2021年05月15日 公開

授業を抜けて?送迎は必須!イギリスの習い事体験談【英国すくすくレポ】

日本とイギリスの意外な相違点!イギリスで習い事をするうえで一番大切なのは…。海外の習い事事情や驚いたエピソードを、体験談を踏まえながらお伝えします。

子育て中のママパパなら、きっと一度は「子どもの習い事」について考えたことがあると思います。それはイギリスの子育てでも同じなのですが、国が違うと「習い事の当たり前が変わる」ということを、現地の子育てで感じています。

今回はイギリスでの習い事について、日本との違を体験談を踏まえてご紹介します。

 

ここが違う①「子ども一人で習い事は行かない」

日本では、子どもだけで登下校をするように、(距離が遠い場合を除いて)子どもだけで習い事へ通うケースも多いのではないでしょうか。イギリスでは、小学校にも親が付き添って登下校しなければならず、習い事も例外ではありません。

放課後の習い事は夕食の用意や、共働きであれば勤務時間などとの兼ね合いも考える必要があります。兄弟姉妹がいる場合、家に留守番させることもできません。そういったことを考慮しつつ、毎週決まった習い事に送迎ができるか、スケジュールを把握しておかないといけません。

共働きやシングル子育てのご家庭の場合で、勤務時間が習い事の時間に重なっているときは、祖父母やチャイルドマインダーさん、その他サポートしてくれる方を見つけて、送迎をお願いしているご家庭が多いようです。逆にそうしないと習い事をすることができないというデメリットがあるイギリスのシステム…。難しいですね。

習い事はさせたいけれど、お仕事や家庭事情で送迎が難しいというとき、イギリスにはもう一つ選択肢があります。それは、学校のアフタースクールクラブを利用することです。学校のアフタースクールクラブとは、スポーツやダンス、ガーデニングや演劇など、曜日によって学校の敷地内で行われる習い事のようなものです。

授業が終わった後に、そのまま各レッスンに行くことができます。学校の敷地内なので安心感もあります。何より習い事先へ送っていく必要がないので、パパママはお迎えの時間まで職場で働いてくることができて、便利です。

アフタースクールクラブについての記事はこちら

送迎必須といえば、習い事へ子どもを連れて行ったあと、終わりの時間まで待合室や見学席で待っている保護者の方が多いです。通ううちに、他の保護者の方と仲良くなって人脈が広がったり、待ち時間を読書や趣味の時間として自分時間を楽しんだりと、プラスの面もあります。

また、子どものサポートがすぐできるというメリットもありますね。
我が家の体験談ですが、以前次女がスイミングに行ったある日のこと、プールから先生が「T」のハンドサインを出して、何か話しかけられました。

「T…?タイムとか?なにかが起こって休憩が必要なのかな?」と思って娘のもとへ行ったら、Tはトイレの意味でした!(笑)
一人でもトイレに行ける年齢でしたが、なんだか一人で行くのが怖かったようで、それで先生がサインを出してくれていました。ケガなどではなくて良かったとホッと心をなでおろしました。

ここが違う②「授業を抜けて習い事へ行く」

これもイギリスと日本では、ずいぶん違うと思ったことの一つです。日本では習い事は放課後または学校が休みの日にするものだと思いますが、イギリスでは、学校の授業中に習い事へ行くことがあります。

とはいえ、どんな習い事でも同じというわけではなく、学校と契約をしている先生が、学校へレッスンへ来てくれる形式のものだけにはなります。娘たちが通う小学校では、主に音楽関係の習い事がこの形式をとっています。ピアノ、バイオリン、ギターなどを習うことができ、約20分のレッスン時間です。レッスンは、毎週同じ曜日・時間に割り振られていて、時間が来ると、学校のレセプション(受付)の方が呼びに来て、レッスンのある部屋へ連れて行ってくれるのだそうです。

メリットは、放課後にバタバタと習い事へ行かなくてもよい事、学校と契約をしている先生なので安心ということが挙げられます。デメリットは、授業を抜けてレッスンへ行くので、抜けていた20分+移動時間の授業を聞き逃すということ!
なんだか、その部分に最初びっくりしてしましましたが、どうやらイギリスの他の学校でも同じ方法がとられているということなので、イギリスでは当たり前の方法のようです。

インターナショナルスクールより、週末の補習校が主流

日本だと、海外から来た子どもたちや、国際的な教育に力を入れたいご家庭では、お子さんをインターナショナルに入れることが多いと思います。

イギリスでは、すでにイギリスの現地校が英語なので、日本のように英語で授業をするインターナショナルスクールへ行くという流れがありません。ルーツがある国、ご両親の出身国や宗教・言語に関わらず、子どもたちは住んでいる地域の現地校へ通います。

ただ、そうすると、小学校入学まではご両親と話していた言語が母国語として流暢だった子どもたちも、小学校入学から1年もすれば、すっかり英語が母国語のようになってしまうことも。第一言語と英語の逆転が起こってしまうんです。
これは、私も含めイギリスに住む移民のママパパが頭を悩ませることでもあります。

自分たちにルーツのある言葉(娘たちの場合は日本語)を、忘れてほしくないし、できれば使い続けてほしいという願いがあります。何もしなければ、小さいころにどんなに話していたとしても、その言語を忘れてしまうからです。

そういうわけで、外国にルーツがあるご家庭のお子さんの多くは、週末(土曜日が多い)に補習校に通っています。

ただし、補習校はどこにでもあるわけではなく、ロンドンや大きな都市にしかないので、地方に住んでいるご家庭にとっては、簡単に通えないという問題もあります。(頑張って前泊をして通っているご家庭もあったり、我が家のように補習校は諦めたという家庭もあったり、それぞれです…。)

ですから地方では、有志のママパパがボランティアで立ち上げたグループやクラブなどが存在します。補習校ほどみっちり勉強はしないけれど、読み書きや文化の継承のために集まって活動してらっしゃいます。子どもたちの未来の可能性を広げようと、各国の保護者の方が立ち上がって頑張っているのが感じられます。

イギリスの子どもたちが習い事をする理由

イギリスでは送迎が必ず必要なこともあって、習い事をするためには、スケジュール調整が特に大切になってきます。サポートしてくれる家族とのチームワーク、学校のサービスを上手に利用することが不可欠です。

子どもが夢中になれるものを探すため、将来の可能性を広げるため、スキルアップのためなど、習い事をする目的はそれぞれだと思います。しかしその根底にあるのは、子どもを思う親の愛情だと感じます。そういった部分は、日本と同じですね。

子どもが、のびのびと生き抜く力をつけるための習い事、上手に見つけて楽しんでいきたいですね!

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa