少子化や核家族化など、今の子どもたちを取り巻く環境は、私たちが子どものころとは変化しています。そんななかで注目を浴びているのが縦割り保育です。こちらの記事では、縦割り保育の詳細やメリット・デメリットをご紹介します。
縦割り保育とは?
0、1、2歳児と3、4、5歳児のクラスを分け、それぞれで縦割り保育を導入するなど、園によってやり方は異なります。筆者の子どもが通っていた幼稚園では、クラス分けは年齢別でしたが、自由遊びの時間やお買い物ごっこなどの行事の際に縦割り保育を取り入れていました。
縦割り保育は、モンテッソーリ教育の保育園や幼稚園で取り入れられていることでも有名です。また最近は兄弟姉妹の数が減少していることや、地域での子ども同士の触れ合いが少なくなってきていることなどから注目されています。
縦割り保育のねらい
しかし上述のとおり、少子化が進むなど近年子どもを取り巻く環境が様変わりしています。日常生活のなかで、さまざまな年齢の子どもとかかわる機会は少なくなっているのではないでしょうか。
そこで保育園や幼稚園の縦割り保育が、年齢の違う子どもとの関わりを体験させることにつながります。人間関係の幅を広げ社会性を育てることが、縦割り保育の主なねらいです。
縦割り保育のメリット
社会性を育てる
これは年長の子が、自分も年少だったときにお世話をしてもらった記憶があるため。自然と年少の子の面倒を見ることができるようになります。さらに子ども同士の活動のなかで、年長さんは必然的にリーダーの役割を担うことが多くなり、責任感が促されることも。この経験は今後の学校生活や、社会に出たときにも活かされるでしょう。
また小さい子どもは、ときに言うことを聞かなかったりわがままをいったりすることもあります。年長さんは自分の思い通りにいかない経験を積み重ねることで、上手な関わり方や協調性などを学ぶもの。逆に年少の子にとっては、お兄さんお姉さんはあこがれの対象となります。「あんなふうになりたい」という気持ちが頑張るモチベーションとなるかもしれません。
「やってみたい」という気持ちが育つ
縦割り保育では、年少の子にとって年長の子の姿はお手本。自然と年長児の活動に興味を持ち、「自分も早くやってみたい」と意欲的になるでしょう。しかも間近で活動を見ているので、見通しを持って取り組むことができ、その分飲み込みも早くなると考えられます。
人に教えることで深く理解する
また人に教える経験を積むことで、自分の考えをまとめて言葉にする能力が養われることも。コミュニケーション能力も促されそうです。
違いを認めることができる
この経験が将来的に、多様性に対応できる感覚につながるかもしれません。また能力の違いを認めて助け合うという経験から、思いやりの気持ちもはぐくむことができます。
能力に合わせた活動ができる
発達がゆっくりな子どもは、周囲と比べて自信を失い、コンプレックスを抱えてしまうかもしれません。逆に発達の早い子どもは「つまらない」と感じてやる気を失ってしまうことも。しかし縦割り保育の場合は、自分の発達段階に合った活動を行う機会が増えます。自分の能力に合った活動なら、より楽しく取り組むことができるでしょう。
縦割り保育のデメリット
安全面への配慮が必要
筆者の娘が4歳、息子が2歳のときのことです。登り棒をすべりおりる娘の真似をし、息子も一緒にすべりおりようとしたことがありました。すぐに気が付いて事なきを得ましたが、縦割り保育は常にこういった危険と隣り合わせとも言えるでしょう。
また年長の子が年少の子のお世話をすることで、思わぬ事故が起こることもあります。保育園の場合なら、年長の子どもが赤ちゃんを抱っこするとき、落としてけがをさせてしまうリスクも否定できません。年長児が年少児にいじわるをしてしまう事例も多く、子どものストレスがたまることも。特に一人っ子の場合、異年齢の集団に慣れておらず余計にストレスを抱えやすくなると考えられます。
このことから同年齢の集団で行われる横割り保育以上に、保育士が子どもの様子をしっかりと見守る必要があるでしょう。また保護者の方も、変わった様子がないかお子さまの様子を観察することが大切です。
活動内容に工夫が必要
そのため、どの発達段階の子どもも楽しめる保育内容を工夫する必要があります。また自由遊びの際、結局は同じ年齢の子どもが集まってしまうことも多いようです。そんなときは、保育者が上手に導くことが必要になります。縦割り保育の良さを活かせるかどうかは、先生の指導力にかかっているのかもしれません。
縦割り保育ではどんな遊びをするの?
年齢に関係なく楽しめるものが多い伝承遊びは、縦割り保育では特に大活躍します。子どもから子どもへ伝え続けられた背景から、小さな子どもも楽しめる単純な内容のものが多いのが特徴。子ども同士教えあいながら楽しむにはピッタリでしょう。ルールの簡単な鬼ごっこも、縦割り保育で楽しめる遊びのひとつです。
おままごとなどのごっこ遊びも、年齢にかかわらず楽しむことができます。年長の子が年少の子をリードしながら、お絵かきや粘土などの製作遊びを行うこともあります。