2017年3月31日 公開

日本語の美しい響きを覚える「素読」をはじめよう

江戸時代の寺子屋で行われていた「素読」。これは、言葉の意味はわからずとも、そこに介在するスピリットやリズムを身体に染みこませて学んでいく方法のこと。200年以上も前の学習法が今も役立つ!? 将来の読解力や文章力に繋がる「素読」にスポットライトを当ててみましょう。

「素読」って?「音読」との違い

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素読という言葉をご存知でしょうか?「素読」とは、意味がわかる・わからないは関係なく、本の文字を声に出して読むことです。

似た言葉に「音読」があります。「音読」とは、そこに書かれている内容を理解しながら、本を声に出して読むことです。つまり素読と音読には、意味を理解するかしないかの違いがあるというわけです。

例えば、小学校の宿題で日常的に出されるのが「音読」。教科書の内容を理解しながら読むことです。

素読は言葉のリズムや音を大切にしている

それに対して素読は、必ずしも本を前にする必要はありません。なぜなら、素読で大切なのは「音」だからです。

江戸時代の寺子屋では、みんな『論語』の素読をしていました。大人でも難しい書物を素読するのです。先生と1対1で、口伝いに何度も繰り返し言葉を習います。テキストを何度も口に出して練習し、つまずかずに空でスラスラ言えるようになると合格です。

その時点ではもちろん意味はわかりません。その意味や音が当てられている漢字を知るのは、上級学校に行ってから。もしかすると、生涯その意味を知らずに終わることもあったかもしれません。

一見意味のないように思われるこの学習。一体何を目的に行われていたのでしょうか。

意味のわからない言葉を覚えることは、すなわちその言葉の持つリズムや響き、スピリットを身体に染みこませること。江戸時代の素読は、そういったものを得るために行っていたそうです。

素読は言語感覚を身につけるのに良い方法

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現代でも、幼稚園や幼児教室で素読が行われています。

壁に貼られたテキストを声に出して読むことを、子どもたちは毎日繰り返すうちに、意味はわからずとも自然にその節を覚えていくようです。

素読は何より、言語感覚を磨くことができます。文章を書くにしても、何かを話すにしても、流暢にそれらができるのは、言葉や文章のリズムを感覚的に捉えられていることが大きな要因です。言葉を身体に染みこませる素読は、言葉の持つ音感を養うのにぴったり。

この言語感覚は、将来の読解力や表現力の育成に大きな力を与えてくれるでしょう。

Eテレ『にほんごであそぼ』を参考に楽しく素読を

気軽に素読にトライできる番組があります。それがNHK Eテレの『にほんごであそぼ』です。日本語に親しみながら日本語特有のリズムや音感を身につけることを狙いとしています。

「春はあけぼの…」ではじまる枕草子や、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」など誰でも一度は聞いたことのある一節が読まれます。毎日繰り返すうちに自然とリズムが身につく仕掛けです。

自宅でできる素読のやり方

自宅で取り組むのなら、子ども向けの論語や古典の絵本をお子さんと一緒に開いてみませんか。呪文や合言葉のように、言葉遊び感覚でも構いません。声に出して読むことで得られるリズムやことだまを楽しみましょう。

タイトル:春はあけぼの
著者  :清少納言(文)/たんじあきこ(絵)/齋藤孝(編)
出版社 :ほるぷ出版

タイトル:親子で楽しむ こどもの論語 CDつき
著者  :長島猛人
出版社 :高橋書店

日本語の音の良さを身体で感じよう

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長い年月を経ても淘汰されずに現代もなお愛され続ける名作の数々。これらは、あまたの人が幾度となく口ずさんできた、私たち日本人の魂に深く染み入る「音」なのです。

意味はわからずとも、耳や口で覚えていく音。それが後々、言葉としてお子さんの中で意味を持つ日がやってきます。意味がわかった時の驚きと発見も、素読の魅力と言えるかもしれません。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

山葵菜コウ 山葵菜コウ  関西在住の1男1女年子の母。教育や学び、子育てにアンテナがぴーん!大学は初等教育・教育学を専攻。身につけた知識や思想を子育てに活かせるように日々奮闘しています。