2016年12月26日 公開

日本より難関?イギリスのお受験事情

私立小学校への入学には避けて通れないお受験。イギリスの子どもたちも、伝統ある私立校に入るためにはテストを受けなければなりません。受験科目は?どんな対策をしているの?日本とは一味違うイギリスのお受験事情を紹介します。

イギリスの義務教育は多種多様

義務教育が統一されている日本と違い、イギリスでは公立校と私立校で就学年齢が違います。それぞれ名前も異なるので、一見分かりづらいのが難点。ただ、基礎となる教育課程は共通なので、学習を取りこぼすということはありません。

公立の小学校(Primary School)は4〜5歳から10〜11歳が対象。その前は幼稚園(Nursery)に行くのが通例です。 公立の中学校(Secondary School)は11〜12歳から、最高で18歳まであります。

一方、私立の小学校(Prep School)は7〜8歳から始まるので、小学校受験は 「7+(セブンプラス)」と呼ばれています。多くの場合、付属幼稚園(Pre Prep School)がありますが、持ち上がりでも受験が必要だそうです。中学校(Senior School)は13〜14歳からで、入学するには全国共通の試験を受けなければなりません。

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私立校の魅力は伝統と最先端のコラボ

イギリスの私立校は教会に付属する形や、上流階級の子弟を教育する目的で始まったものが多く、歴史に深く根ざしています。イギリス最古の私立校キングススクールは何と597年の創立。ただ、大部分の私立校はビクトリア朝時代に始まったようです。

こうした歴史が色濃く表れるのが校舎。郊外や地方にある有名校は創立当時のマナーハウスをそのまま使い、 広大な図書館や壮大なホールを備えています。写真はジョージ王子の進学先候補にもなっているカルフォード・スクールですが、メイン校舎は1591年に建てられたものを使用しています。また、小学校から寄宿舎(ボーディングスクール)を開放している学校もあり、学習環境としては世界でも随一といえるでしょう。

多彩なカリキュラムも私立校の魅力。美術や音楽といった人間性を育む教育を重視する一方、プログラミングなどの最先端教育も、小学校から積極的に取り入れています。

伝統的な環境と最先端の教育を併せ持った私立校には、イギリス人だけでなく、海外から子どもを入学させる親御さんもいるほど。では、その受験「セブンプラス」はどのような内容なのでしょうか。

筆記試験1:筆記は国語と算数の2科目

racorn/Shutterstock
ほぼ全ての学校で行われる筆記試験、科目は国語(英語)と算数の2つです。試験時間はそれぞれ30 〜45分。サンプル問題を元に、どのような問題があるかをご紹介します。

国語は読解と作文がメイン

国語では、読解と作文の問題が出ることが多いようです。読解では文章を読んで質問に答える形式、作文はお題となる絵や文章を元にした自由作文です。どちらもボキャブラリーや文法、スペリングが重視されます。

例:「嵐」を題材にお話を書きなさい。あなたが体験したしたものでも、想像上のものでも構いません。必ず「場所」と「何をしたか」を入れましょう。

算数では分数の問題も

算数は7割が四則演算で、空欄を埋めるパターンや文章問題など、さまざまな 形式が用意されています。 残りは分数、時計の見方、お金の計算、重さの計算、図形を使った問題などです。サンプル問題では魔方陣を埋める問題もありました。

例:ベンは20個のブロックを持っています。そのうち4分の1をサリーにあげました。ベンの手元には何個残っていますか?

筆記試験2:リーズニングで論理思考を見る

Fabrik Bilder/Shutterstock
多くの私立小学校が、リーズニングと呼ばれる項目をセブンプラスに取り入れています。リーズニングとは、物事を順序立てて考えたり、2つ以上の事柄の関係性を見付けたりする論理思考能力を指します。

リーズニングは国語と算数のテストに組み込まれていることがほとんどです。たとえば国語では、同義語や反対語を答える問題や、アナグラムなどがそれに当たります。算数では、問題の指示に従って数字を並べ替えたり、仲間はずれの図形を探したりするものです。

例:次の図形が鏡に映った時の形を描いてください。

グループ活動でもリーズニング重視

また、 グループ活動でもリーズニングの能力が問われます。出題方法は学校によってさまざまですが、例としてはみんなで順番にタスクを進めていくものや、記憶ゲームなどがあるようです。

イギリスでのお受験対策は?

Black Rock Digital/Shutterstock
セブンプラスの対策は、親御さんが中心となってするのが一般的。お受験用の塾はほとんどありません。ただ難関校を目指すご家庭では、専門のチューター(家庭教師)をお願いしたり、お受験に「強い」幼稚園に通わせたりということもあるようです。

教材はサンプル問題が書店やネットで売っているほか、最近は専用アプリもたくさん出ています。 リーズニングについては数字や単語を使ったゲームやジグソーパズル、積み木遊びなどから、知識と感覚を養っていくのが最適といわれています。

また、多くのセブンプラス対策サイトで、お子さんを博物館やお芝居などに連れていくことを勧めています。普段の体験から自然に 一般常識やボキャブラリーを増やしていくことが大切とされているようです。

申し込みや試験の流れ、気になる学費は?

SpeedKingz/Shutterstock
イギリスの学校は学年が9月から始まりますが、「セブンプラス」は通常、その年の1月に行われます。受験の申し込みは前年の9月ごろに始まることが多いようです。

申し込み方法は学校によって異なりますが、最近ではネットで受付を済ませられる学校もあるようです。ほとんどの場合、試験の前に「オープンデー」という体験・説明会があり、お子さんと一緒に参加する必要があります。

試験はまず筆記試験があり、パスしたお子さんが面接・グループ活動に進むというのが一般的です。こうした流れは日本のお受験ととてもよく似ていますね。また、お受験をするお子さんはいくつもの学校を受けるのも、日本と同じです。

年間100万円超が一般的

イギリスは日本と同じ3学期制で、学費は学期ごとに支払います。私立校の多くは寄宿舎の運営や建物の維持費などがかさむため、もっともリーズナブルな学校でも1学期2800〜3300ポンド(40万〜50万円)くらいが相場と言われています。

一方、有名校では学費も大きく違います。たとえばジョージ王子が通う可能性があるという「カルフォード・スクール」では、通学でも年間14000ポンド(210万円)、寄宿舎ですと22000ポンド(330万円)となります。

お子さんに合った学校探しが大切

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日本に負けないくらい白熱しているイギリスのお受験事情、いかがでしたか。進学校だけでなく、数百年の歴史を持つ学校への切符にもなると思うと、有名校の倍率は数十倍に達するというのも頷けます。

ただ、どの対策サイトでも強調されているのが「お子さんに合った学校を選びましょう」ということ。イギリスの私立校はウェブサイトにも力を入れていて、動画や写真、先生や生徒へのインタビューなどから学校生活を知ることができます。また、学校選びに特化したコンサルティングサービスなども充実していて、親御さんたちの関心の高さが伺えますね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

Sakiko Sakiko  在英5年目の経済・教育ライター。東京都港区育ち。幼稚園より雙葉学園に通い、慶應義塾大学法学部に進学。大学卒業後は出版関連企業に3年従事した後、渡英。ロンドンの大学院にて出版ビジネスを学び、現在もロンドンで暮らしています。紅茶とバラの国から、お子さんの明日につながる記事をお届けします!