ママの産休や職場復帰、パパの育児参加など、オランダには日本と違う制度や文化があります。ワークシェアリングも盛んで、キャリアを止めることなく仕事を続けられる環境も整っています。なぜオランダでは育児と仕事を両立しやすいのか、いくつかの事例とともにお伝えします。
自分らしいお産の方法を自由に選択
オランダでは自宅出産を選択するカップルも珍しくなく、2015年のデータによるとなんと13%が自宅出産を行っています。「家庭が一番リラックスできる」、「妊娠は病気ではない」、そして不必要な医療介入をせず医療費を最小限に抑えるという考え方は、合理的なオランダ人の価値観にぴったり。
もちろん必要に応じて検査や大きな専門病院での出産も可能で、21.8%は無痛分娩で出産しているというデータもあります。
費用負担が少なく、可能な限り自分たちらしいお産をセレクトできる環境が整っているのがオランダなのです。
妊娠出産はパパとママ、そして強力なサポーターで乗り切る
クラームゾルフは新生児や産婦のチェック、授乳指導、沐浴や家事、上の子どものケア、そしてパパの指導までと多岐にわたります。まさに、夫婦で一緒に育児をしていくための強力なサポーターといえるでしょう。
自宅ではゆっくり休めないという場合は、産褥期のための施設があります。家族も宿泊可能で、体を休めながら無理なく育児のスタートを切ることができます。
産休は16週が基本。パパも育児休暇が取得可能
パパに認められる育児休暇は5日(うち有給は2日)のみですが、通常の有給を組み合わせて長い休暇を取る人が全体の1/4ほどいるというデータもあります。託児の選択も保育園、ベビーシッターなどさまざま。週に3日の託児利用、1日はパパ、1日はママと平日の育児を分担して行うことが一般的です。
子どもとの時間を生み出す秘訣は、ワークシェアリング
また、オランダは正社員と非正規雇用(パートなど)の間で、賃金や社会保障、昇給など、労働条件の格差を禁じる同一労働同一賃金の原則が徹底されています。そのため、短時間労働でもキャリアに傷がつくことはありませんし、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができるのです。
家族と過ごす自分、働く自分、どちらも大切に
実は、オランダは、2013年のユニセフの調査による「先進国の子ども幸福度ランキング」で1位となりました。また、2017年の(大人の)世界幸福度ランキングでは、6位に選ばれているというデータもあります。パパもママも、それぞれの時間やキャリアを大切にした生き方が認められる社会、何よりも家族との時間を重視する国民性。子どもも大人も幸福だと感じられる理由は、ここにあるのだと実感しています。
オランダの事例が家族の時間の持ち方や働き方の見直しの参考になれば嬉しいです。夫婦で、職場で話し合って、少しずつ改善していけるといいですね。