ボードゲームは家族ですごす「おうち時間」の強い味方です。近ごろ注目が高まり、専門店や遊べるカフェが増えていますね。家族で遊ぶうちにその魅力にはまり、家には50以上のボードゲームがあります。すごろくやカルタ、将棋など、日本の昔ながらのゲームも面白いですが、今回は海外のボードゲームを中心に、何度も遊び、家族や友達と盛り上がったゲームをご紹介します。
大人から子供まで楽しい!ボードゲームの魅力
ボードゲームは電気を使わずに卓上で楽しむゲームのこと。カードゲームと総称してアナログゲームとも呼ばれます。
今回紹介するボードゲームは、ヨーロッパなど国外のものが中心。本場ドイツでは、年間数百タイトルのゲームが生まれています。「ドイツ年間ボードゲーム大賞」というコンテストが毎年開催されるほど、ボードゲームが盛んです。中には2~3歳から遊べるゲームもあり、大人も子どもも、家族みんなで一緒に楽しめます。
豊かなコミュニケーションツール
ボードゲームは、お互いに会話をしたり、ルールを確認したり、必ずコミュニケーションが必要です。順番を守る、コマを1つずつ進める、最初は難しいかもしれません。しかし、「ルールを守ると楽しい」経験を続けることで、ルールが身についていきます。
ボードゲームを通じて「この子はこういう考えをするんだ!」と意外なわが子の一面を発見することも。年齢があがってくると、交渉力が必要なゲームが出てくるなど、人と人が向き合って本気で遊べるところが、ボードゲームの魅力です。
たくさんの失敗体験ができる
「わが子には失敗してほしくない」と思うかもしれませんが、小さな失敗をして、立ち直る経験は成長の上で必要なことです。子どもは負けると悔しくて泣きます。そこから「もう1回!」と立ち上がったり、「次勝つにはどうしたらいいか…」と工夫することで、力をつけていきます。
ボードゲームを通して、勝つと嬉しい、負けると悔しい、という気持ちを自然と味わいます。
遊びの中に本質的な学びがある
ボードゲームは、自分の頭で考える経験ができる遊びです。
遊ぶことを通して、非認知能力が身につくと言われています。
非認知能力とは、数字では測れない、内面の力のことです。しかし「頭がよくなる」という期待はそこそこに、まずは楽しく一緒に遊んでみましょう。子どもは楽しく遊ぶからこそ、本気で考え、工夫し始めます。
白川佳子教授に聞く【幼児期に育みたい非認知能力】学びに向かい、やり抜く力
ボードゲームを選ぶときのポイントは?
まずは『今、その子が楽しめるかどうか』が大切です。一度プレイして、「もう1回やりたい!」と言葉が出てくるくらいのものだと、無理なくお子さんも楽しめるでしょう。具体的には、対象年齢、人数、プレイ時間を参考にしたり、鉄道や恐竜、宝石など子どもの好きなモチーフから選ぶという方法があります。お気に入りのゲームが見つかったら、作者やメーカーを見てみると、そこから新たなゲームとの出会いにつながることも。
自分で選ぶのは難しいという方は、家族構成や年齢、好みを伝えて店員さんに相談できたり、お試しプレイができるお店へ足を運んでみては。おすすめのボードゲームをアドバイスしてもらえます。
【3歳〜大人】年齢差があっても盛り上がるボードゲーム5選
幼児から小学生、大人まで、家族みんなで盛り上がるボードゲームを集めました。パーティ要素が強く、みんなでハラハラドキドキ、思わずキャーっと声が出る楽しさです。
ねことねずみの大レース|ねこから逃げつつチーズを集めよう
対象年齢 | 3歳~ |
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人数 | 2~4人 |
時間 | 約20分 |
育つ力 | 数・形 |
メーカー | ペガサス社(ドイツ) |
作者 | マンフレッド・ルートヴィッヒ |
受賞歴 | 2003年ドイツ年間子どもゲーム大賞 |
【ゲームのルール】
