共働き世帯が増え、預け先を求めるパパママは多いはずなのに、日本では欧米ほどベビーシッターを利用する文化は定着していません。その理由として、保育内容・料金について認知度が低いことがあげられるでしょう。ベビーシッターの料金・保育内容・上手な活用方法をご紹介します。
ベビーシッターとは
とはいえ、誰でもシッターになれるかというと語弊があります。多くのシッターはベビーシッター会社に所属しており、入社前に学歴・職歴・保育士資格の有無などを審査され、採用条件を満たした人物のみがベビーシッターとして就労できるのです。
また個人でベビーシッター業を行う場合は、訪問型保育者として都道府県への届出が義務づけられています。その場合も幼稚園・保育園勤務歴のある人、看護師免許・小児救命救急法 国際資格 EFR-CFCなどの資格を持っている人に依頼が集中するのが実情です。
一人ひとりの子どもと向き合い、安全を守り、充実した保育が行える「子育てのプロ」がベビーシッターといえるでしょう。
保育士との違いは?
保護者・子どもとの距離が近いベビーシッターサービスは、利用者が子育ての疑問・不安を相談しやすいのが利点です。
ベビーシッター | 保育士 | ||
内容 | 個別保育 利用者の自宅・保育施設などに出向し、保護者の代わりに乳幼児・児童の保育・監督を行う |
集団保育 保育所のような児童福祉施設において、保護者の代わりに乳幼児・児童の保育を行う |
|
対象 | 0歳~中学生くらい | 0歳~就学前の乳幼児 | |
資格 | 国家資格なし。民間資格の「認定ベビーシッター資格」はあるが就労の際に必須ではない | 国家資格の保育士資格が必要 |
ベビーシッターの活用例
保護者のライフスタイルに応じたサービスを提供できるのがベビーシッターの魅力です。親子の生活の質を上げるための利用例を見てみましょう。
法事・就労・傷病など急用・緊急の際
保育園・幼稚園から習い事への送迎
在宅勤務中の保育
パパママの気分転換に
一方の日本だと、就労・急用などの特別な事情がない限り、子どもを他人に預けることに罪悪感を覚えるパパママ、またそれを植え付ける周囲の言動が目立ちます。育児・家事・仕事に疲れてしまったときには息抜きが必要です。パパママのリフレッシュの手段としても、ベビーシッターを利用してみてはいかがでしょうか。
ベビーシッターの種類
派遣型
元幼稚園教諭や元保育園主任の経歴を持つ人、看護師資格を有する人、英会話が堪能な人などが登録されている会社も多いもの。人材の質を高めるために社内研修・資格試験を行うこともあり、人件費が高くなるため料金設定が高めな場合もあります。
短時間送迎・病後児保育・産前産後サポート・外国語保育ほか、利用者のニーズに合わせた多様なサービスを受けやすいことが特徴です。
マッチングサービス
利用を考えている場合、マッチングサービス専用アプリをスマホやパソコンでダウンロードするのもおすすめ。「保育士資格所有者で英語・ピアノを教えられるベビーシッター」「看護師資格保有者で1歳と病後児2歳の世話ができる人」など、具体的な希望条件がある場合に特に便利です。要望に近い人物がすぐに見つかります。
ベビーシッターの料金の相場
ベビーシッターの料金体系の相場を知っておくと、希望するサービスを適正価格で受けられます。個人ベビーシッターとの契約交渉もしやすくなるはずです。
利用料金 | 1時間あたり 1,000円~4,000円 |
---|---|
入会金 | 10,000円~100,000円 |
年会費 | 5,000円~120,000円 |
オプション料金 | 会社・個人によって料金設定が異なる。 早朝・深夜・宿泊保育、送迎、病児・病後児保育、 ピアノやスポーツ、英会話などの専門的な指導などについて追加料金となる場合が多い |
支払方法 | クレジット/振込/現金後払い |
往復交通費 | 利用料金に含まる場合と別途実費が必要な場合あり |
1,000円~4,000円
地域によって料金はさまざまです。数時間で利用料金が割安になるパックプランがある場合もあります。
【入会金・年会費】
入会金 10,000円~100,000円
年会費 5,000円~120,000円
派遣型ベビーシッターを依頼する場合、入会金・年会費が必要になることがほとんど。入会金・年会費を払う「会員」と、払わないで利用する「一般会員(ビジター・単発利用)」のどちらかを選べる会社もあります。その場合、会員料金のほうが割安に設定されているでしょう。継続して利用する予定なら、会員登録をしたほうが便利です。
【オプション料金】
会社・個人によって料金設定は異なります。早朝・深夜・宿泊保育は、1時間あたり数百円~1000円前後の割増に。ある有名派遣型ベビーシッター会社は短時間送迎2,000円、病後児保育は病状によって1回利用につき1,000円~5,000円の追加料金を設定しています。
スポーツや英会話の授業、塾のような本格的学習指導をマンツーマンで受けるオプションがある場合、数千円~10,000円前後の追加料金が発生するのが一般的です。
【支払方法】
・クレジット
・振込
・現金後払い
【シッターさんの往復交通費】
利用料金に含まれている場合と、別途実費が必要になる場合があります。また一律1,000円などと指定されていることもあるでしょう。
単発利用と定期利用でも変わる
【例】
ビジター・トライアル会員(単発利用) 1時間あたり2,700円
会員(定期利用) 1時間あたり2,380円
国や自治体からの補助がある場合も
公益財団法人全国保育サービス協会が認定した企業にはベビーシッター割引券が発行され、「小学校3年生までの子どもまたは双子以上の多胎児」を持つ従業員が使用可能となります。
【ベビーシッター割引券の金額】
通常利用 2,200円(1日または1回)
多胎児保育・監督 9,000円又は18,000円(1日または1回)
近年、福利厚生サービスにベビーシッター補助制度を導入する企業が増えています。就労中のパパママは、勤務先の福利厚生サービスを確認してみましょう。
また多くの自治体でもベビーシッター支援事業が行われています。補助・助成が受けられる、指定のベビーシッター会社が格安で利用できるなど、さまざまな優遇措置があることも。ぜひ一度ご確認ください。
利用シーンの具体例
【A社】妊婦検診のため3歳と5歳の兄弟を2時間預けた場合
- 入会費・年会費:不要
- 初回面談:1,600円(基本料金1時間一人分)
- 基本料金:1時間一人1,600円+二人目300円加算×2時間=3,800円
- サービス手数料(基本料金+オプション料金の20%):1,165円
- シッターの交通費:308円
- 合計:6,873円
初めて預けるため初回面談が必要です。面談時に基本料金が発生しますが、 オプション料金(二人目以降の加算料金)はかかりません。
【B社】3歳の子どもを17:00に保育園へお迎えに行き(送迎料金に1時間の送迎時間を含む)、その後自宅で18:00から20:00まで保育した場合
- 入会金:10,000円
- 年会費:4,000円
- 送迎料金:2,990円(1回1時間)
- 保育料金※:2,010円×2時間=4,020円
- 合計:21,010円+消費税+シッター交通費
※B社の場合、利用料金は時間帯によって基本料金が以下のように変わります(すべて税別)。
9:00~18:00…1時間1,810円
8:00~9:00、18:00~21:00…1時間2,010円
21:00~翌8:00…1時間2,310円
安心・快適に利用するために面談はしっかりと
保護者が気軽に意見を言えて、子どもが落ち着いて楽しく過ごせるような「フィーリングの合うベビーシッター」を見つけてみてください。