2019年8月12日 公開

EQ(心の知能指数)が高い人の特徴は?幼少期から鍛える方法

頭の良さを決めるのはIQ(知能指数)の高さだけではありません。EQ(心の知能指数)も重要な判定基準です。考える力のある「地頭の良い人」はEQが高いとされており、EQを鍛えることでIQを高める効果も期待できます。幼少期にできるEQの鍛え方のご紹介です。

EQとは?

EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略で「心の知能指数」という意味。Emotional Intelligence(心の知能)を測定する目安となるものです。
EQの概念としては以下2つがあげられます。

・自分を知り、自分の感情をコントロールできる能力(情動を抑える能力)
・他者の気持ちを理解し、その場に適した行動・言動ができる能力


これらの能力が高い人は物事に前向きに取り組み、状況に適した対応ができるでしょう。その結果、学業・スポーツ・仕事などにおいて良い成績が収められます。

このEQという指標は、心理学者であり科学ジャーナリストでもあったダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)博士が1995年に発表した著書『Emotional Intelligence.(邦訳『EQ こころの知能指数』)』によって世界中に知られることとなりました。

EQを向上させることは「人間関係を円滑にし、質の高い社会生活を送れる」ことにつながります。IQ(知能指数)の高さだけではなく「自分の情動を認識し、管理することの大切さ」に多くの人が気づくきっかけとなったのです。

IQとの違い

誰もが知っているIQは、Intelligence Quotientの略で「知能指数」を意味します。これは同年齢の人たちのなかで、知能が低いか高いかを示す指標です。平均IQは100で、一般的にIQが高いとされるのは120以上から。140を超えると「天才」の域とされています。

一方、心の知能指数EQ「自分の感情をコントロールし、状況に合った振る舞いができる能力」を測る数字です。人の言動は気分・環境などでその都度変わるもの。EQの高い人は自分の情動を抑制し、他人の気持ちをくみ取り「物事が成功」するように動けます。

コミュニケーション能力・共感力・論理的思考力・判断力・忍耐力などの「考える力・生きる力」を判定するEQ。IQよりも人を多角的に評価できる新しい指標です。

EQを構成する5つの要素

1.自己認識(Self-Awareness)
自分の性格・感情の動きを理解する能力です。自分がどのような場合に喜怒哀楽を感じ、どのような言動・振る舞いをするのか分析することで「自分のコントロール方法」が見えてきます。

2.自己規制(Self-Regulation)
情動的な感情・行動を抑制し、冷静な判断・行動をする能力です。自己規制ができることで怒り・落胆などの負の感情を抑え、目の前にある物事に最善を尽くします。また、一時の情動に惑わされず、判断を先送りできるようになるでしょう。

3.動機づけ(Motivation)
報酬・昇進などの目に見えるものでやる気をだすのではなく、「自分がどう生きたいか」「どういった人間になりたいか」のような本質的な願望を動機づけにしてモチベーションを保ち続ける力です。好奇心・達成感などに喜びを感じることで、目標への努力が続けられます。

4.共感(Empathy)
相手の気持ちをくみ取り、適切な言葉・行動で対処する能力。他者を思いやることで、自分の社会的立場を守り有利にすることができます。共感の訓練は、コミュニケーション能力を高めることに直結するでしょう。

5.社会的スキル(Social Skill)
他人とうまくコミュニケーションをとりながら、自分と他者の利害を調整し合意点を見出す「交渉力」。自分と他者の感情を認め理解し、コントロールしながら自分に有利な状況を導く能力とも言えます。

EQが注目される理由


20年ほど前までは「IQが高い=優秀な人材」という認識が当たり前でした。企業の採用試験でも学歴と学力テストが重要視され、「出身校の偏差値の高さが年収を左右する」「有名大学の出身者を採用すれば会社の業績が上がる」と考える風潮がありました。もちろん現在もIQが高いことは知能が高い、脳の処理能力が高いことを示し、IQが賢さの指標であることは確かです。

しかし近年、学歴だけが高い人材を集めても会社や組織の業績が上がるわけではないことが周知されるようになると、頭の賢さだけではなく「EQ=心(感情)をコントロールできる賢さ」に関心が向けられるようになりました。EQの高い人材を増やすことこそ、会社・組織の業績アップにつながると気づき始めたからです。

【EQの高い人がいることの利点】
・自分の感情を抑え、俯瞰的な立場で物事を見られるため、仕事・話し合いが早くなる
・人間関係が良くなり仕事の効率が上がる
・EQの高い人は冷静な判断ができ、トラブルがあった際に最小限の被害に留められる。また失敗を活かして次の仕事の成功の糧にすることができる