サイコロを振って自分のねずみ(4~5匹。プレイ人数により異なる。)を進めます。ねこのマークが出たら後ろからねこが近づいてきます。途中にある部屋に入ればチーズをゲット。ただしその部屋からもう出られません。ゴールに近づくほどチーズが大きくなります。追いかけてくるねこから自分のねずみを逃がしながら、チーズを集めるすごろくゲーム。
シンプルですが戦略も必要。追いかけてくるねこにみんなでキャーキャー盛り上がります。サイコロ運の要素が強いため、誰にでも勝つチャンスがあり、低年齢から楽しめます。「どのねずみを動かそうか」「どこの部屋に入ろうか」と自分で考えることも必要な、バランスのよいゲームです。
アイスクール|ペンギンを指ではじく新感覚おはじき
対象年齢 | 6歳~ |
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プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 約30分 |
育つ力 | 指先の器用さ・集中力 |
作者 | ブライアン・ゴメス |
メーカー | BRIAN GAMES(ドイツ) |
受賞歴 | 2017年ドイツ年間キッズゲーム大賞 |
【ゲームのルール】
「アイスクール」は氷でできた、ペンギンたちの学校です。好きな色のペンギンを選び、コマを指ではじいて滑らせます。決められた窓を通り抜けると得点カードをゲット。ただし、風紀委員のプレイヤーコマにぶつかると学生証を取られてしまいます。
▲箱が入れ子になっていて、広げるとゲーム盤になるのも面白い
ペンギンコマを動かすのに最初は苦戦しますが、慣れてくるとカーブやジャンプなどコントロールできるように。意外と子どもの方がペンギンを自在に操り、大人がムキになってしまいます。大人も子どもも白熱するゲームです。手が小さくてコマの弾くことが難しいときは、大人とチームになって遊んでみましょう。
キャプテン・リノ|カードを積み上げていつくずれるか!?
対象年齢 | 5歳~ |
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人数 | 2~5人 |
時間 | 5~15分 |
育つ力 | 指先の器用さ・集中力・観察力 |
作者 | スティーブン・シュテンフ&スコット・フリスコ |
メーカー | HABA社(ドイツ)(日本語版:すごろくや) |
【ゲームのルール】
カードを崩れないように積み上げるバランスゲーム。茶色い屋根カードと、くの字に折り曲げて使う壁カードの2種類を使います。屋根カードに描かれている「く」や「><」に合わせて、壁カードを折り曲げて置きます。ゲームのタイトルになっているサイのヒーロー「リノ」。リノの絵柄がある屋根カードが出たら、リノのコマを置かなければなりません。
積み上げていくという簡単なルールなので低年齢から挑戦できます。シンプルながらもみんなでドキドキ感を味わえる、スリル満載のゲームです!子どもが一人でカードを積み上げる遊び方もできますよ。
ナンジャモンジャ ミドリ|不思議ないきものに名前をつけよう
対象年齢 | 4歳~ |
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人数 | 2~5人 |
時間 | 5~15分 |
育つ力 | 記憶力・集中力 |
作者 | リーベディバ・アリョーナ |
メーカー | Simple Rules(ロシア)日本版:すごろくや |
【ゲームのルール】
この不思議な生き物はなんだろう…?ナンジャモンジャは、カードをめくると出てくる謎の生き物に名前をつけるゲーム。同じ生き物が出てきたときに、その名前を早く叫んだらカードをもらえます。「ミカンまる」「ぶーちゃん」「ポテト君」、どんな名前をつけてもOK。3歳前後の子でも、その子なりに名前を考える姿がかわいらしく、何度でも遊びたくなるゲームです。子どもの自由な発想力と、大人より優れているかもしれない!?記憶力に驚かされます。
▲どのキャラクターもとぼけた表情が可愛い
大人は同じカードが出てきたときに自分が付けた名前なのに思い出せない、なんてことも。百聞は一見に如かず。子どもの爆笑が止まらないゲームです!
