千円札から五千円札、一万円札まで、お子さまにも教えてあげたい日本の紙幣の一般常識をまとめました。2021年度に新しくなるお札についても紹介します。「2年で350万貯めた あきのズボラ家計管理」著者による連載【今すぐできる家計管理術】の第20回目です。
日本の紙幣の常識、どこまで知ってる?
お子さまにお金の種類を教えたいとき、どのくらいきちんと説明できるでしょうか?うろ覚えだったり、忘れていることも多いのではないでしょうか。
大人も学べる日本のお金の常識、今回は「紙幣」を中心にご紹介。2021年度上期に発行される予定の新しい千円札、五千円札、一万円札についても調べてみました。
【千円札】新しい絵柄は北里柴三郎(きたさと しばさぶろう)
まずは、最も目にする機会が多い千円札。製造枚数も紙幣の中で一番多く、財務省によれば平成31年度の千円札の日本銀行券製造計画は1,760百万枚。現在の千円札は平成16年(2004年)11月1日 から発行されています。
【千円札の寸法】
縦76mm、横150mm
【千円札の色数】
表面は、凹版2色・地模様など11色。裏面は、凹版1色・地模様など6色。
【千円札の絵柄】
表面に描かれているのは、野口英世(のぐちひでよ)。裏面には、世界遺産に登録された富士山と日本を象徴する花である桜が描かれています。
【野口英世とは?】
野口英世は細菌学者で黄熱病研究に尽力した人物です。
野口英世が千円札の絵柄に選ばれた理由は、今まで日本銀行券の肖像として選択したことのなかった科学者を採用することとし、また、学校の教科書にも登場するなど、知名度の高い文化人の中から採用したためだそうです。
紙幣に使われた野口英世の肖像画は、福島県猪苗代町の野口英世記念館所蔵の写真が素材にされています。
【歴代千円札に描かれた人物は?】
過去の千円札に描かれた人物は以下の通りです。
・聖徳太子 昭和40(1965)年1月4日に発行停止
・伊藤博文 昭和61(1986)年1月4日に発行停止
・夏目漱石 平成19(2007)年4月2日に発行停止
どの人物も、日本の歴史を語る上で欠かせない、国民にも広く親しまれた人物ですね。
【新しい千円札はどうなる?】
2021年度上期に発行予定の新しい千円札の絵柄は、表は北里柴三郎。裏面は富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」(葛飾北斎)となります。
北里柴三郎(1853~1931)は、世界ではじめて破傷風菌の純粋培養に成功、破傷風血清療法を確立した人物です。 また、ペスト菌を発見し、私立伝染病研究所、私立北里研究所を創立しました。現在の千円札に次いで、新しい千円札も科学者ですね。
富嶽三十六景は、江戸時代に発展した浮世絵の中でも名所絵と呼ばれた風景画の先駆け的なシリーズで、海外でも人気を博しました。
【五千円札】新しい絵柄は津田梅子(つだ うめこ)
現在の紙幣の表面では唯一の女性。ただ裏面も含めれば、見かけることは少なくなったものの現在も有効の二千円札の裏に紫式部が描かれています。
財務省によれば平成31年度の五千円札の日本銀行券製造計画は240百万枚と、千円札や一万円札に比べると少ないようです。現在の五千円札も、千円札同様、平成16年(2004年)11月1日から発行されています。
【五千円札の寸法】
縦76mm、横156mm
【五千円札の色数】
表面は、凹版2色・地模様など12色。裏面は、凹版1色・地模様など6色。
【五千円札の絵柄】
現在の五千円札の表面に描かれているのは、樋口一葉(ひぐちいちよう)。裏面には、江戸時代の画家である尾形光琳(おがたこうりん)作の国宝「燕子花図」(かきつばたず)の一部が描かれています。
【樋口一葉とは?】
樋口一葉は明治時代の小説家・歌人です。教科書にもでてくる「たけくらべ」は有名な作品ですよね。