このように生産性を高めるメリットが多くあることから、EQは企業の採用・人材育成などの判断材料になりました。EQは「真の賢さ」を多角的・多面的に測れる基準として一般に広がりつつあります。

EQが高い人の特徴


EQが高い人には、以下のような共通点が見られます。

・仕事の業績、勉強の成績が良い
その時々の感情に流されることなく最善を尽くすので、無駄のない働き方・学び方ができます。また自分のなかに仕事・勉強における明確な目標があり、モチベーションを保つことから集中力持続時間が長いのが特徴です。

・人を否定しない​​
自己認識ができているため、他人にも寛容になれます。相手を受け入れながら、自分の考えを伝えることから対立する相手との交渉も得意です。

・人、物事を冷静に客観的に見ることができる
自分・他人の情動に流されず、今なすべきことを冷静に見出し遂行します。自分が行うこと、発言することで「他人がどう動くか」を推理し、自分が望む結果に導くことが可能です。

・コミュニケーション能力が高く、聞き上手
人・物事に好奇心を持ち「知りたい」という気持ちが強い人が多い傾向にあります。相手を知り、感情を共有しようとするので、聞き上手で話を引き出すのが得意。相手を喜ばせる反応・行動ができ、周りに人が集まります。

・常に前向きで生産的(そうなるようにコントロールできる)
失敗や挫折することがあっても、いつまでも悩むことはしないでしょう。改善点を見つけ、すぐに次の人間関係・仕事・学習に取り組みます。落ち込んで投げ出しそうになっても、自己肯定感が強いのであきらめません。

幼少期からEQを高める方法

EQの高さに特に必要なのは「自己認識力」「共感力」です。この2つの能力を伸ばすには、0歳~6歳までの幼児期の親・他者とのコミュニケーションが重要。特に親の接し方は、子どものEQの伸びに大きく影響します。EQを高めるためには、以下の5つを意識してみましょう。

1.スキンシップをして、子どもの話を聞く

感情の抑制が未発達な乳幼児期はスキンシップ、話しかけることで情緒が安定し、感情を抑制する機能が発達していきます。また親子の信頼関係も強くなるでしょう。子どもの話を聞くことは、自己分析力である「考えをまとめる力」を育て、自己肯定感を伸ばします

2.子どもの情動を受け止める

「おもちゃを買ってもらえなくて泣きわめく」「きょうだいとおやつの取り合いで叩き合ってしまう」など、子どもの激しい怒り・苛立ちは見守り、言い分を聞くことで受け止めてあげましょう。その際に「くやしかったね」「そういう風に感じていたんだね」などと共感する言葉をかけます。

3.叱るときは冷静に、理由を伝えて

大変かもしれませんが、怒るのではなく「冷静に悪い点を教える」ように叱ります。感情が高ぶっている子どもに対して、親が興奮してしまうと子どもも冷静に考えることができません。お互いヒートアップしそうなときこそ、一呼吸置くことで「感情の抑制」を学べます。

4.親の気持ちも素直に伝える

いつでも子どもの言うことを一方的に受け止めてばかりでは、子どもの共感力・コミュニケーション能力が育ちません。「あんな言い方されてパパママは悲しかったな」などと気持ちを伝えることで、「親にも感情があり、自分の言ったことで心が動く」ことを理解させることも大切です。

5.遊び・学習を一緒に行う

親子で遊ぶ・学ぶことは「自分を知り、相手を理解する能力」を伸ばす絶好のトレーニングです。トランプ・鬼ごっこなど勝敗が決まる遊びで感情を抑制する練習をしましょう。また、親が側にいて話し合いながら学習することで、集中力・コミュニケーション能力を育みます。

幼児期の感情はできるだけ自由に

感情の抑制をつかさどる脳の前頭前野という部分が幼児は未発達です。そのため思い通りにいかないと癇癪を起こし、泣き叫ぶことも多いでしょう。この前頭前野の健全な発達こそ、EQの高さには不可欠です。2歳前後のイヤイヤ期に過度に抑えつける、泣くたびに無視を繰り返すなど「自由な感情表現を妨げること」はやめましょう。

喜怒哀楽をときには爆発させることで、子どもは自己認識を行えるようになるのです。その都度、親が見守りさとすことで自己規制の仕方も覚えていきます。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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aotanaoao aotanaoao  小学1年生の娘を育てる兼業主婦です。遊びながら知育できることを日々模索中。 英会話教材、学習テキストを使ってマイペースで家庭学習を楽しんでいます。