レシピ!|料理を早く完成させよう
対象年齢 | 4歳~ |
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人数 | 2~4人 |
時間 | 約15分 |
育つ力 | 知識・思考力 |
作者 | 小倉大輔 |
メーカー | ホッパーエンタテイメント(日本) |
【ゲームのルール】
子どもは料理に興味津々!「レシピ」は「具材カード」を集めて、「メニューカード」の料理を完成させるカードゲーム。「メニューカード」も「具材カード」も相手には見せません。手札の中でメニューに使う具材が出てきたら、キッチンカウンターに並べます。具材カードがすべて揃ったら「できあがり」と宣言。はじめは自分の料理を仕上げることに夢中ですが、慣れてくると「相手は何を作ろうとしているんだろう?」と考える余裕が出てきます。わかりやすいルールなので、わが家では小学生と4、5歳の子が楽しく遊ぶ場面をよく見かけます。
▲レシピには「スイーツレシピ」「おきなわレシピ」「ほっかいどうレシピ」などバリエーションがあるので、お子さんの好きなものを選ぶのも楽しい!いくつかをまぜて遊べます。
【10〜20分】短時間で楽しめるボードゲーム3選
短時間で楽しめて、持ち運びもしやすいコンパクトなゲームを紹介します。
ドブル|間違い探しのスピード勝負ボードゲーム
対象年齢 | 6歳~ |
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人数 | 2~8人 |
時間 | 約10分 |
育つ力 | 数・観察力 |
作者 | デニス・ブランコット |
メーカー | Asmodee(フランス)日本版:ホビージャパン |
【ゲームのルール】
ドブルはミニゲームが5種類遊べるスピード系ゲーム。全てのゲームで共通するのは、カードにある同じ絵柄を探すこと。瞬発力と目で見て判断する力が必要です。シンプルながら、盛り上がるゲームです。人気を呼び、ドラえもんやワンピースなどキャラクターとのコラボ商品が増えています。缶の大きさは直径約10cmなので、持ち運びにもおすすめです。キャンプのときに遊ぶ人もいるそうですよ!
ベルズ|磁石でカラフルな鈴を集めるボードゲーム
対象年齢 | 6歳~ |
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人数 | 2~4人 |
時間 | 約10分 |
育つ力 | 指先の器用さ・集中力 |
作者 | ドン・レイド |
メーカー | Spin Master(カナダ) |
【ゲームのルール】
自分が狙う色の鈴を磁石の棒で取るゲーム。他の色の鈴がくっついてきたら、次のプレイヤーへ交代します。自分の色の鈴を最初に全て取ったら勝ち!カラフルな鈴に、子どもたちの目はキラキラ。磁石で鈴を集めるシンプルなルールで初めての子もすぐに楽しめます。
それだけ?と侮るなかれ。思い通りにならない鈴の動きに、気づけば夢中になるゲームですよ。
ストーリーキューブス|さいころを並べてお話を作るボードゲーム
対象年齢 | 6歳~ |
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人数 | 1~12人 |
時間 | 約20分 |
育つ力 | 言語力・発想力 |
メーカー | The Creativity Hub(北アイルランド) |
作者 | ロリー・オコーナー |
【ゲームのルール】
キューブをふって、出たイラストを見ながらお話を作るゲーム。順番などの決まりはなく、じゃらじゃらっと振って出たイラストを見て自由にお話を作りましょう。「むかしむかしあるところに、女の子がいました。お花を摘みに出かけると、大きな足跡を見つけました…」話し始めると突拍子のないお話になり、盛り上がります。
9個全てを使わなくても数を減らしたり、1人1個ずつにして物語をつないでいったり、オリジナルルールで遊ぶのも楽しいです。箱は10㎝角で手のひらサイズ。「自分で考えて物語を作る」楽しさを味わえる、コンパクトながら侮れないゲームです。
『ストーリーキューブ 冒険』『ストーリーキューブ アクション』などのバリエーションや『ドラえもん』や『ムーミン』などキャラクターとのコラボもありますよ。
親子で楽しむ!発想力もつく「ローリーズストーリーキューブス」
【3歳〜5歳】小さい子供におすすめのボードゲーム3選
ボードゲームはどうしても年齢の高い子が有利になります。運で勝負が決まるゲームなら年齢差のある兄弟でもみんなに勝つチャンスが。運の要素が強いゲームを紹介します。
