日本が誇る伝統的な文化の一つに折り紙があります。外国のかたに鶴などを折ってあげると、喜ばれたりしますよね。一枚の紙から美しい造形を生み出す技術ですが、実はこの折り紙の機能美からヒントを得た最先端の科学がいくつもあるのです。
伝統文化にとどまらない、折り紙の数学的側面
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日本の伝統工芸の一つである折り紙は、実は非常に数学的な側面を持っており、海外では「折り紙工学」の名のもとに研究対象となっています。具体的には求めている形を生み出すため、その折り方を数式で表したりしている分野のようです。その魅力の一つが平たく大きな素材を、小さな立体にまとめることができる点です。他にも折り方によっては強度に大きな変化が生まれるなど、あらゆる側面から実生活に応用できるものがないか研究が続けられています。
宇宙に届く折り方、「ミウラ折り」
よく映像で羽を伸ばしているように見える人工衛星を見かけますが、羽のように見える部分はソーラーパネルです。あの大きさや重さのものをそのまま宇宙に運ぶには途方もないお金がかかります。そこで働くのが、大きい平面を小さい立体に纏める折り紙の特性です。東京大学の名誉教授であり、宇宙構造物の権威でもある三浦公亮氏が考案した「ミウラ折り」は、パネルを非常にコンパクトに収めることに成功しました。宇宙空間においてパネルが広がっていく様は、まるで折り紙の花が宇宙で花開くようです。
こんな所にミウラ折り?アルミ缶に隠された折り紙工学
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自動販売機やコンビニで何気なく買うコーヒーやチューハイの中に、表面がダイヤ状に凸凹している缶を見かけたことはありませんか?通称「ダイヤカット」缶と呼ばれているあの缶にも、実は「ミウラ折り」の技術が応用されているのです。実はあの凸凹は単にデザイン的に美しかったり、持ちやすかったりするだけでなく、強度はそのままに厚みを減らすことを可能にしたのです。当然資源を節約できる分、コストを抑えることも可能となったのです。
容器のなるほど03 FIREのダイヤカット缶|キリンの容器開発と3R|環境への取り組み|キリン
キリンでは、商品の品質と安全性を確保した上で、より軽くて丈夫な容器の開発と採用に努めています。持続可能な環境型社会の構築に向けて3Rを推進していきます。
折り紙トランスフォーマー?折りたためるロボット
Self-folding robots
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アメリカのMITとハーバード大学の研究チームは形状記憶ポリマーに折りたたむ際の線をエッチングし、モーターやバッテリー、回路を組み込んだ、変形型のロボットを発表しました。あの有名なトランスフォーマーのようだと言われたこのロボットは、その変形能力を活かして人間が入れないような災害現場や宇宙空間において活用できないか研究が進められています。
The origami-inspired approach enabled the team to avoid the traditional “nuts and bolts” approach to assembling complex machines.
Robot folds itself up and walks away | Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences
Harvard & MIT project demonstrates potential for sophisticated machines that build themselves
畳んで畳んで体の中へ?医療用折り紙!
折りたたむことで複雑な形に変形、収縮、拡張が可能な折り紙の特性を生かして、医療現場で使えないか研究が進められています。その一つの方法として、折りたたんだ医療機器を血管の中に入れる方法があります。狭くなってしまった血管に送り込んで広げたり、破裂しそうな血管を保護するために入れたりするのです。また、さらに驚くべき技術として細胞そのものを折り、必要な形に変えて再生医療に活用するという研究もはじめられたようです。折り紙の無限大の可能性を感じさせる研究ですね。
紙の研究室 No.11:(ミクロな折り紙─血管内で広げられる医療器具)|紙をめぐる話|竹尾 TAKEO
紙をめぐる話からシリーズ「紙の研究室」No.11をご覧ください。竹尾のニュースレター『PAPER’S』から珠玉のコンテンツをウェブでお楽しみいただけます。
無限の広がりを見せる折り紙の可能性
元は小さな島国の伝統工芸に過ぎなかった折り紙が、今や世界が注目する可能性の宝庫となっています。何気なく折って楽しんでいたころには考えもつかなかったことですね。美しいだけでなく、機能性に富んだ折り紙の技術からどんなものが産まれてくるのか、考えるだけで胸が躍りますね。
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