20世紀を代表するアメリカの心理学者、スキナーが提唱した「プログラム学習」。タブレット端末などを使い、Webの学習サイトやアプリで学習するeラーニングに、主に活用されている学習手法です。プログラム学習について知ることで、紙とは異なるタブレット学習ならではのメリットを理解できます。プログラム学習のポイントついて解説します。
プログラム学習とは
たとえば、「ネズミに箱の中のレバーを押させる」という目標があるとします。
この目標を達成するため、まずは偶然ネズミがレバーを押したときに、ネズミにエサ(報酬)を与えるようにします。
何度か繰り返すうちに、「レバーを押せばエサ(報酬)がもらえる」ことを学習し、ネズミは自らレバーを押すようになります。
このように、報酬(もしくは罰)に対応して行動が強化され、行動の頻度を増やす(あるいは減らす)ようになることを、「オペラント条件づけ」と呼びます。
「オペラント条件づけ」の理論を人に応用したものが、プログラム学習法です。
学習者へ問題提起
↓
学習者が反応する
↓
反応に対して即時フィードバックを行う
という流れを繰り返し、目標達成を目指します。
プログラム学習を実践するために学習者が利用する教育機器は、「ティーチングマシン」と呼ばれます。
なお、2020年度から小学校で必修化される「プログラミング学習」と、名称はよく似ていますが、全く別のものなので注意してくださいね。
プログラム学習の基礎知識【5つの原理】
1:スモール・ステップの原理
学習者の負担を減らし、「できた!」という成功体験を重ねることで、学習への意欲を高めることができます。
2:即時確認(フィードバック)の原理
即座にフィードバックを行うことで、行動が強化・維持されやすくなります。
3:学習者の積極的反応の原理
「教科書を読むだけ」「説明を聞くだけ」といった、一方通行の学習で終わることはなく、必ず何らかの問題や質問が提示され、学習者が解答をすることで、次の単元に進めるのです。
そのため学習者は、集中して勉強に取り組むことができます。
4:学習者の自己ペースの原理
1人の教師が大勢の生徒に向かって講義を行うスタイルでは、どうしても「簡単すぎてつまらない子」や「難しすぎてついていけない子」が出てきます。
ティーチングマシンを活用することで、それぞれの学習進度に適したコースを受講できます。
5:学習者検証の原理
そのため教材作成者は、学習者がどのように教材に取り組み、どの程度習得できたのかといったデータを解析し、教材をより効率的で効果的なものに改善することが求められます。
プログラム学習のメリット
小さな成功の積み重ねで自信がつく
自分のペースに合わせて学習できる
インプット・アウトプット・フィードバックの繰り返しで学習効率が上がる
プログラム学習では、
知識を頭に入れる(インプット)
↓
問題を解く(アウトプット)
↓
正誤判定(フィードバック)
というフローを繰り返すことによって、学習内容が確実に身につくよう配慮されています。
学習の現在地が確認しやすい
家庭でプログラム学習を取り入れる方法
簡単な問題からはじめる
子どものペースを見守る
答え合わせはその場ですぐに行う
タブレット端末の学習にはメリットがたくさん!
また、学校など公の教育現場でもタブレットの普及が進んでいます。
私たち親の世代にはなかった学習方法ですから、「タブレット学習で本当に力は身につくの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
タブレットを活用した学習の大きなメリットは、ご紹介したプログラム学習が簡単に実践できることです。
・レッスンや解説のあとに必ず確認テストが提示される
・自動で採点され即時フィードバックが行われる
・データが一元化されるのでどこまで学習が進んだか把握しやすい
・1人1端末が基本のため子どもの学習進度に合った勉強ができる
・AIにより学習者に合ったカリキュラムに自動的に改善される
筆者の4歳と8歳の子どもたちも、タブレット学習を行っていますが、プログラム学習を活用した教材が楽しいようで、飽きずに続けられています。
また筆者自身も、無料で利用できる、プログラム学習を参考に作られた英語教材のアプリをスマートフォンに入れて、スキルアップに活用しています。
紙での学習と併用しつつ、タブレット学習で得られるメリットもうまく活用していくのがおすすめです。