:翔泳社
「ルビィのぼうけん」は、フィンランド出身のプログラマーであるリンダ・リウカスさんの作品です。
本国や日本だけでなく、世界の20カ国で翻訳されていることから、その人気ぶりがうかがえます。
今回紹介する「こんにちは!プログラミング」を皮切りに、現在第4弾までシリーズが続いています。
この絵本は大きく分けて2つのパートに分かれています。
前半は、主人公の女の子ルビィの冒険についての物語です。
5つの宝石を集めながらたくさんの友達や動物と出会っていくルビィ。
ワクワクしながら読み進めるうちに、計画力や問題解決力などプログラマーに必要な基礎の概念に触れることができます。
また後半は、プログラマー的思考法を実際に体験するためのアクティビティが掲載されています。
親子でコミュニケーションを取り、楽しく遊びながらプログラマー的思考法について理解を深めることができます。
前半の物語を読むコツ
前半の冒険の物語では、一見普通のお話のように見えて、実はプログラマー的思考法について考えるヒントになるエッセンスがたくさんあります。
筆者が印象に残っているのは、作中でルビィが「おもちゃを片づけなさい」と言われるシーンです。
ルビィはぬいぐるみやブロックは片づけるけど、鉛筆は片づけません。
そんなルビィは、「えんぴつはおもちゃじゃないものね」とさらりと言いのけます。
実際の子育てでもこんな場面はありそうですよね。
リアルで言われたら「何言ってるの~!ちゃんと片付けて~」と怒りたくなってしまいそうです(笑)。
でも、プログラミングに触れたことのある人であれば、「ルビィにやってほしいことをちゃんとやってもらうには、実際のプログラミングみたいにもっと細かく指示をしないとダメってことね」などとピン!と気が付くと思います。
子どもに読み聞かせをする場合も、「どんな風に伝えたらルビィは鉛筆も片付けてくれたかな?」のように、問いかけてあげるといいと思います。
後半のアクティビティの活用法
作品の後半は、親子で楽しめるプログラミングのアクティビティがたくさんつまっています。
私は基本情報技術者なので、前半の物語にちりばめられたプログラマー的思考法の「仕掛け」にすぐ気が付きますが、プログラミングに触れたことのない人だとなんとなく読んで終わってしまうかもしれません。
しかし、後半に用意されたアクティビティを通して、前半の物語に仕掛けられた作者の意図を振り返ることができ、プログラマー的思考法をより深く理解できると思います。
例えば、「シーケンス(順番に並んだ命令)」についてのアクティビティがありますが、これは、先ほど紹介したルビィのお片付けの指示の実践編です。
アクティビティをやったあとなら、「お話の中のルビィにも、もっと細かい指示を出していたら、やってほしいことがちゃんと伝わったかも!」と気が付くはずです。
なので、私のオススメとしては、
1.絵本の前半の物語を一通り親子で読む
2.絵本の後半のアクティビティを読んで、前半の物語の中で学ぶことができるプログラマー的思考法を想像してみる
3.もう一度絵本の前半の物語を親子で読む
という順番です。
親も後半のアクティビティを通して、プログラマー的思考法の基本を理解してから子どもに読み聞かせることで、学んで欲しいポイントがしっかりと伝えらえる気がします!
アクティビティの内容は子どもも理解できる簡単なものがたくさんあるので、プログラミングをやったことのない大人も楽しみながら学ぶことができますよ。
5歳の女の子と「ルビィのぼうけん」を読んでみた
わが家の5歳の娘にも実際に絵本を読み聞かせてみました。
娘に感想を聞いてみたところ、「ルビィが宝石を探す冒険をしていた!」という答えが……。
やはり、一度読んだだけでは「プログラマー的思考法の仕掛け」には気が付いていない様子でした。
でも、一緒に後半のアクティビティを遊びながらやってみたり、筆者から「この問題を解決するにはどうしたらいいと思う?」といった問いかけをすると、知恵を働かせて一生懸命考えてくれました!
幼児相手には、やはり親から声をかけてリードしてあげるのが良いですね。
ちなみにわが家には小学校4年生のお姉ちゃんもいるのですが、お姉ちゃんの年齢でもアクティビティは楽しく取り組めている様子でした。
「ルビィのぼうけん」で親子一緒にプログラミング教育
プログラマー的思考法を育む知育絵本として、世界中で大反響の「ルビィのぼうけん」。
税抜で1,800円とちょっとお高めな本ではありますが、読みごたえがありました。
一見難しく考えがちなプログラミングの世界をイラストや図でかわいらしく表現しているので、「プログラミング」と聞くだけで思考が停止してしまうような人にも読みやすい一冊だと思います。
私のお気に入りは特に後半のアクティビティ!
レストランの待ち時間など、ちょっとした空き時間にクイズ感覚で親子で取り組むのにも良さそうです。
ぜひ手に取ってみてくださいね。