二十四節気(にじゅうしせっき)って何?
二十四節気
雑節
七十二候
【解説】春の二十四節気「雨水(うすい)」ってどんな日?
春の二十四節気の二番目である雨水は、どんな時期でしょうか。「雨」や「水」という字が入るので、梅雨のように雨が多く降るのかな?と思いがちです。しかし実際は、雨に混ざっていた雪が消える頃、積もった雪や氷が解け出し水になる頃と言われています。
草木が芽ぶく頃とも言われ、春の訪れを少しずつ感じます。農作業を始める目安とされています。もともと二十四節気は、農業など外で仕事をする人たちが季節の移り変わりを察知するために使われていました。
このように雨水を迎えると春を感じることが増えてきます。寒さが和らぐので江戸時代にはお伊勢詣でに行き、農作の成功を祈ったそうです。立春を過ぎて初めて吹く南風「春一番」が吹くのも雨水の頃。とはいえ三寒四温というようにまだ肌寒さも残りゆっくりと春に向かうのも、この二月下旬です。
寒さの中に春を感じたときに使いたい!2月のおてんきことば4選
【いつ?】2024年の雨水は2月19日から
暦のずれについては毎年2月に国立天文台が翌年の暦要項を発表しているので、参考にしてください。
七十二候(しちじゅうにこう)で「雨水」の季節を知る
それでは雨水の七十二候をそれぞれみていきましょう。
■ 初候/土脈潤い起こる(どみゃく うるおい おこる)
春の雨が大地を潤しはじめるという意味です。雪の代わりに早春のしっとりとした雨が降りはじめ、大地がうるおいと湿り気をもち、脈打ち、息づき始めます。
七十二候・第四候(2024年2月19日~23日)
■ 次候/霞始めて靆く(かすみ はじめて たなびく)
山々に春の霞がたなびくという意味です。春になると空気中の水分が多くなり、遠くの景色が霞がかってぼんやりしてみえる頃を指します。
七十二候・第五候(2024年2月24日~28日)
■ 末候/草木萌え動く(そうもく もえうごく)
草木が芽吹きはじめるという意味です。枯れていた野山や木々にうすい緑色の小さな芽が見え隠れする時期です。地面からは草芽が生え、木の枝には新芽があふれ、春の目覚めが広がります。
七十二候・第六候(2024年2月29日~3月4日)
いかがですか?少しずつ春に向かう様子がイメージできますね。
また、霞も霧も似た状態ですが、春には霞(かすみ)、秋には霧(きり)、夜には朧(おぼろ)と呼びます。時期や昼夜で呼び分け、季節を知ることができます。このように中国より伝わった七十二候は、日本の気候や風土に合わせ少しずつ変化してきたそうです。
【豆知識】文学からみた二十四節気「雨水」
二十四節気は春の季語として俳句や短歌、手紙を書く際には時候の挨拶にも用いられています。雨水の時期だと「雨水の候」「草木が芽吹く季節になりました。」等、文頭に使ってみてもいいですね。
この季節をわかりやすく表現した俳句を一句ご紹介します。
明治の俳人・後藤夜半の俳句
「雨水より 啓蟄までの あたたかさ」
旬な食べ物・花や鳥
食べ物
魚貝:はまぐり、トビウオ、シロウオ、いとより、ヒラメ、金目鯛
野菜や山菜:春キャベツ、蓮根、からし菜、菜の花、ふきのとう
花や鳥
鳥:鴈
雨水にゆかりのある行事「桃の節句」
3月3日は「桃の節句」です。現代ではお雛様を飾り女の子の成長を祝う日ですね。それではお雛様はいつ飾るといいか気にしたことはありますか?一般的に雛人形は立春の翌日から、一夜飾りを避け3月1日までの大安や友引の日に飾るのがいいそうです。その中でも「雨水の日にお雛様を飾ると良縁に恵まれる」という説があり、雨水をお雛様を出す日に決めている園もあるそうです。
またお雛様は早くしまうほうがいいとされますが、雨水の次の節気である「啓蟄(けいちつ)」の日にしまうといいとする説があります。2024年にあてはめると、2月19日にお雛様を飾り、3月5日にしまうと縁起を担げるようなので参考にしてみてください!
流しびな
ひな祭りは紙で作ったひな人形をわらで作った船などに乗せて川や海に流し、穢れや災いを払った儀式が起源のようです。平安時代にこの流し雛の人形で貴族の女の子が遊んでいたことから現在のひな祭りに発展しました。和歌山県の淡島神社では現在も3月3日の正午から「雛流し」の神事をしています。
雨水の時期にある行事「秋吉台山焼き」
良く晴れた風のない日に枯れ草を焼く、野焼きや山焼きと呼ばれる季節の行事があります。山口県の「秋吉台山焼き」は雨水の頃に行われ、600年以上も続く春を呼ぶ風物詩となっています。秋吉台のカルスト台地の1138haにもおよぶ草原の山焼きは日本最大規模です。
焼かれた草木が炭や灰になりミネラル成分を含むため、山焼きで黒くなった草原は5月には綺麗な新緑におおわれます。雨が降るとこの成分が地面に浸透し、豊かな土壌になり、新芽の肥料になるからだそう。雨水は農業を始める目安の時期なので、とても理にかなった行事ですね。
2.18(日)秋吉台の山焼き | 山口県美祢市 秋吉台国定公園 観光情報
子どもと楽しむ雨水
旬の食べ物でつくろう、食べよう!