樋口一葉が五千円札の絵柄に選ばれた理由は、女性の社会進出の進展に配意し、また、学校の教科書にも登場するなど、知名度の高い文化人の女性の中から採用したためだそうです。
樋口一葉の肖像画は東京都台東区の一葉記念館所蔵の写真が素材にされています。
【歴代五千円札に描かれた人物は?】
過去の五千円札に描かれた人物は以下の通りです。
・聖徳太子 昭和61(1986)年1月4日に発行停止
・新渡戸稲造 平成19(2007)年4月2日に発行停止
上記の過去の千円札に登場した聖徳太子がまた出ていますね。そう、実は最初に千円札、五千円札、一万円札が作られた際は、お札の絵柄はすべて聖徳太子でした。さらにその昔、はじめて作られた百円札の絵も聖徳太子だったとのこと。累計で7回、紙幣の肖像となったまさに「日本の紙幣の顔」です。
【新しい五千円札はどうなる?】
2021年度上期に発行予定の新しい千円札の絵柄は、表は津田梅子。裏面は古事記や万葉集にも登場し、日本では古くから広く親しまれている花である「フジ(藤)」となります。
津田梅子(1864~1929)は、1871年、岩倉使節団に随行した最初の女子留学生の一人です。1900年に女子英学塾(現 津田塾大学)を創立するなど、近代的な女子高等教育に尽力しました。樋口一葉に続いて、女性としてすばらしい活躍をした人物ですね。
【一万円札】新しい絵柄は渋沢栄一(しぶさわ えいいち)
最も高額な一万円札。お子さんにとっては、お小遣いでもなかなか手にすることのできないお札ですね。財務省によれば平成31年度の一万円札の日本銀行券製造計画は1,000百万枚。現在の一万円札も千円札、五千円札と同様に平成16年(2004年)11月1日から発行されています。
【一万円札の寸法】
縦76mm、横160mm
【一万円札の色数】
表面は、凹版2色・地模様など12色。裏面は、凹版1色・地模様など6色。
【一万円札の絵柄】
現在の一万円札の表面に描かれているのは、福沢諭吉(ふくざわゆきち)。裏面には、平等院鳳凰堂に据えられている鳳凰像が描かれています。
【福沢諭吉とは?】
福沢諭吉は明治の思想家で慶應義塾大学を設立した人物です。
福沢諭吉が一万円札の絵柄に選ばれた理由は、最高券面額として、品格のある紙幣にふさわしい肖像であり、また、肖像の人物が一般的にも、国際的にも、知名度が高い明治以降の文化人であるからだそうです。
福沢諭吉の肖像画は東京都港区の慶應義塾福澤研究センター所蔵の写真が素材にされています。
【歴代一万円札に描かれた人物は?】
歴代の一万円札に描かれた人物は以下の通りです。
・聖徳太子 昭和61(1986)年1月4日に発行停止
・福沢諭吉 平成19(2007)年4月2日に発行停止
おなじみの聖徳太子と、福沢諭吉。福沢諭吉が肖像となっている一万円札は実は2種類あります。現在発行されているものと、昭和59年に発行されたもので、ホログラムや裏面の絵柄が違っていますよ。
【新しい一万円札はどうなる?】
2021年度上期に発行予定の新しい千円札の絵柄は表は渋沢栄一。裏面は東京駅(丸の内駅舎)となります。
渋沢栄一(1840~1931)は、第一国立銀行、東京株式取引所(現 東京証券取引所)、東京商法会議所(現 東京商工会議所)など生涯に約500もの企業の設立等に関わったといわれ、実業界で活躍した人物です。新しいお札が発行される2021年の大河ドラマでも主人公として描かれる予定ですので、話題を集めそうですね。
どのお札が一番小さい?
2021年度上期には軒並み新しい絵柄となることが決まっている日本の紙幣。
現在の絵柄の人物だけでなく新しい絵柄についても、お子さまと一緒に調べてみると楽しそうですね。
なお、紙幣の大きさとしては小さい順に千円札、五千円札、一万円札となります。縦の長さはすべての紙幣で同じですが、横幅が違いますね。
日本の紙幣の常識を深めることは、お金の勉強だけでなく、国語や歴史の勉強にもなりますよ。