うさぎのニーノ|かわいいうさぎを助け出そう
対象年齢 | 3歳~ |
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人数 | 2~4人 |
時間 | 10~15分 |
作者 | ライナー・クニツィア |
メーカー | ペガサス社 |
身につく力 | 色・数 |
【ゲームのルール】うさぎの穴が水浸しに!うさぎを助けなきゃ…そんなストーリーで始まるゲーム。サイコロの目と同じ色の出口にうさぎを助け出し、次に同じ色が出たら箱の外に出られます。助けたうさぎの数で勝負が決まります。
サイコロの色が理解できればプレイでき、運が100%のゲーム。順番を守る、サイコロを転がす、といったゲームの基本を経験するのにおすすめです。何より、木製のうさぎがとても可愛く、箱がプレイボードになるのが特徴です。
虹色のへび|ながーいへびを作るカードゲームボードゲーム
対象年齢 | 4歳~ |
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人数 | 2~5人 |
所要時間 | 15分 |
作者 | ブリジッテ・ポコーニク |
メーカー | アミーゴ社(ドイツ) |
身につく力 | 色 |
【ゲームのルール】
カードを順番にめくっていき、同じ色でつながる部分があったらつなげていきます。頭と体としっぽがつながったら、そのへびのカードをもらえます。色の区別さえできれば、3歳くらいでも参加できます。なかなかしっぽが出ないぞ…かなり長いへびだけど誰がゲットするんだろう?とハラハラドキドキ感もあるゲーム。
ボードゲーム専門店で小さな子の入門ゲームとして勧めていることが多いです。小さな子だけでなく、小学生でも充分楽しめるゲーム性は間違いありません。
雲の上のユニコーン|キラキラクリスタルを集めよう
対象年齢 | 3歳~ |
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人数 | 2~4人 |
所要時間 | 10~15分 |
作者 | クリスティン・ミュッケル |
メーカー | アミーゴ社(ドイツ) |
身につく力 | 数 |
【ゲームのルール】
キラキラの宝石を集めながらユニコーンを進めるすごろくゲーム。宝石をたくさん集めたプレイヤーが勝ちです。青いサイコロは1~3までの数字のみ。ピンクの雲に止まったら、ピンクのサイコロを転がして1~3のいずれか出た数の宝石をもらえます。途中で「他の誰かにプレゼントをあげる」といったマスがあり、コミュニケーションを取りながら遊べます。可愛い見た目とキラキラの宝石に、特に小さな子たちが夢中。ゲームが終わって、ボードをひっくり返すと数え表になっています。
▲ボードの裏面。一目見て視覚的に数字の量を理解できる。
ボードゲームは大人も本気で楽しめる!
実は、昔ながらの遊び「鬼ごっこ」には教育効果があるといいます。
・子どもは真剣勝負
・「捕まった!捕まってない!!」のトラブルが頻繁に起こる
・ギャラリーが喧嘩を止めて、ルールを変更して解決する
このように、本気で遊びながら子ども達は問題解決の練習をしていました。
現代はこういった本気の鬼ごっこをする機会が減っています。鬼ごっこのように本気でぶつかって遊ぶのは、まさにボードゲームにある要素。そこで、家庭や幼児教育、学校教育の場でボードゲームで遊ぶことが広まってほしいと京都にあるおもちゃ屋店主で、著書もある「きっずいわきぱふ」の岩城さんは言います。
(参考:「大人も感動する 幼児のおもちゃ」 岩城敏之 三学出版)
私自身、3人の子どもと日々ボードゲームで遊んでいます。「あー!間違えた〜」「わあ、ネズミが食べられた!」「ちょっと待って!やり直していい?」と大人もつい前のめりに。大人が本気で遊ぶ姿を子どもたちと共有できるのが、ボードゲームの楽しさだなあと感じます。また、家に遊びに来る友達にルールを説明してから遊ぶわが子たちを見ていると、説明する力、伝える力も身についているように思います。
最後に子ども向けボードゲームをもっと知りたい、という方におすすめの本を紹介します。
「おうちでボードゲームforママ&kids」
親子で遊ぶことを第一に考えて選ばれたボードゲームが、50作品紹介されています。遊び方や魅力はもちろん、このゲームを遊んだ子は次にこのゲームがおすすめ、といった紹介もあり、参考になります。
ボードゲームは自分で考えて選びながら、コミュニケーションが生まれる遊び。お子さんの考えや選択を見守りつつ、本気で楽しんでみてくださいね。