少しでもフランス語を学んだことがある人なら、「フランス語は複雑」という印象がある方も多いかもしれません。そんなフランス語の中でも、実はとても厄介なのが「数字の数え方」。フランスの「数字の数え方」や、子どもたちの「算数の好き嫌い」との関係性についてご紹介します。
フランス語では100まで数えるだけでもかなり難しい
「名詞に女性形と男性形がある」、「動詞の活用が複雑」、「『R』の発音が難しい」など、日本人には確かに難しい点がいくつかあります。中でも厄介なものの一つが「数字の数え方」なのです。
ところがフランス語で数を数える方法は、日本語のように「数字を組み合わせていく」直感的な方法とはまったく違うのです。
フランス語で数えるには?
実は60まで数えるのは、そこまで難しくありません。フランス語は英語とも数え方が若干異なりますが、英語を学んだことのある方ならきっと理解しやすいはず。
1から10までは、
アン(1)、ドゥ(2)、トロワ(3)、カートル(4)、サンク(5)、シス(6)、セット(7)、ユィット(8)、ヌフ(9)、ディス(10)と数えます。
11から16までは、
オーンズ(11)、ドゥーズ(12)、トレーズ(13)、カートルズ(14)、カーンズ(15)、セーズ(16)と、主に語尾が変化します。
しかし17からは、
ディセット(17)、ディズユィット(18)、ディズヌフ(19)、
と10に一桁の位の数を足します。
続いて10の位は20から60まで、
ヴァン(20)、トラント(30)、カラント(40)、サンカント(50)、ソワサント(60)、
と続きます。
例えば、45は、「カラント(40)」と「サンク(5)」を組み合わせて「カラントサンク(40 + 5)」となります。日本語で「よんじゅうご(45)」というのと同じ発想です。
難しくなる!70からの数え方
フランス語で70は「ソワサント(60)」+「ディス(10)」になって、「ソワサントディス(70)」となります。日本語に置き換えて表現すると「ろくじゅうじゅう(60 + 10)」となります。英語の「セブンティ(Seventy)」というようには数えないのです。
例えば、73だと、「60 + 13」となり、「ソワサント(60)」+「トレーズ(13)」で「ソワサントトレーズ」となります。
さらに厄介な80からの数え方
しかし、実はそうはならないのです……。
フランス語で80は、なんと「カートルヴァン(4 × 20)」、つまり「カートル(4)」×「ヴァン(20)」で表現されるんです。
90は、「カートル(4)」×「ヴァン(20)」+「ディス(10)」で「カートルヴァンディス(4 × 20 + 10)」となります。
100は「サン」といいます。
フランス語では、70から数字の数え方が難しく、特に80から99までは日本語の数字の数え方とはかけ離れてるのです。この数字の数え方の難解さは、フランス語を学ぶ人が挫折してしまう原因の一つかもしれません。
現地の子どもたちはどう覚えている?
学校の先生など教える人によってさまざまですが、たとえば上記の画像のように、
・75は「ソワサントキャンズ」つまり「ソワサント(60)」プラス「キャンズ(15)」だから、「60 + 15」
・83は「キャトルヴァントロワ」つまり「キャトル(4)」つの「ヴァン(20)」プラス「トロワ(3)」だから、「20 + 20 + 20 + 20 + 3」
と教えられることもあります。
フランスならではの数字の数え方による、独特な説明方法といえますよね。
数え方が難しいと算数嫌いになる?
世界的に著名な数学者の中には、もちろんフランス人もいます。名言「人間は考える葦である」を残した数学者ブレーズ・パスカルはフランス人です。その他にも、熱伝導の法則で有名な数学者・物理学者ジョゼフ・フーリエもまたフランス人です。数え方の難解さは、数学的な思考力には影響しないようです。
フランスで人気!塗り絵を使った数字学習法
該当する数字がある場所を指定の色で塗るもの、数式の答えを導き出してから塗るタイプなど、いろいろな種類があります。数え方が難しくても、こうした楽しく数を学べる教材があることで、子どもたちの興味をひいているのかもしれません。
国が変われば、数え方も変わる
お国が変われば、数え方も教え方も変わります。
お子さまと算数を勉強するときに、「こういう数え方もあるんだよ〜」と、話のネタにしてみていただくのも良さそうですね。