ひな祭りに欠かせないのがひし餅です。赤の餅、白の餅、緑の餅が重なっていますが、色に意味があるのをご存知ですか?赤は生命や魔除け、白は雪の大地や清らかさ、緑は草や芽、健康を表しているそうです。赤の餅にはくちなしの実、緑の餅には厄除けの薬草であるよもぎを加えて作ります。また黄色を加えた4色のひし餅やくず餅でできたひし餅も売られています。「ひし餅風お寿司」
縁起のよさにあやかり、子どもと一緒に手軽に作れる「ひし餅風お寿司」はいかがでしょうか?ひな祭りのおうちごはんが華やかになりますよ!
<材料>
・炊いたご飯
・すし酢やちらし寿司のもとなど
・ほうれん草(ゆでて下味をつけ食べやすく切る)
・桜でんぶ
・炒りたまご
・飾り(エビやいくら、スナップエンドウ・絹さやなど)
<作り方>
1)ごはんが熱いうちにすし酢や市販のちらし寿司のもとなどを加え、切るように混ぜる。
2)ほうれん草をゆでて冷水につけ、緑の鮮やかさを出す。絞ってしっかり水気を切ったら、醤油や出汁で下味をつける。子どもが食べやすいように細かく刻む。
3)炒りたまごを作る。マヨネーズを少し加えるとふんわりと仕上がります。
4)スナップエンドウ(緑)とエビを下茹でする。
5)白=すし飯、緑=ほうれん草、白=すし飯、赤=桜でんぶ、白=すし飯、黄=炒りたまごを順にひし餅風に重ねる。色のコントラストは自由で、桜でんぶをトップにしても華やかです。
6)エビやいくらやスナップエンドウ・絹さやを飾りつける。
小学生ならひとりでも作れる簡単メニューです。ポイントはひし形になるようにすることで、ラップを使って1工程ごとに手で整えればOKですが、牛乳パックを使うと簡単で綺麗にできます。
参考:ひし餅風すし太郎|アレンジレシピ|永谷園 (nagatanien.co.jp)
「はまぐりのお吸い物」
旬の食材「はまぐり」は、左右の貝がぴったりと合うのは1組しかないことから、幸せな結婚を願う縁起物とされてきました。「貝合わせ」という昔の遊びに使われたのもはまぐりです。
<材料>
はまぐり
菜の花
水・昆布・酒・塩
<作り方>
1)はまぐりは砂抜きをしっかりする。3時間は塩水に浸して砂出しすると安心です。
2)水に昆布を30分以上つけたあと火にかけ、はまぐりをいれる。沸騰直前に昆布を取り出す。
3)菜の花は熱湯でゆでる。
4)はまぐりの口があいたら塩と酒で味をつけ椀に盛り、菜の花を添えてできあがり。
白とピンク色の生麩や花形の麩を添えると桃の節句らしくかわいらしいです。
「ふきのとうを使った味噌汁」
ふきのとうを使った味噌汁もおすすめです。苦みのある食材には体の老廃物を排出する働きがあるので、冬にたまった老廃物を吐き出し本格的な春に備えましょう。この時期にとれるふきのとうはやわらかくておいしいです!
<材料>
ふきのとう
だいこん
ゆず
だし汁と味噌
<作り方>
1)ふきのとうは細かく刻み、熱湯でさっとゆがいてざるにあげ、塩でもむ。
2)だいこんは薄く輪切りにする。
3)出汁を沸かして大根をいれ、透き通ったら味噌をいれる。
4)椀に移して大根の上にふきのとうとゆずを添える。
薄く切った大根の上にふきのとうと柚をのせていただくお味噌汁は、氷の張った地面から芽が出ているような演出ができます!
■参考資料:「二十四節気のお味噌汁」山田奈美(WAVE出版)
ペーパークラフトで作ってみよう!
モビール(桃の節句) – Canon Creative Park
季節を感じにおでかけをしよう!
梅の花は雨水の頃に美しく咲き誇り、春の訪れを告げます。京都の北野天満宮や福岡の太宰府天満宮、都内では大田区の池上梅園など梅の名所は全国に多く存在しています。運が良ければウグイスやメジロに会えるかも!春の訪れを感じる梅見をしてみませんか?
特に、日本三大名園である偕楽園「水戸の梅祭り」(茨城県)は、120年以上続く有名なお祭りです。今年は叶わなくとも一度は訪れてみたいですね。
「第128回 水戸の梅まつり」令和6年2月10日(土)〜3月17日(日) | 観光いばらき
【まとめ】春の二十四節気「雨水」は雪が雨に変わる頃
いかがでしたか? 寒さが緩み春の気配を感じると、人間だって冬眠から目覚めた動物のように動き出したくなります。二十四節気では二番目にあたる雨水は農作業の始まりを意味する大切な日でした。おうちでもガーデニングや家庭菜園を始めるのもよさそうです!
次の二十四節気は春の陽気に誘われて虫が出てくる「啓蟄(けいちつ)」です。それまでの湿気の少ないこの時期に、衣類にこもった湿気を飛ばす寒干しをしてお過ごしください。
■参考文献