就学前の子どもに、数学的な思考力を効果的に発達させたいと願う、親や周囲が心がけるべき、声がけ、態度、誘導の仕方のヒントと考え方を、立教大学・黒澤俊二教授に「あいうえお」でご説明いただきました。暮らしや遊びの中での算数の身につけ方のヒントがたくさんありますよ。
はじめに
しかし、より効果的な方向に向かうために、周囲が、子ども発の動きを、適切に選択判断してキャッチし、効果的に目標に向けてフィードバックするためにはどうしたら良いのでしょうか?
教師や両親など、周囲の大人が、普段の生活や遊びの中で、自分たちの役割としてどう声かけしたり、注目したら良いのか具体的な行動を「あいうえお」でご紹介します。
子ども発の「動き」をキャッチ~親が意識すべき発達との関係 – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
【あ】遊びからはじめよう
学びを無理に教えない、押し付けないこと。買い物の途中やお片づけの途中など、生活の中の普段の動きから数や図形に結び付けるのが良いでしょう。
でも、「遊びがきっかけ」になるのが一番大事なことです。
【い】一緒にやる
一緒に行動したり、口に出したりして、なんでも「一緒に行う」ことが大切なのです。
【う】動かしてみせる
図形でいうと「変換」。図形は「平行移動」「回転移動」「対象移動」3つの移動で決まります。日本語でいうと「ずらす」、「回す」、「ひっくり返す」という動きでしょうか。
例えば、パズルを使って一緒に遊ぶとき。動かして並べておく。回してみる、幾つか合わせて面積を増やしてみるなど。
子どもは自発的にやってみる行動ですが、時には周囲がやって見せることが必要なシーンもあるかもしれません。
【え】演じる
そんな時、動物やバスの運転手さんなどになりきって演技してからみせるとよく伝わることも多いのです。
教える、指導する、操作するのではなく、親が主体性を持って「パフォーマンス」してみせるなら、わざとらしくならなくて良いのではないでしょうか。
【お】同じに気づかせる
「コップとドーナツって同じ?同じところはどこだろう?」「この三角と四角の同じところはどこだろう?」「ひらかなの”む”と”お”の同じところは?」など、子どもからの発見や自主性を尊重しつつ、声かけができるといいですね。
その中で「同じと似ているってどう違うの?」「全てが同じものは中々ないね」という気づきや言葉が引き出せたら最高です。
「みんな違ってみんないい」という言葉がありますが、実はすべてのものが違う、多様性は当たり前。その中で共通点を探すから面白いのですよ。
まとめ
【い】っしょにやる
【う】ごかしてみせる
【え】んじる
【お】なじに気づかせる
「遊びからはじめ」、子どもの発想や動きを優先しつつ、子どもが「自ら動く」のをできるだけ待ってから「一緒にやる」。時には、演じながらも「動かしてみせる」ことも必要です。そこで「同じに気づく」。これが全ての数学の行為につながります。
子どもの学びと遊びに寄り添う時、どう接したらいいか迷ったら、この「あいうえお」を思い出すようにしてくださいね。
(取材・文/志田実恵)